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IIJ.news vol.164 June 2021
オフィス家具メーカとして名高いオカムラ。
昨年の緊急事態宣言で在宅勤務を余儀なくされると、毎日、会社で座っていたオカムラのオフィスチェアが
どんなに快適だったのかを思い知らされるIIJ社員が続出!
そこで本稿では、同社の専門家にリモートワークに最適な椅子の選び方をご指南いただいた。
株式会社オカムラ ワークデザイン研究所 エグゼクティブリサーチャー
浅田 晴之 氏(人間工学専門家)
リモートワークが続いたことでコロナ太りになり、ジョギングをしようとした方も多いと思います。そんな時は、スポーツショップに行ってジョギングシューズをいろいろ履き比べて、気に入った一足を選ぶところから始めたのではないでしょうか。
リモートワークに最適な椅子の選び方もジョギングシューズ選びと同じです。見た目には同じように見える椅子ですが、座り心地はそれぞれ違うものです。自分にとって最適な椅子は、オンラインショッピングで決めるのではなく、品ぞろえの豊富な家具店やショールームに出向いて、体にフィットするかどうか実際に座り比べて、選ぶことが重要です。
椅子を選ぶポイントは、「体に接する部分に違和感がなく、余計な力が入ることなく、作業に適した姿勢を保ちつつ、体を動かしても姿勢がくずれにくい」ことです。では、その椅子が自分の体にフィットしているかどうかチェックしていきましょう。
間違った座り方では、正しく椅子の評価ができません。背中に隙間ができないよう、しっかりと座面の奥まで腰掛けてから判断します。そして、座面の前端が足に当たらず、膝裏に少し余裕があることを確認してください。座面の奥行が調整できる椅子もありますので、その時は調整します。
身長によっては、座面が高すぎることがあります。ここで大事なのは、靴を脱いで自宅と同じ状態で座ってみることです。座面の高さは、膝の角度が直角くらいで足を前後に動かしても、かかとが床から離れないかどうかを確認してください。
座面のクッション性は、座った瞬間の第一印象も大切ですが、姿勢を安定させるために柔らかすぎないことも必要です。クッション性を確認するために、しばらくのあいだ動かずに座ってみて、太腿やお尻にしびれや違和感がないか意識を集中しましょう。
作業姿勢をとった時に、腰から肩甲骨の下までの部分が背もたれに密着しているか確認します。背骨のカーブには個人差があるため、腰椎のカーブに合わせて調整できるランバーサポート機能を持った椅子もあります。フィットしているかどうかは、ベルト付近の部分がしっかりと背もたれに支持され、上半身が安定していることが重要なポイントです。自然に頭が背骨の真上にあり、力を抜いても頭が前後に傾かないか、目を閉じてじっくりと感じてください。
肘掛は、座り直したり、姿勢を支えたり、立ちあがったりする時に使います。高さを調整できる可動肘タイプは腕の重さを支えますので、肩への負担を軽減します。
長い時間、仕事をしていると、背もたれに寄りかかって考えごとをしたり、資料を見るために体の向きを変えたりと、頻繁に姿勢が変化します。そのため、リモートワーク用の椅子には、座面の回転機能や背もたれの角度を変えることができるリクライニング機構のあるものがお勧めです。背もたれに寄りかかったり、リクライニングした時に、お尻や背中が椅子からズレないか、座面の前端が上ってきて太腿に圧力を感じないか確認してください。体を動かした時に違和感のある椅子は、好ましい姿勢が崩れるのが早く、疲れやすくなるので注意が必要です。
椅子の価格は気になるところです。一般的にはデザイン性や調整箇所の多さなどで価格は上がっていきます。保証期間が長い椅子もあるため、価格が10万円でも、8年間使用したら1カ月換算で1000円程度になります。価格と使用頻度・座り心地とを天秤にかけて、リモートワークを快適にすごせる、自分に合った椅子を見つけてください。
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