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IT Topics 2022 topic04 IT人材

IIJ.news Vol.168 February 2022

「IT 人材の不足」が叫ばれて久しい。
企業では内製化などを進める向きもあるが、本稿では、有力な解決策の一つと見られている「シェアードサービス化」について取り上げる。

執筆者プロフィール

IIJ プロフェッショナルサービス第一本部 副本部長

中 嘉一郎

2000年入社。主にプロジェクトマネージャとして金融機関から製造・流通などの幅広い産業のお客様向けにシステムインテグレーション案件を遂行。2015年からは新たに立ち上げたシステムコンサルティング部門をリード。
現在は、インテグレーションビジネス全般の推進や、技術部門の横断的なタレントマネジメント施策などへ従事。

IT人材の不足

DXを阻む大きな障壁の一つに「IT人材の不足」があります。そもそもIT人材が不足しているという問題はDXが叫ばれる以前からありましたが、経済産業省は、2030年に需要と供給のギャップが最大で79万人に達する可能性がある、と指摘しています。需要全体が192万人なので、41パーセントもの人材が不足していることになり、これは看過できない問題です。なお、ここでいうIT人材とは、システム戦略の立案や開発・構築を担うシステムコンサルタント、プロジェクトマネージャ、ITアーキテクトなどのエンジニアを指します。*

今後の国内経済の発展にとって、デジタル化が必要不可欠であることは言うまでもありませんが、その根底にある人材不足の課題をどう解消するのか?法人企業のIT部門やシステムベンダやシステム自体など、「法人IT」全体に必要な構造変革について考えました。

内製化の実態

デジタルが競争優位性を左右する重要因子とみなされたことで、デジタル化の推進体制を内製化する企業が増えてきました。もちろん、システムインテグレータに依存する企業もまだまだ多いですが、実際に業務を変革するのは社員であることからも、内製の開発体制は強化したいところです。しかし、本業から外れていたIT組織の環境整備や採用・育成が不十分なため、社外のITベンダのSEを常駐させただけの組織も少なくなく、これを「なんちゃって内製」などと揶揄する風潮すらあります。

仮に充分な人員を社内で確保できたとしても開発体制が成立するわけではありません。独力でシステム品質を担保していくことへの意識改革、品質管理などのマネージメントシステムの再構築、ナレッジマネージメントの仕組み作り、教育・研修・評価制度の見直しなど、多くの環境整備が必要だからです。

IIJでもこうした取り組みを行ないながら組織を開発してきました。デジタル化を重視するのであれば、それ相応の労力や投資をかけてIT人材のための組織を開発すべきですし、それによって人材も就業しやすくなるでしょう。

しかし、そもそもの「国内全体でIT人材が足りない問題」は、大きな障壁として根底に残ったままです。

シェアードサービス化

まず、人材不足の解消や内製化に向けた組織を作るうえで打開策として考えられるのはソーシング戦略の強化・見直しですが、必ずしも有効とは言えません。従来型のアウトソーシングが増えたところでIT人材の不足は解消できないからです。

そこで次の一手として考えられるのが、企業横断的なシステムの共同利用、つまり「高度なシェアードサービス化」です。特に企業毎の独自色があまりないインフラシステム全般はそうあるべきです。

かつては海外支店との通信用に自前で衛星アンテナを立てていた企業もありましたが、今では当たり前のように通信事業者のサービスを利用しています。ネットワークだけでなく、PC・LANといったオフィスIT全般やサーバインフラ環境などは、社員の手間をいっさいかけずに、品質が安定した電話のようなサービスを安価に活用すべきです。企画・導入から品質向上やコスト削減に至るまで社員に負担をかけないことが重要であり、業界の特性などにより全ての業種・業態が同じとは言えませんが、可能な限りそうした方向を目指すべきだと考えます。標準化や効率化が進めば、より多くのIT人材をDXにかけられるようになるからです。

変革を担う一員として

IIJはこの世界観を目指し、標準化されたインフラシステムや情報システム部門の役務全般を包括提供するストラテジックITアウトソーシングや、統合運用管理サービスといったソリューションの提供を開始し、同じような考えをお持ちのお客さまとともに歩み始めました。今後も国内経済の成長に向けた構造変革を担う一員として、日々取り組みを進めてまいります。

* 経済産業省「IT人材受給に関する調査-高位シナリオ」(平成31年4月)より。


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