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IIJ.news Vol.179 December 2023
全国津々浦々でユニークな事業・取り組みを行なうIIJのお客さまを紹介する「お客さま探訪」。
第8回は、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SUPER FORMURA)の企画・運営・プロモーションを手掛ける「株式会社日本レースプロモーション」です。
SUPER FORMURAは、日本で最高峰かつ最速のスピードを誇るモータースポーツです。レースに使用する車両・タイヤ・エンジンは既定の規格に則ったもので、ドライバーの実力やチームの戦略が勝敗に直結します。
1周約5キロの長いコース、広大なセーフティーゾーン、10万人以上を収容できる観客席……SUPER FORMURAに限らず、モータースポーツは大きな敷地を必要とします。現在の会場は、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)、富士スピードウェイ(静岡県小山町)、モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)、オートポリス(大分県日田市)、スポーツランドSUGO(宮城県村田町)の5箇所です。サーキット設立後に周辺が市街地化した鈴鹿を除けば、いずれも郊外の山の中です。
株式会社日本レースプロモーションの山内氏は「“人気”という言葉で、他のスポーツと比べるのはむずかしい」と語ります。アクセスのよい市街地の会場で年間100試合以上が開催されるプロ野球の“人気”と、片道数時間かかるのを覚悟して、年間10回のレースに訪れるファンが支えるSUPER FORMURAの“人気”は、性質が異なるのです(なお、日本のスポーツにおける1大会あたりの観客動員数は、野球、サッカー、モータースポーツの順)。
モータースポーツのファンは(他のスポーツと比べて)「現地観戦の魅力がケタ違いに高い!」と口を揃えます。道中の高揚感、レース前のセッティング、焼けつくようなオイルの匂い、レーシングカーのスピード・音・振動、観客の静寂と歓声……モータースポーツの現地観戦には、ここでしか味わえない“祝祭感”があります。
近年、さまざまなプロスポーツで“データ活用”が進んでいます。データは競技者や関係者のみならず、観客により深くそのスポーツを理解し、楽しんでもらうための材料としても活用されています。
「データ活用が進んでいる球技以上に、モータースポーツは膨大なデータを潜在的に持っています。しかしこれらデータは、それぞれのチームのピットのなかや監視員のモニターから外に出ることはありませんでした。ですが、業界の発展のために、貴重なデータをより多くの人と共有し、レースそのものの質や観戦体験を向上させるために活用したいと考えています」と、株式会社日本レースプロモーションの上野社長は語ります。
上野社長の想いをかたちにしたのが、SUPER FORMURAの公式アプリ「SFgo」です。SFgoでは、レース中にリアルタイムで全ての車の――
などの情報を楽しむことができます。SFgoは、中継を見ているだけでは理解しえなかったトップレーサーの様子やサーキット上のドラマをリアルタイムで分かち合えるアプリです。開発前は、各チームからデータ公開に対する拒否反応があったそうですが、丁寧な説得とビジョンを提示することで、全チームからデータ公開の承認が得られました。
アスリートとしてのドライバーの凄さは、ヘルメットに覆われ、一体化した車とともに高速で駆け抜けていくためか、なかなか伝わりづらいものがあります。それを観客にもっと感じてもらうために、将来的にはレース中のドライバーのバイタルデータを公開しようという構想もあるそうです。
IIJとIIJエンジニアリングは、SFgoを快適に楽しんでもらえるよう、オフィシャルITソリューションパートナーとしてヘルプデスク業務をサポートしています。また、より良い観戦体験の実現を支えるべく、全国のサーキットでネットワーク環境の改善に向けた現地調査や実証実験にも取り組んでいます。
モータースポーツの主役は、体を張って勝利を目指すドライバーです。そして、ドライバーの背後には、各種データを分析するエンジニア、データをもとに車両や走りの改善を行なうメカニック、レースを運営したりサーキットの環境を整えるスタッフ、ファンの裾野を広げる広報などがいます。もちろん、レースを見るためにサーキットに駆けつけてくれるファンも!
一見、ドライバーの孤独な戦いが印象に残るモータースポーツですが、実は、みんなで作り上げる“最速を目指す”ドラマなのかもしれません。いつかサーキットに行って、観客席でそのドラマの一員になってみたい! 今回の「探訪」で、取材者の夢がまた1つ増えました。
株式会社日本レースプロモーション
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