2000年以前、インターネットを使うためには、まず「電話を掛ける」事が必要でした。常にインターネットを利用できる「常時接続」は大学や企業の研究所だけ。家庭では、3分10円の電話代を気にしながらの「ダイヤルアップ接続」が主流でした。事前にメールを書き溜めておき、電話を掛けるとまとめてメールの送受信を実行、その間にせかせかとホームページを見て回り、用事が済むとすぐにネットから切断するような使い方です。深夜23時以降に電話料金が定額になる割引サービスの利用者も多かったのですが、その影響で夜はネットが大混雑。電話を掛けてもプロバイダのアクセスポイントの回線が全部埋まっていてネットが利用できません。「話し中」の通知音を聞きながら、リダイヤルを繰り返すのが日課でした。一方、携帯電話も普及しておらず、家庭の電話は家族共用。ネットの最中にお母さんがうっかり受話器を上げてしまい、通信エラーで強制切断、なんて事もよくありました。
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ネットは使いたい放題ではなかった?!
日本生まれの「絵文字」文化
「通話」のためのものだった携帯電話に、「メール機能」がついたのは20世紀から21世紀に変わる間際。「ケータイのメール」は瞬く間に日本中に広がり、ゼロ年代のコミュニケーションの主役に躍り出ます。とはいえ、携帯電話のエリア整備はまだ不十分で、「電波のいい」場所を探してうろうろする事もありました。小さな画面、少ない文字数で多くの情報を伝えるために考案された「絵文字」が、大切な気持ちを伝えるための小道具として多用されるようになったのもこの頃。各社が競うように種類を増やした「絵文字」は、その後海外でも注目を集め、いまや「emoji」として世界中で使われるようになりました。振り返ってみると、現在使われているネット上のサービスの多くが、この時代に生まれた考え方を下敷きにしている事に驚かされます。
スマホの誕生 / SNS大流行
2010年代に入ったころから急速に普及を始めたスマートフォン。従来の携帯電話にはなかったバラエティ豊かなアプリ・サービスが生まれますが、その背景にはインターネットの技術がありました。従来の携帯電話と比べ高い処理能力を持つスマートフォンでは、スマートフォン自身で高度なプログラムを動かす事ができ、また、直接インターネット上のサーバと通信が行えるようになったのです。また、スマートフォンは、プラットフォームが世界共通になったという事も大きな出来事の1つです。海外で始まったSNSが日本でも定着し、インターネットの新しい使い方が広がりました。メールのような1対1のコミュニケーションと、ホームページのような意識的な情報発信の中間のような形で、特に宛先なく気持ちをつぶやき、そしてそれを見たどこかの誰かが「いいね」を返す、そんな緩やかなつながりがインターネットを通して世界を覆うようになりました。
手の中に広がる無限の世界
1人1人がインターネットにつながった通信端末を持ち歩く、25年前なら夢物語でしかなかったような光景が、いまや日常になりました。そこで交されるコミュニケーションもまた、25年前には想像しかできなかったものです。街中で、学校で、自宅で、手のひらサイズの端末を介し、遙か彼方に居る想い人の姿をリアルタイムに見ながら会話する。インターネットはそんな事すら実現してしまいました。
しかし、多くの方は、目の前の出来事にどのようにインターネットが関わっているのかに、気付いていないでしょう。電話料金を気にする事なく、電波の強さを意識する事もなく、ただ「気持ちを伝える」事に集中する。私たちIIJは、皆さんの気付かないところで「インターネットを繋ぐ」事に使命と誇りを感じています。そしてこれからも、より新しい技術で「気持ちを伝える」事を支えたい。それが私たちのイニシアティブです。