【ロンドンのオフィス引越し事情】 ~入念な現地調査と信頼できるパートナー選びが成功の鍵!~
2016/07/21
経済活動の国際化やインターネットのビジネス利用の拡大に伴い、あらゆる経済活動において国家間の壁は低くなり、今では大企業だけでなく中小企業においても海外進出する企業の数はますます増えています。
海外でのビジネス展開を考える際、どこにどのような規模のオフィスを構えるのか、は非常に重要な検討項目となると言えるでしょう。ビジネス展開のフェーズ(段階)、ビジネス規模や体制の変化に合わせ、オフィスに求められる規模や機能も変化していきます。現地担当者はその変化に合わせつつ、コストを最小限に押さえるという難しい舵取りを任せられることとなります。そこで、例えばIIJの欧州現地法人・IIJ Europeの拠点があるロンドンのように不動産価格の高い地域では、進出当初は小規模なレンタルオフィスからスタートし、契約更新のたびに最適な規模のオフィスへ引越しをするというのが一般的なパターンとなっています。
しかし、どんな小規模オフィスでもPCやプリンター、ネットワークといった情報システム設備は業務に不可欠であり、オフィス移転の際には物理的な物の移動だけでなく、これらのIT環境をいかにスムーズに移転させるかを、併せて考慮する必要があります。このコラムではIIJ Europeの現地社員によるロンドンオフィス引越し事情をご紹介すると共に、ビジネスルールや文化の違いを踏まえ、どのように準備し、対応すればよいのかのヒントについても触れていきます。
思わぬ一時費用の発生やスケジュールの遅れに注意
例えば、ロンドンでネットワーク回線を移転先オフィスに引き込むことを考えてみましょう。日本の場合は大手キャリアに回線を申込み、開通日の確認が取れれば、あとは開通日には回線が開通して使用できるケースが大半ですが、海外ではそう簡単には事は運びません。まず回線を申し込む前にビルオーナーの了解をとる必要がありますが、ロンドンではビルオーナーの権限が非常に大きいケースが一般的です。
- 回線引込が可能か
- 回線キャリアの指定等がないか
- ビルの中に回線敷設に必要な配管があるか
- 配管がない場合工事をさせてもらえるか
- 工事の際の通行許可証(Wayleave)の取得
- 退去時の原状復帰義務
など、事前に確認すべきことが多数あります。
またビルオーナーの許可とは別に、英国の「景観規制」により事前に該当の地方自治体の開発許可(Planning Permission)がないと工事ができないことがあります。特に歴史的地域においては、オフィス候補先の建築物が保護対象となる「リステッド・ビルディング」として認定されている場合があります。この場合は更に特別な許可を得る必要があり、内装工事であっても許可されないケースもあるので、こちらも併せて注意が必要です。
これらに対応するために一時費用が想定よりも大きくなったり、回線の移転の期間が長くなることもあるので、上記に挙げた項目はオフィス選びの際の重要な確認ポイントとなります。実際にIIJ Europeのプロジェクト・マネジャーがお客様に同行し現地調査を実施した際には、この一時費用が予算をはるかに超えることがわかり、オフィス移転先の候補から外すことになったこともありました。
また、キャリアに対して回線設備の有無を事前に確認しておく必要がある点は、日本と同様です。地域によってはまだ光回線の設備が十分に行き渡っていない場合もあり、希望する回線品目に対応できないケースや、設備準備に長い時間がかかる場合もあります。
導入スケジュールが確定しない?!
さて、回線オーダーまで無事に終わったあと、開通日を迎えるわけですが、ここもまた日本と同じようには進みません。希望の開通日の直前になっても、日程が早まったり遅れたりすることが頻繁に起こり、その連絡もキャリアからタイムリーに入るわけではないため、IIJ Europeのプロジェクト・マネジャーは1日に3回も確認を入れることもあります。さらに回線だけでなく、機器の調達も同様になかなか納期どおりには進みません。とにかく最終的にエンドーエンド間での疎通確認ができるまで気を抜けない状況が続きます。
このような状況下では、切り替え・切り戻しをしやすいネットワーク構成にしておくことも重要になるでしょう。この時に効果的なのがクラウド上のシステムを利用する構成です。クラウド利用により、
- サーバー類の移動や切り替え作業なしで切り替え、切り戻しが可能
- 必要なリソースを必要な時に利用でき、ビジネス規模に応じた柔軟なシステム構成を組むことが可能
といったメリットを享受できますので、ぜひIIJ Europeにご相談ください。
信頼できるパートナーに相談を
このように、ロンドンでのオフィス移転に際しては、一にも二にも十分な事前の確認が必要であり、目安として1年前には事前調査が終わっていると安心です。IIJ Europeでは欧州各都市において、経験豊富なプロジェクト・マネジャーがお客様とともに現地に赴き、事前調査のコンサルテーションを実施することで、お客様のスムーズなオフィス移転をお手伝いいたします。また、クラウドを有効活用したシステム構成やWAN・LANを含めたネットワークデザイン等、スムーズな移転のためのご提案をさせて頂き、実際の調達・導入フェーズでは、ポイントを押さえたキャリア、ベンダマネジメントを実施し、お客様のオフィス移転が成功裡に完了するようご支援いたします。
IIJ Europeでは、オフィス移転後のIT機器サポートやユーザーヘルプデスクも含め幅広いIT関連業務をご提供しております。ぜひ欧州でのオフィス移転の際にはIIJ Europeへお気軽にご相談ください。