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コラム|Column

進化する Biznet GIO Cloud

2016/12/01

好調が続くインドネシアのIT市場において、IIJが昨年から展開しているクラウドサービス“Biznet GIO Cloud”は順調な滑り出しを見せている。
ここでは、Biznet GIO Cloudに加わった新たなサービスを紹介する。

インドネシア国内のIT市場は高い成長率を維持しており、国際調査会社IDC社の昨年の報告によると、2019年には現在の約3倍の1.8億米ドル規模に達するとされ、引き続き需要が拡大すると見られています。

2015年5月、我々がインドネシアで提供を開始したクラウドサービス「Biznet GIO Cloud」は、2016年9月時点で約1500社にご採用いただいています。一年という短期間で、インドネシア市場に受け入れられた要因は、IIJの高いクラウド技術と、パートナーであるインドネシアの大手通信サービス会社Biznet Networksの強固なインフラ基盤によるところが大きいと考えています。

インドネシア市場の特徴

今年5月まで提供していたクラウドサービスはいわゆるIaaSでしたが、同国のクラウド市場はPaaSやSaaSのほうがエンドユーザにとって導入しやすく、需要も大きいという特徴がありました。

そこで、既存インフラのうえにPaaSを開発することにし、今年5月26日、Biznet GIO Cloud開始1周年を機に、4つのPaaS「GIO Storage」「GIO Backup」「GIO Box」「GIO Bricks」をリリースしました。以下では、これらサービスについて紹介します。

オブジェクトストレージサービス「GIO Storage」

増え続けるデータの保管コストを抑えたいという要望を受けて開発されたGIO Storageは、豊富なREST API(Amazon S3互換)を提供し、大容量のデータ保存に最適な高い拡張性を備えたクラウド型ストレージサービスです。

従量課金制を採用し、データ保存料は1GBあたり月額700ルピア(5円程度)で、導入費用も不要です。保存容量は無制限なので、大容量のデータを保存できます。ストレージは99.999999999パーセント(通称「イレブン・ナイン」)の耐久性を誇り、保存データが失われる確率が極めて低い構造となっています。

このように最新の技術を採用し、柔軟でコスト効率の高いデータストレージサービスの需要に応えられるよう設計された GIO Storageは、データの収集・蓄積、ビッグデータの分析、既存のストレージ基盤のクラウド化など、多様な要件に適した ソリューションと言えます。GIO Storageはオンラインでご利用いただけますので、サインアップからデリバリまでお客さまが自由に行なえます。

クラウド型のバックアップサービス「GIO Backup」

データのバックアップ機能はどんな企業にも必須だと思いますが、バックアップの仕組みを自社で用意するには、バックアップツールやストレージなどを購入する必要があります。また、データが増えると、ストレージの拡張なども考えなければなりません。GIO Backupは、お客さまがオンプレミスや複数のクラウドサービスで保管していたり、パソコンやモバイルなどに保存しているデータを Biznet GIO Cloudにバックアップするサービスです。

GIO Backupでは、自動バックアップの規模と条件を個別に設定できます。ひとつのフォルダからVMレベルのバックアップまで、定期的な自動バックアップ以外にも、お客さまにご指定いただいたタイミングでのバックアップも設定可能です。またGIO Backupに保存されたすべてのデータは一元的に管理でき、データの復元も1ステップで行なえます。さらに、バックアップ時にすべてのデータが自動的に圧縮されるため、ネットワークの負荷を抑えられます。データの暗号化も選択可能で、機密性の高いデータを安全に保護できます。

GIO Backupはこうした多くの利点を備えているので、サービスリリース前からたくさんの引合いをいただき、現在は日系/現地企業を問わず、幅広くご利用いただいております。

GIO BricksのUI

オンラインファイル共有サービス「GIO Box」

GIO Boxは、Biznet GIO Cloudのラインナップのなかで唯一のコンシューマ向けサービスです。インドネシア人は、スマートフォンで写真を撮ったり、音楽をダウンロードして聞いたりするのが好きなため、写真や音楽データを保存できるオンラインストレージの需要が大きいとの判断のもと、GIO Boxの開発が決まりました。

オンラインストレージサービスには、Dropbox、Google Drive、One Driveなど手軽に始められるサービスがたくさんありますが、これらのサービス基盤はインドネシア国外に置かれています。インドネシアと海外との国際回線は不安定なことが多く、アクセスしにくかったり、レスポンスが遅いといった話をよく聞きます。

GIO Boxは、モバイル端末やパソコンなどさまざまな端末から、ファイルを安全に保存・同期、そしてSNSで共有できるシンプルなオンラインストレージサービスです。ファイルは、暗号化された安全な通信経路で送受信され、冗長化されたGIO Storageに保存されます。お客さまは、安価な大容量ストレージを利用して、いつでも・どこからでも、ファイルを複数のユー ザ間で共有できます。

これまでGIO Boxは主にコンシューマ向けサービスでしたが、今年10月1日より、セキュリティが強化された、エンタープライズ向けのプレミアム版「GIO Box Enterprise」をリリースしました。GIO Boxとの違いは、GIO Boxが共有環境の使用を前提としているのに対し、GIO Box Enterpriseは専有環境を提供します。また GIO Box Enterpriseには多くの商用機能が備わっています。

お客さまのSSL証明書やドメインが使えるほか、インターネットVPNやクローズドネットワークでの使用にも対応しています。それだけでなく、ウイルス・スキャンやファイルの暗号化など、セキュリティ面も強化しています。また、企業単位でひとつ契約していただければ、ユーザアカウントを無制限に設けることができます。それぞれのアカウントの容量と権限は設定が可能で、グループ化などの管理機能を管理ツールからお客さま自身で操作できます。

企業内のユーザ(社員)が利用できる機能としては、App Store やGoogle PlayからGIO Box Enterpriseのアプリをダウンロードするだけで、モバイルデバイスからもサービスをご利用いただけます。カレンダーとアドレス帳のデータをアップロードすると、モバイルなどで、どこからでもそのデータにアクセスすることが可能になります。さらにGIO Box Enterpriseには、ファイルの変更履歴を自動的に残す仕組みがあり、ボタンをクリックするだけで、簡単に前のバージョンに復元できます。

WEBアプリ開発プラットフォーム「GIO Bricks」

GIO BricksはWEBアプリケーション開発者向けに、開発支援環境と実行環境をクラウド上で提供するサービスです。GIO Bricksをご利用いただくことで、サーバ構築やリソース管理の苦労から解放され、プログラミングに集中できます。

GIO Bricksは Java、PHP、Ruby、Node.js、Pythonなど多彩なアプリケーションに対応しています。お客さまはパッケージ化されたアプリケーションサーバやデータベースを選択して、簡単にセットアップできるため、数分でシステム環境を導入できます。また WordPress などオープンソースのソフトウェアを数クリックするだけでデプロイでき、すぐにご使用いただけます。実行環境は、実際のトラフィックに応じて単一および複数のサーバで自動的にスケールアップ/スケールダウンを行なえます。一般のクラウドサービスなら監視が必要で、リソースの変更にはある程度時間がかかりますが、GIO Bricksはサーバにかかる負荷に合わせて、リソースを自動変更してくれます。そのCPUやRAMの変更は数秒で完了し、再起動や再デプロイなども不要です。現在、GIO Bricksはβ版を提供しています。

以上、Biznet GIO Cloudに加わった4つのPaaSを紹介してきましたが、インドネシアを含め、世の中にはクラウドサービスの安全性に懸念を抱いている方がまだいらっしゃいます。そこで、今後もBiznet GIO Cloud基盤の信頼性強化を目指して、PCIDSS(2016年内)と ISO27001(2017年内)を取得する予定です。そのほかにも、セキュリティ系のクラウドサービスを開発するなど、引き続きサービスラインナップの拡充に努めてまいります。

PT. IIJ Global Solutions Indonesia Senior Vice President 田中 三貴

本記事は、弊社広報誌のVol.136 (2016年10月発行)に掲載されています。
Technical Now: PT. IIJ Global Solutions Indonesia
Senior Vice President 田中 三貴
https://www.iij.ad.jp/news/iijnews/2016/pdf/vol136.pdf

「Biznet GIO Cloud」については、Webサイト(英語のみ)をご覧いただくか、こちらよりお問い合わせください。