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IIJ.news vol.164 June 2021
コロナ禍を機に企業の働き方は大きく変化した。
ここでは「with コロナ/after コロナ」時代に向けたデジタルワークプレース活用の必要性や、企業が考えるべきテーマについて検討する。
IIJプロフェッショナルサービス第一本部 副本部長 兼
ネットワーク本部 エンタープライズサービス部 次期デジタルワークプレース企画室長
井本 直樹
ネットワーククラウド/デジタルワークプレースを主としたフロント技術部隊の責任者として、またIIJサービス主管/販促部隊・技術フロント混成での次期サービス開発に繋がる企画の推進役割を担当。
新型コロナウイルス感染症による脅威が続くなか、2021年4月25日には三度目の緊急事態宣言が発出されるなど、終息時期が見えない状況となっています。
企業の働き方は、昨年春から1年のあいだに大きく変化し、テレワークの活用が倍増しました。一方、テレワークに適さない業種やセキュリティ面の懸念、さらにはコミュニケーションの取りづらさからくる業務遂行上の支障といった理由から、テレワークとオフィスワークが混在した就業スタイルが増えつつあるようです。
従業員のテレワーク継続に対する意向は増加傾向にあるものの、対面で行なう業務の必要性を訴える意見は依然として多く、テレワーク経由での業務管理やコミュニケーションのとり方だけでなく、テレワークとオフィスワークが混在する業務環境であっても従業員を育成することや、従業員同士のコラボレーションを促進するオフィスの役割の再定義など、企業は多くの課題を解決していく必要に迫られています。
IIJでは以前からデジタル技術を最大限に活用して「あらゆる場所・時間・デバイスから仕事ができる環境」を実現する「デジタルワークプレース」に取り組んできました。そして、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の流れを踏まえ、業務システムの「クラウドシフト」を加速させるために、企業の情報システム(オフィスIT)のネットワークやセキュリティの見直しを支援してきました。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた当初、企業が突貫で整備することになったテレワーク環境の無償提供や、快適なテレワーク環境にセキュリティ対策を付加して提供するソリューションの展開、テレワークであってもオフィスと同等のセキュリティレベルを実現する「IIJデジタルワークプレース」を活用したゼロトラストモデルなどを推進しています。
時代の不確実性が高まるなか、企業は新しい働き方へ迅速に移行しながら、継続成長に向けた実践が求められています。そこでは、テレワークを前提に、社内・社外を問わず、さまざまな立場・役割の人と柔軟なコラボレーションを図りながら、あらゆる従業員が場所にとらわれることなくパフォーマンスを最大限に発揮できる働き方が必要となります。従業員のセキュリティ区分も多種多様であるため、各人の役割やデバイスに応じつつ、また、ITの利活用や業務状況を可視化することで、各従業員が安全に業務を遂行できるIT環境を整備していくことも不可欠です。そのためには、デジタルワークプレースの活用が有効です。
企業の情報システム部門による迅速なオフィスITの整備を支援すべく、IIJでは多数のお客さまへの提供実績をもとに、デジタルワークプレースのデザインパターンを複数用意するとともに、常時、拡充を図っています。
業務形態としては、「FAT端末」(クライアント側で処理を実行するための記憶媒体やアプリケーションソフトなどを備えた端末)を利用したパターンと、「VDI」(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ基盤)を利用したパターンに大別されます。
「IIJフレックスモビリティサービス」は、クラウド型のリモートアクセスサービスで、FAT端末にクライアントソフトをインストールすることで、ユーザやデバイス・条件(接続状況、クライアントOSのバージョン、アンチスパイウェアソフトのインストール有無や定義ファイルの状況など)をもとにしたアクション(アプリケーション・宛先単位などで必要なアクセスのみを確認したうえで許可)を詳細に制御できます。
「IIJ仮想デスクトップサービス」は、クラウド上で端末から完全に分離した仮想化環境のもと業務を行なえるデスクトップパターンと、必要な業務アプリケーションのみを利用できるパターンを用意しており、端末にデータを残さないセキュアな業務環境を提供します。
これらのパターンを基本として、次に示すような快適性とゼロトラストモデルにもとづく安全性を兼ね備えたテレワーク環境を実現します。
このように、さまざまな従業員の区分(正社員・非正規社員・業務委託など)や、デバイス(会社支給・個人端末など)に応じて利用レベルを制御すること、利用量が急増しても快適に利用でき、さらにオフィス一極集中を避けてどこからでも安全に業務を行なえる環境にしたいといったニーズに対して、ゼロトラストの基本信条にもとづくセキュリティ対策を完備することで、「多くの従業員がテレワークを活用しても、安全かつパフォーマンスを最大化できる」ようになります。その結果、不確実性に対する適用力の向上につながるのです。
このように利用シーンに応じた豊富なデザインパターンを用意しておくことで、状況に応じてテレワークの利用者や制御レベルを変える必要が生じた際、企業の情報システム部門に解決策を迅速に提案できます。
今後も、利用者や利用環境の多様化にともない、高度化するセキュリティリスクへの対応や傾向分析・利用予測にもとづく柔軟なオフィスITの実現に寄与するデザインパターンを拡充していく予定です。
テレワークが恒久的な就業オプションになるなか、新しい働き方に向けてデジタルワークプレースを活用したオフィスITを従業員に浸透させていくことが必要となります。それと同時に、従業員の成長・育成も欠かせません。
今こそ、自社にとって有用な人材像を再定義し、個々人が求められる役割や成果を明確に把握できるよう促し、役割遂行・成果創出できる環境・制度整備が急務となっています。さらには、チーム貢献につながる利他的行動や関係者間での業務進捗管理の共有・共通化による成果を重視した働き方も必須の要素となります。IIJはこれらの行動規範にもとづく働き方の実現に注力しています。
テレワークの活用により、オフィス自体のあり方も変わっていくでしょう。オフィス内でコラボレーションを促進するためのフリーアドレスやオープンスペースの活用も増えています。それに際して、オフィス内での無線LAN利用が広がっており、「IIJセキュアLANソリューションwith IIJ Omnibus」によるクラウド型サービスを多くのお客さまにご利用いただいています。
これから日本の社会は労働人口が減少していくため、いっそうの効率化が求められ、国内の遠隔地への移転やオフショアリング(offshoring:自社の機能の一部分もしくは全てを海外に委託・移管すること)によるコワーキングなども必要になってくるでしょう。そうした広範な利用も含めて、SaaSに代表されるクラウドサービスを適材適所かつセキュアに活用しながら、高い生産性へとつなげていくことが最重要課題になります。
我々は「IIJデジタルワークプレース」を発展させることで、次の時代における働き方の変化をサポートしていきたいと考えています。
IIJデジタルワークプレース
IIJではOmnibusブランドで、SDN/NFVなどの技術を応用して、企業の情報システムに必要な機能を仮想化し、クラウド型ネットワークサービスとして提供している。
ネットワークインフラに求められるさまざまな機能をIIJ Omnibusサービスに組み込むことで、企業がMicrosoft365などのSaaSや企業内に設置されているシステムを利用する際、セキュリティとパフォーマンスを同時に確保・実現できる。
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