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IIJ.news Vol.174 February 2023
企業活動におけるデータの重要性が増す一方、ITシステムの主流はマルチクラウドへ移行しつつあり、分散したデータの連携・活用がむずかしくなっている。
IIJ クラウド本部サービス企画室長
鈴木 透
昨今、「データ駆動型社会」、「データドリブン経営」といったキーワードで、さまざまなデータを社会やビジネスの意思決定、課題解決に活用する動きが広まっています。
企業のDX推進やデジタルガバメント、スマートシティ構想など、社会全体でデータを活用した取り組みが進む背景には、大量データの蓄積や分析処理を、より低コストかつ効率的に実現できるようになったクラウドサービスの存在があります。
2010年代前半から「ビッグデータ」のキーワードで大量のデータが爆発的に生み出される社会の到来が予見されていましたが、当時、大量データの活用技術を駆使できたのは一部の先進的な企業に限られていました。それが近年、クラウド型のデータウェアハウスやAIプラットフォームの登場により、データ活用が多くの企業にとって身近になると同時に、喫緊の重要課題にもなっています。
ITシステムのクラウドシフトが進み、オンプレミスと複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウド環境が一般的になってきました。そうしたなか、オンプレミスや複数のクラウドサービスなどに分散されたデータを自在に活用することが求められています。その一方で、オンプレミスとクラウドサービスに配置されたシステム間でデータをつないだり、複数クラウド上に配置されたシステムのデータを集めるといった“データ連携”が複雑化し、データ活用のボトルネックになりつつあります。
かつてのように、自社のオンプレミス環境内で全てのシステムが運用されていた状況では、ファイルサーバ上にデータを配置して、複数のシステム間で共有したり、データベースを直接参照し合うといったシステム間のデータ連携が可能でした。また、社外システムとのデータ連携は、ファイル転送やメッセージングといった方法があり、専用のソフトウェアを利用して実現することが一般的でした。
しかし、クラウドサービス、特にSaaSでは、外部システムとの連携インタフェースはAPIであることが多く、従来のデータ連携の方法では対応できません。クラウドごとにAPIの仕様も異なるため、データ連携のインタフェースをその都度、開発するのはコストや時間がかかります。さらに、オンプレミスに蓄積された機密性の高いデータを、クラウド上でセキュアに扱えるようにすることも大きな課題となります。
こうした状況を受け、IIJは新たにデータ活用プラットフォームとして、「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」(以下、CDP)の提供を開始しました。
CDPは、オンプレミスとクラウドサービスをつなぐ“ハブ”としてデータ連携を実現するPaaSです。本サービスでは、主要なクラウドサービスのAPIやアプリケーションのデータ連携方式に対応した連携アダプタをあらかじめ用意し、ノーコード開発ツールを利用して組み合わせることで、簡単にデータ連携フローを開発できます。そして、オンプレミスのシステムとクラウドサービス間を流れるデータをCDPに集約することで、既存のシステムに影響を与えることなく、必要なデータを抽出し、クラウドサービスへ連携させることができます。
加えて、IIJのネットワークサービスと組み合わせたプライベート接続により、インターネットを経由することなくデータのやり取りを行なえるほか、個人情報などの機微データを秘匿化するデータマスキング機能など、データセキュリティに配慮した機能も備えています。
CDPは今後もサービスを拡充し、簡便かつセキュアで、スモールスタートが可能なデータ連携の仕組みとして、お客さまのデータ活用に関する負担軽減に貢献したいと考えています。
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