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IIJ.news Vol.177 August 2023
デジタル情報は、どの企業にとっても、質・量の面からその処理が喫緊の課題となっている。
そこで本稿では、デジタル情報の効率的な処理を実現する対話型AIソリューションの利活用について紹介する。
IIJ エンジニアリング 取締役
菅原 史
情報のデジタル化、クラウド化、IoTの浸透などにより運用業務の情報量が増加すると同時に、業務内容が複雑になり、臨機応変なサポートが求められています。そうした背景のもと、IIJエンジニアリングでは、各種サポートセンター、設備運用、ヘルプデスクといった業務を24時間365日で担っています。
収集されたデジタル情報は、AIが情報を分析したうえでオペレータが総合的に判断するといった運営や、ロジックが比較的整理されている業務なら、RPA(Robotic Process Automation)/RBA(Run Book Automation)などと組み合わせて、AIを活用してEnd to Endで処理するといった運営が考えられます。
当社では2017年から、運用監視マネージャからの通知をトリガとするオペレーション、報告書の査読、請求書の転記、セッション情報の整理といった反復性の高い業務にはRPA/RBAを導入し、効率化・省人化を実現しています。そして2020年からは、既存のコミュニケーション環境や導入済のRPA/RBAをそのまま活用できる疎結合のオーケストレーションが可能な「Kore.ai」という対話型AIソリューションに着目し、以下の3点を念頭に現在、社内での普及・浸透に注力しています。
AIによる仕事の自動化は急速に進んでいますが、現時点での業務の主体はまだ人であり、あくまでも人がAIの利点を活用する時期だと考えられます。とはいえ、AIを活用した技術には多くの種類があり、活用方法も多岐にわたる一方、新しいものを普及させる際には、具体的な利点や使用イメージを利用者に知ってもらう必要もあります。そこで当社では、社内ポータルサイトにKore.aiに関する情報を掲載したり、ワークショップを開いたり、興味を持ってくれた社員に積極的にアカウントを発行するなど、できるだけ多くの接触機会を持ってもらえるよう努めています。
他方、社外のお客さまに向けた活動は、Kore.ai社と定期的に協議・協業を重ねながら、お客さまへの提案時にはKore.ai社にも同席してもらい、技術面やユースケースについて迅速に情報提供できるようにしています。
社外向けの提案で課題となるのは、AIという技術が幅広い分野に対応できるがゆえに、お客さまがAIに対して多種多様な期待を抱いてらっしゃる点です。AIで業務を効率化したいという方、新たなアイデアを創造するためにAIを活用したいという方、さらには「とりあえず凄そうなのでAIを使いたい」という希望を持ったお客さまも現れるかもしれません。そういった多様なニーズに対して対話型AIを、どこまで・どのように構成して提供するのか、精査する必要があります。そのために、お客さまの業態・業務の特性や課題などを詳しくヒアリングし、それらをもとに対話型AIソリューションをどのように適用していけばいいかといったことを、日々、検討しています。
また、せっかくAIを導入しても、うまく活用できなければ、課題解決につながらないばかりか、逆に管理コストが増えてしまい、AIの利点を享受できません。当社では、お客さまとのパートナーシップを大切にし、末永くビジネスに貢献していけるよう、導入後のフォローアップおよびサポート体制の充実にも力を注いでいます。
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