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防災や水利設備の監視を低コストで実現するセンサーの提供により、 農水省農村整備事業「情報通信環境の整備等によるリモート化と効率的な管理」を支援
2020年12月23日
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:勝 栄二郎)は、農林水産省が推進しようとしている農業農村における情報通信環境の整備に取り組む市町村等の自治体や土地改良区向けに、ため池や用水路など水利施設の水位を遠隔監視・管理するセンサーおよび目視監視用静止画カメラを開発し、2021年1月5日より提供開始いたします。 これらのセンサーやカメラは、省電力で電波伝播距離が広範囲な無線技術LoRaWAN®(※1)に対応しており、無線基地局に複数のセンサーを接続して地域で共同利用する仕組みも併せて提供します。これにより、農業農村地域での低コストな通信インフラの構築を支援します。
農林水産省では、2020年12月21日に発表した令和3年度概算決定の概要において(※2)、農山漁村振興交付金(情報通信環境整備対策)を創設し、人口減少、高齢化が進行する農村地域において、農業水利施設等の農業農村インフラの管理の省力化および高度化等を図るため、情報通信環境の整備による水利施設等のリモート化(遠隔監視・遠隔操作)等による管理の効率化を推進することとしています。
農村インフラとして重要な水利施設であるため池や河川、農業用水路等については、風水害時に水位の迅速な把握が必要とされますが、同時に、現場に近づくことなく遠隔監視によって人員の安全を確保することが求められます。国や県が管轄する一級河川や二級河川では国土交通省開発の機器管理型水位計の導入が進められているものの、本水位計は精度が高い反面、高額なため、小さな農業用水路やため池では導入が難しく、水管理が充分に行き届いていないという課題があります。さらに、センサーの設置以外に、通信費用、データを可視化するアプリなど、ランニングコストがかさむことも導入の障壁となっています。
IIJはかねてより、自社のネットワーク、クラウド、セキュリティ技術を活かし、主に産業、農業、ホーム・見守り、エネルギーの分野において、様々なIoTソリューションを提供しています。農業分野においては、静岡県で実施した3年間のスマート農業に関する実証プロジェクト(※3)で水田水位管理センサーを開発したほか、現在は、北海道、岐阜県、大阪府等のスマート農業実証プロジェクトにおいて、リモートセンシングや無線通信技術に関する知見を活かし、地域のニーズに合った技術的支援を行っています。
これらの経験と実績をもとにIIJは、農業向けIoT技術を体系化し、現在提供しているLoRaWAN®対応の水田用水位センサーを応用することで、ため池や用水路等の水利施設向けの水位センサーと目視監視用のカメラを新たに開発しました。LoRaWAN®の電波は数kmと広範囲に伝播するため、台風や豪雨時に現場に行くことなく、遠隔からスマートフォン等で現場の状況を監視できます。IIJでは併せて、センサーからデータを収集するための通信インフラを低コストで運用できるよう、無線基地局を地域で共同利用するためのデータ集約プラットフォームを提供します。スマートフォン向けの汎用アプリをIIJから提供するほか、本プラットフォームを介して他社のアプリケーションとのデータ連係も可能となります。
今般、新たに提供するLoRaWAN®対応製品は以下のとおりです。
圧力式センサー(LP-01-L)
51,000円(税抜)
水田用水位センサーの技術を応用したもので、用水路の水位を60cmまで1cm単位で測定できます。台風や豪雨時に現場に行くことなく、用水路の水管理をスマートフォンやタブレットなどのデバイスで確認することができます。水位のほか水温のデータも管理が可能です。
冠水センサー(LP-01-F)
151,525円(税抜)
フローティング方式のセンサーを用いており、最大3段階までの水位を遠隔で計測することが可能です。水深10mまでのため池や大型の用水路向け水位センサーです。
単3電池で約1年稼働します。
LoRaWAN®カメラ
150,000円(税抜)
作物の生育や設備の監視等、目視監視が必要な対象物を定点観測できるカメラで、10分間隔で静止画を撮影し、画像を送信します。LoRaWAN®は大容量データの送信に不向きでしたが、データを超高圧縮し分割転送することで、画像送信を可能にしました。通信費を抑えた目視監視が可能であり、用途に応じて暗視撮影や高解像度画像の撮影にも対応できます。
これらのセンサーやカメラはLoRaWAN®に対応することで通信コストを大幅に抑え、安価なランニングコストでの運用を可能にします。また、多種多様なセンサーで同じ通信インフラ(基地局)を共有することにより、水利施設の管理以外にも、施設園芸、見守り、防災システムなど多用途に展開することができます。IIJは、自治体や土地改良区が地域で通信インフラを整備する際、適切なエリア設計やシミュレーションなど、導入に向けた具体的な課題解決や無線基地局の整備設計についても支援いたします。
機器構成 | 年額利用料(概算) | センサー1台あたり |
---|---|---|
センサー5台+基地局1台 | 30,000円(税抜) | 6,000円/年 |
センサー50台+基地局2台 | 60,000円(税抜) | 1,200円/年 |
センサー100台+基地局3台 | 85,000円(税抜) | 850円/年 |
IIJは今後も、スマート農業推進による生産性向上と併せて、新たな生活様式にも活用できる情報通信環境の整備を支援し、農村インフラの高度化に貢献してまいります。
株式会社インターネットイニシアティブ 広報部
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