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IIJ、ウェアラブル機器やIoTデバイスなどでコンシューマ向けeSIMの利用を可能にする新技術「LPA Bridge」を開発

利用者自身が最適な通信サービスを選択可能。IoTデバイス・家電メーカーへのとのPoCを開始

2022年11月14日
株式会社インターネットイニシアティブ

PDF [824KB]PDF / English

当社は、キーボードやカメラなどの入出力装置を持たないウェアラブル機器、IoTデバイスなどでも、容易にeSIMを利用できるようにする新技術「LPA Bridge」(エルピーエー・ブリッジ)を考案し、同技術を商用レベルで利用可能なシステムを開発いたしました。
今までこうしたデバイスにeSIMを搭載する場合には、機器メーカーがあらかじめ特定の通信サービスの利用を想定し、自身が当該通信サービスの代理店あるいはMVNOとなって通信サービスを提供する必要があり、開発や運用の大きな負担となっていましたが、今回当社が開発した技術を使うことで、利用者がデバイスの利用開始時点で自ら適切な通信サービスを選択して契約できるようになり、機器メーカーの負担が軽減されます。
当社は、IoTデバイスメーカーや家電製品メーカーと商品開発を想定したPoC(Proof of Concept、コンセプト実証)に着手し、商用化を目指します。なお、本技術発明は当社より特許を出願済みです。

開発の背景

eSIMとは、通信に必要な情報を含むeSIMプロファイルを、インターネット経由でダウンロード(リモートプロビジョニング)することで、物理SIMを使わずにモバイル通信サービスを利用できるようにするものです。

eSIMのリモートプロビジョニングには、移動体通信事業者の業界団体「GSMA(GSM Association)」により、「コンシューマモデル」と「IoTモデル」の2つの規格が定義されています。
コンシューマモデルは、スマートフォンのように入出力装置(キーボード、カメラなど)が具備された機器での利用を想定しており、QRコードの読取りやアクティベーションコードの入力などにより、利用したい通信サービスを利用者が選択し、eSIMプロファイルをダウンロードさせることができます。すでにスマートフォンやノートPCでの利用が始まっています。

一方IoTモデルは、入出力装置のないデバイスでの利用が想定されていますが、eSIMプロファイルの提供には通信事業者の支援が必要で、実質的に通信サービスの代理店やMVNOとなり通信サービスの提供を行う必要があるなど機器メーカーにとってはハードルが高く、普及が進んでいないのが現状です。

そこで当社は、入出力装置がないデバイスに対し、普及の進むコンシューマモデルでeSIMのリモートプロビジョニングを可能にする技術「LPA Bridge」を考案いたしました。

当社が考案したLPA Bridgeの概要

入出力装置がないデバイスに、コンシューマモデルでeSIMプロファイルのプロビジョニングするために、GSMAによってコンシューマモデルに向けて標準化されている「LPA(Local Profile Assistant:eSIMプロファイルのダウンロード・書き込みを行う機能のこと)」を、「アクティベーションコードの入力などインタフェース部分を担当する機能(LPA App)」と、「eSIMとリモートプロビジョニング用サーバ間の通信の中継を行うための機能(LPA Bridge)」の2つに分割しました。その上で、デバイス内に「LPA Bridge」を実装し、デバイスにeSIMを設定するための利用者の機器(スマートフォンやPCなど)内に「LPA App」を実装します。

デバイスに実装された「LPA Bridge」と設定用機器にインストールされた「LPA App」は一体となって「LPA」に相当する機能として振る舞うため、GSMA の規定するコンシューマモデルに基づきeSIMプロファイルをデバイスで利用することが可能になります。

<コンシューマモデルeSIMのリモートプロビジョニングフロー (スマートフォンの例)>

<コンシューマモデルeSIMのリモートプロビジョニングフロー (LPA Bridge利用)>

LPA Bridge適用対象デバイス

LPA Bridgeは、カメラやキーボードなどの入出力装置を備えない通信対応家電(ウェアラブル機器・ガジェット)や、小型のIoT機器・組み込み制御機器、LTEルータなどへの適用を想定しています。

<LPA Bridgeの適用対象デバイス例>

ウェアラブル機器 

ウェアラブル機器 

小型のIoT機器

小型のIoT機器

組み込み制御機器"

組み込み制御機器

  • (※)入出力装置(画面・キーボード・カメラなど)が十分ではない機器を想定

IoTビジネスモデルの変革

これまでデバイスに通信機能を入れ込む場合には、機器メーカーがあらかじめ特定の通信サービスを契約した上で、そのSIMカードをデバイスの基板上に実装したスロットに挿入して販売するかたちとなっていました。そのため機器メーカー自身がMVNOとなるか、通信サービスの販売代理店となるケースが多く、機器メーカーの負担となっていました。この従来の商流は、SIMカードが物理SIMからIoT向けのeSIMに代わっても、そのまま続いています。
また、利用者にとっても、適切な通信サービスを自ら選択することができず、デバイス毎に機器メーカーにより決められた通信サービスしか利用できないといった制約がありました。
当社が開発したLPA Bridgeを適用することで、スマートフォンやPCと同様に、利用者自身が選択し、契約したeSIMプロファイルをデバイス上のeSIMにリモートプロビジョニングすることが可能になります。また機器メーカーは通信契約に関わる負担から解放されます。

これらデバイスの販売・流通が容易になることで、これらの市場が今まで以上に活性化し、スマートフォン利用ではない領域における通信需要が拡大するものと当社は考えています。

<IoT機器・通信対応デバイス ビジネスモデルイメージ>

今後の展望

当社は、商用レベルで利用可能な「LPA Bridge」「LPA App」の開発を完了しました。今後、IoT機器メーカーやデバイスメーカーに対して「LPA Bridge」「LPA App」をライセンス供給する予定です。
また、すでに複数のデバイスメーカーとの間で先行的に商品開発を想定したPoCを開始していますが、今後広くPoCに参加いただくメーカーを募集してまいります。

一部大手メーカーが製造するウェアラブル機器でも類似の技術が使われていますが、これらの技術はその企業内に閉じられたシステムとなっており、汎用的に広く利用できるものではありませんでした。IIJは「LPA Bridge」を多くの企業に供給することで、IoT機器・デバイスでのeSIM利用のエコシステムを広げたいと考えています。

展示会「EdgeTech+ 2022」出展

当社は、2022年11月16日~18日に開催される展示会「EdgeTech+ 2022」に出展し、IIJブースにて本技術を展示します。IIJブースでは本技術以外に、各種IoT機器でのモバイル通信サービスの導入事例をご紹介いたします。

EdgeTech+ 2022 について
会期 2022年11月16日(水)~18日(金) 10:00~17:00(17日のみ18:00終了)
会場 パシフィコ横浜
ブース番号 B-L17
入場 無料(事前登録入場制)
イベントの詳細

関連記事(IIJエンジニアブログ)

本技術開発者による技術的な背景、開発の思いをIIJエンジニアブログに掲載しています。

関連資料

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