「経営情報の大衆化」をミッションステートメントに掲げ、連結会計/管理会計ソリューションや決算業務アウトソーシングなどを展開するディーバ。主力製品である連結会計パッケージ「DivaSystem」は規模や業種を問わず幅広い企業で採用されており、累計導入実績は1,000社以上を誇る。
これに加え、会計システムをクラウドで利用したいというニーズの高まりに応え、2018年1月より新たなサービスの提供も開始した。それがMicrosoft Azureを基盤とする、SaaS型の連結経営管理会計システム「DivaSystem SMD Cloud」である。「豊富な導入実績に基づくノウハウを凝縮したシステムを、アセットレスの『サービス』として利用できます。ベーシックな管理会計だけでなく、高度な管理会計要件にも柔軟に対応可能。収益構造の分析、連結原価の見える化、管理会計業務の高度化を促進し、業績向上に向けた意思決定をサポートします」とディーバの細野淳氏は説明する。
DivaSystem SMD Cloudは経営管理を支える重要なシステム。「基盤となるクラウド環境は24時間365日体制で稼働を監視し、お客様が安心して利用できるサービスレベルの維持に努めています」と同社の小笠原豊氏は話す。
一方で、その監視体制には課題も抱えていた。従来の監視体制はMSP(マネージド・サービス・プロバイダ)事業者が提供する監視ツール+有人対応のサービス。監視ツールからのアラートの確認と、通知、一部復旧作業を手動で行う。「検知も通知も人が行うため、どうしても時間がかかる。実際のアラート発生から、当社担当者に通知が来るまで1時間以上かかることもありましたし、電話忘れなどヒューマンエラーもありました」と小笠原氏は振り返る。
重大なアラートの場合は対応の遅れによりサービスの提供が困難になることもある。経営管理を支えるサービスの停止は顧客のビジネスに大きな影響を与える。「アラート通知から復旧までの迅速化を図ることが急務になっていたのです。そうした中、MSP側からサービスを2019年1月で終了する旨の通達があったため、これを機に、新たな監視サービスへの移行を決めました」と細野氏は経緯を述べる。
新たな監視サービスとしてディーバが選定したのが「IIJ統合運用管理サービス」(以下、UOM)だ。システム監視、アラート通知、インシデント管理など運用にまつわる様々な機能が搭載されたSaaS型サービスである。
アセットレスで利用でき、月額利用料も安価だ。「人が確認・判断していたアラート検知から担当者への通知までの作業を、わずかな負担で自動化できる点が決め手になりました」と細野氏は選定の理由を述べる。
アラートの検知・通知だけでなく、必要なオペレーションの自動実行にも対応する。「例えば、重大なアラートの場合はサーバの再起動が必要です。その作業も自動化できるため、迅速な障害対応が可能です」とディーバの加藤卓真氏は語る。
通知が必要なアラート種別や担当者の連絡先、自動実行するオペレーション手順などサービス利用に必要な設定は、ユーザ自身が専用のWebポータルからいつでも行える。「以前は変更のたびに手順書などをまとめ、MSP事業者に依頼しなければなりませんでした。UOMはこれを自分たちがWebポータル上で行えます。運用ポリシーの変更にも迅速かつスムーズに対応できます」と小笠原氏は評価する。
ディーバは従来の監視サービスの終了時期に合わせて、2019年1月よりUOMの正式利用を開始した。UOMへの移行は自社で対応したが、膨大なSaaSテナントがあるにも関わらず、移行作業は10時間程で完了したという。導入が容易で、すぐに利用を開始できる点も高く評価している。
UOMの導入で最もメリットを実感しているのが、アラート通知の迅速化だ。「以前は有人対応だったため、タイムリーなアラートの検知・通知が困難でしたが、今はアラート発生後、10分以内で確実に運用担当者へ通知が来ます」と話す加藤氏。
アラートの通知手段には、コミュニケーションツール「Slack(スラック)」も活用している。メール以上によく使うツールに通知されるため、即座に異常を把握できる。より迅速な対応が可能になり、システムの信頼性向上につながっている。
「結果として従来と比べ、サーバの監視運用業務のコストはおよそ4割削減されています」と小笠原氏は満足感を示す。
ディーバではDivaSystem SMD Cloud以外にも、AWSベースのSaaSサービスを近く提供する計画だ。「UOMはAWSの監視にも対応しているため、新サービスの監視基盤としても活用したい」と細野氏は期待を寄せる。
UOMを導入し、SaaSサービスを支えるサーバ監視の効率化とアラート対応の迅速化を実現したディーバ。この強みを活かして企業経営を支える会計ソリューションの安定性・信頼性の向上に努め、SaaSサービスのさらなる価値向上を目指す考えだ。
※ 本記事は2019年8月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。