革新的なITソリューションの提供を通じ、経営課題の解決を支援するISID。広告代理店最大手である電通のグループ会社としての強みを活かし、そのノウハウをIT化することで、顧客企業と社会の発展に寄与する。
同社のビジネスを支える主力サービスの1つが、マーケティングソリューション「DMAP(Digital Marketing Platform)」である。
DMAPはニーズに応じて必要な機能やインフラを提供するクラウド型のサービス。Webプロモーションに関わる一連の機能を短納期・低価格で提供するほか、Webプロモーションを支える強固で柔軟なインフラのみ提供することも可能だ。電通が手がけるマーケティング施策を支援するほか、コーポレートサイト、ブランドサイト、キャンペーンサイトのプラットフォームとして、ユーザ企業が直接利用することもできる。
同社はDMAPの利用拡大に対応するため、約6年前にサービス提供基盤をVMware環境で再構築し、集約率の向上を図った。「しかし、従来のシステムはオンプレミス。サーバの調達・管理やリソースの増減などを自社で対応しなければなりませんでした」と同社の松島宏明氏は振り返る。
特にサーバ更新に伴い、顧客の環境を移行する際は大きな負担だったという。「移行費用はISIDが負担しなければならない上、ダウンタイムの極小化を図るため細心の注意を払わなければなりません。運用管理の手間とコストの増大が大きな課題になっていたのです」(松島氏)。
課題解消に向け、同社はDMAP基盤のクラウド化を決定した。当初は他社パブリッククラウドを活用したが、求められるニーズは多種多様だ。「パブリッククラウドだけでは、障害発生時のダウンタイム要件が厳しいお客様のニーズには十分に対応できません」と話す松島氏。解決策として、同社はパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせるマルチクラウド化を推進。プライベートクラウドの基盤に採用したのが、IIJ GIO VWシリーズである。
「これにより、ミッションクリティカルな要件のお客様にはIIJ GIO VWシリーズをベースに、それ以外のお客様にはパブリッククラウドをベースにしたDMAPを提供するといった適材適所の使い分けが可能になります」と松島氏は語る。
クラウド上にOracle RACを構築できることも大きなポイントになった。多くのパブリッククラウドは提供プラットフォームに制約があり、Oracle RACの構築が難しい。「その点、IIJは柔軟性が高く、VMware環境上でのOracle RAC構築に豊富な実績があります。難易度の高いSI作業も安心して任せられます」と松島氏は話す。
DR環境を実現できることも導入を後押しした。IIJ GIO VWシリーズは国内の東西地域にデータセンターを配し、2極体制によるバックアップやフェイルオーバーが可能だ。「災害や障害発生時でもサービス提供を継続でき、お客様の安心感の醸成につながります」(松島氏)。
またセキュリティを重視する顧客の中には、自社システムとDMAP基盤を専用線やセキュアなVPNで直接接続したいというニーズもある。「IIJ GIO VWシリーズはクラウド基盤と同じデータセンター内に個別ラックを用意し、持ち込み機器を設置することも可能です。お客様のニーズを満たす環境を実現し、最適な形でDMAPを提供できます」と松島氏は評価する。
マルチクラウド基盤を支えるIIJ GIO VWシリーズは、同社に様々なメリットをもたらしている。最大のメリットは、お客様への提案の幅が広がったことだ。「IIJ GIO VWシリーズをベースにしたDMAPを提案することで、ミッションクリティカルな要件にも対応できるようになりました」(松島氏)。
しかも、トラフィック課金ではないため、トラフィック量が増えても追加負担なしにサービスを利用できる。「例えば、大量のトラフィックが予想されるケースはIIJ GIO VWシリーズをベースにし、ファイルサーバ系をパブリッククラウドに配置するといった使い方も可能です。要件特性によって、最適なサービスをデザインできるのです」と松島氏は満足感を示す。
コストメリットも大きい。以前は繁忙期を想定して多めにインフラを用意した結果、オーバースペックになり、コスト負担を増大させる一因になっていた。「今は自前のインフラ調達は不要。必要なとき、必要な分だけリソースを増減できるので、投資の最適化につながります」(松島氏)。
当初の課題だった運用管理も軽減できた。インフラの保守管理が不要になり、担当者がデータセンターに足を運ぶ必要がなくなったからだ。「当初と比べて仮想マシン数は倍増。契約リソースも約6倍に増えていますが、運用人員は従来のままです」と話す松島氏。これからの運用を含めて考えると、より大きなコスト削減効果が期待できる。
今後は高まるセキュリティニーズへの対応を強化する。その一環として、ログ情報の管理・分析の自動化を進め、より安全・安心なサービスの提供を目指す。「将来的にはDMAP以外のサービスについてもIIJ GIO VWシリーズの活用を検討していきたい」と話す松島氏。ISIDは先進的なIT活用をより一層推進し、今後も顧客ビジネスの発展を強力に支援していく考えだ。
※ 本記事は2015年4月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
ただし、2023年の社名変更に伴い、社名とお客様プロフィールのみ変更しております。