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株式会社毎日新聞社 様、株式会社毎日放送 様株式会社毎日新聞社、株式会社毎日放送

センバツの全33試合をPC/スマホに安定配信
サーバサイドでイニング間の広告挿入も実現

選抜高校野球大会を主催する毎日新聞社は、2016年から全試合の動画をPCやスマートフォン向けに配信する公式サイト「センバツLIVE!」を毎日放送と共同で運営している。課題となっていたのは、無料のライブ中継を支える動画広告を、イニング間などライブ中継中に配信する仕組み。IIJは「IIJライブ中継ソリューション」と「IIJサーバサイド広告挿入ソリューション」の組み合わせによって、サーバサイドでの広告挿入と高精度の分析データの提供を実現した。

課題

  • 高トラフィック下でも、安定して動画コンテンツと広告を配信したい
  • サーバサイド広告挿入方式(SSAI)でミッドロール広告を配信したい
  • 想定外の事態にも対応してもらえる柔軟なサポートが必要

効果

  • 前年よりも高負荷の環境でも安定してライブ中継が実現できた
  • Webでもアプリでも、SSAIでミッドロール広告が配信できた
  • 大会開催期間中もエンジニアが待機して問題に即対処

導入前の課題

全試合のライブ中継は初年度で実現。ミッドロール広告をどう配信するか

毎春、阪神甲子園球場で開催される選抜高校野球大会(センバツ)。その全試合をインターネットで動画中継する「センバツLIVE!」は、2016年にスタートした。「より多くの人にセンバツを見てもらう機会を増やすには、インターネット経由でPCやスマートフォンに配信するのがよいと考えました」と語るのは、主催社である毎日新聞社の石川直人氏だ。

ライブ中継動画のストリーミング配信は技術的には確立されているので、初年度だった2016年でも、数百万人に及ぶユーザにも難なく全試合の様子をライブ配信できたと石川氏は振り返る。一般の動画配信で広く使われているプリロール動画広告(本編動画コンテンツの再生前に流れる動画広告)も、初年度で実現することができた。

2年目の課題は、より多くの人に視聴してもらうために「無料」で配信しているライブ中継を支える動画広告の配信数を増やすことと、その広告がどれだけ見られたかを正確に分析できるデータを取得することだった。ライブ中継中に配信するミッドロール広告(イニング間などライブ中継本編の間に流れる動画広告)が実現できれば配信数を大幅に増やせるが、技術的なハードルが高く、「2016年の時は、本編映像と広告映像を手作業のスイッチングで切り替えました」と説明するのは、毎日放送(以下、MBS)の吉田浩二氏。当然、デジタル広告で必要とされる統計は取れていなかったと明かす。

選定の決め手

国内事業者ならではのサポートを評価。IIJのSSAIソリューションを採用

ミッドロール広告は、プレーヤー(クライアント)サイドで広告挿入する方式(CSAI/Client-Side Ad Insertion)と、サーバサイドで広告挿入する方式(SSAI/Server-Side Ad Insertion)などがある。SSAI方式は、ストリーミングサーバ側で動画コンテンツの動画広告を結合して1つのストリーミングにして配信するという技術的に非常に複雑な連携が必要で、特にWebブラウザ向けのHTML5動画プレーヤーでSSAIを実現するのが難しかったため、2016年春の時点でSSAIに正式に対応した動画配信サービスは国内では見当たらなかった。「海外にはいくつか先行事例がありましたが、ネイティブアプリで配信した事例でした。われわれは、数百万人のユーザにWebブラウザでもスマホアプリでも、どの環境でも同じように快適に視聴できるサービスを提供しようと考えていました」と石川氏は語る。

2017年のセンバツLIVE!でミッドロール広告をSSAI方式で配信する、という要件が固まったのは2016年7月だった。毎日新聞社とMBSは「SSAI対応」と「数百万件のアクセスへの対応」などの要件を盛り込んだ提案要請(RFP)を出し、複数の事業者によるシステム化提案のコンペを行った。

このRFPにIIJは、「IIJライブ中継ソリューション」と「IIJサーバサイド広告挿入ソリューション」を組み合わせて提案した。動画中継に使われるIIJライブ中継ソリューションは、大型のスポーツイベントなどで多数の実績を持っていた。動画コンテンツの管理システムとプレーヤーには、ロジックロジック社を採用した。

2016年9月、毎日新聞社とMBSはIIJを採用した。決め手となったのは、通信サービスとソフトウェアの提供者が国内企業だったこと。「海外通信事業者の配信ネッ トワークでは仕様確認などの問い合わせに時間がかかりますし、想定外の事態が起きた際のサポートにも不安がありました」と石川氏は説明する。

システムの実装が始まったのは、2016 年11月。システム開発全体のマネージメントをIIJが受け持ち、毎日新聞社はセンバツLIVE ! Webサイトとスマートフォンの専用アプリにプレーヤーを組み込む部分の開発、MBSはエンコーディングした映像を配信ソリューションにつなぎこむ部分の開発という作業分担である。

導入後の効果

広告配信数は前年の約3倍。精度の高い統計データを取得

2017年のセンバツは3月19日から4月1日まで開催された。異例の2試合連続引き分け再試合が発生したため、センバツLIVE!で動画中継した試合数は全33試合となった。大会開催期間中、IIJはエンジニアを待機させる万全のサポート体制を提供した。実際に軽微なトラブルは発生したが、即座に対応することによって大事に至ることを防いだ。

 「新システムは、前年より約30%多い同時アクセスにも耐えられました」と、吉田氏。ミッドロール広告の仕組みもうまく機能し、「前年の約3倍の広告を送り出して、再生数やクリック数など精度の高い統計データを取得できました」と石川氏は評価する。センバツのライブ中継を数百万人に配信するには、製作や配信に相当な費用がかかることも事実。多くの人に高校野球を知ってもらうためには、それを支える動画広告の安定した配信が必要になる。

センバツLIVE!2017でひとまずの成果が確かめられたことを受けて、毎日新聞社とMBSはこの仕組みの活用範囲を更に広げようと考えている。「2018年のセンバツは、節目となる90回の記念大会です。インターネットライブ配信の完成度を更に高めていくつもりです」と、石川氏。吉田氏は、「毎日新聞社が主催しているその他の競技についても挑戦して、新たな視聴層の取り込みと、スポーツの普及と発展に役立てていきたいと考えています」と語る。

スマートフォンの普及にともなって視聴環境の多様化と、視聴者の増加が進む動画コンテンツのインターネット配信。IIJには、そのためのネットワークだけでなく、動画広告配信や視聴分析のための多様なソリューションがそろっている。

株式会社毎日新聞社 様、株式会社毎日放送 様へ導入したシステム概要図

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

株式会社毎日新聞社 様
東京本社 東京都千代田区一ツ橋1-1-1
創刊 1872年2月21日
全国紙として日刊新聞を発行。選抜高校野球(センバツ)、都市対抗野球、毎日書道展などのスポーツ、文化事業を主催する。最近では主催スポーツ事業のデジタル展開に積極的に取り組んでいる。

株式会社毎日新聞社 様

株式会社毎日放送 様
本社 大阪市北区茶屋町17-1
設立 平成28年7月28日
(2017年4月にMBSメディアホールディングスが設立され、その傘下になった)
資本金 1億円
放送法による基幹放送事業(ラジオ・テレビの放送)放送番組の企画、製作ならびに販売。最近ではセンバツ高校野球や高校ラグビーをはじめ、スポーツを中心にライブ配信にも注力している。

株式会社毎日放送 様

※ 本記事は2017年8月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

導入事例

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