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株式会社オーシャンブルースマート 様株式会社オーシャンブルースマート

シェアサイクルサービスにIIJの書き換え可能なeSIMが採用
スマートキーの一斉切り替えを実現し通信の安定化と信頼性を大幅に強化

業界最安値レベルの低料金を武器に次世代のシェアサイクルサービスを展開する株式会社オーシャンブルースマート(以下、オーシャンブルースマート)は、通信が安定しないスロットイン型のSIMカードを置き換えるため、IIJモバイルサービスを採用。内部基板に組み込むことができ、かつプロファイルの書き換え可能なeSIMを導入した。湿度や振動によるトラブルを回避することで、シェアサイクルサービスの生命線である通信の安定化や信頼性を大幅に強化。また、既に運用していた1,200台以上のスマートキーの一斉切り替えをスムーズに実施することで、サービスを止めることなくビジネスの継続に大きく貢献した。

PiPPAの概要についてご紹介ください。

小竹氏

PiPPAは既存のレンタルサイクルサービスのように“決まった場所から借りて”、“決まった所に返す”という縛りをなくし、当社が「ポート」と呼ぶ専用駐輪場で24時間・365日、いつでも、どこでも自由に乗り降りを可能にした次世代のシェアサイクルサービスです。自社で専用自転車やアプリを開発し、運営から保守までを一気通貫に管理することで、他のシェアサイクルサービスにない質の高いサービスをお客様に提供することを目指しました。PiPPAは企業のほか、公共交通機関や自治体などと提携し、人々の生活をより豊かにするために単なる移動手段にとどまらない「その先のサービス」の提供を重要視しています。

株式会社オーシャンブルースマート
代表取締役
小竹 海渡 氏

PiPPAの差別化ポイントはどこでしょうか。

小竹氏

30分110円(税込)の一時利用や、東京の場合24時間330円(税込)で利用できる乗り放題サービスなど、国内最安レベルの料金プランを設定していることです。他社のシェアサイクルサービスの多くは電動自転車を活用していますが、PiPPAは通常のギア付き自転車なので、そのコスト抑制分を低料金に反映しています。軽量で故障が少なく、運用も容易な点も強みです。

近年、シェアサイクル市場が伸びています。

小竹氏

PiPPAの安さ、手軽さが注目され、地方自治体と連携して導入する事例が増えています。自治体にご協力いただくことで、サービスにご賛同いただけそうな地元企業や、ポートの候補となる場所など、地域の情報を入手できるため、平均3ヵ月でサービス開始可能です。自治体も住民や観光客の新たな移動手段を提供でき、Win-Winの関係を築くことができています。PiPPAはスマートキー本体にSIMを内蔵し、スマホのアプリでサービスを完結できるので、精算機の設置など附帯工事は必要ありません。自転車3台分のスペースがあれば初期費用なしで導入が可能です。そうしたハードルの低さもご評価いただく要因になっています。

通信機能の開発にはどのようなチャレンジがあったのでしょうか。

小竹氏

最も困難だったのは信頼性の確保でした。開発当初はスロットイン型のSIMカードを検討していましたが、シェアサイクルは屋外で利用するため、台風や直射日光など天候の影響や、路面からの振動・埃、転倒時の衝撃などを受けることが多いため、SIMカードの接触不良によるトラブルが懸念されていました。特に日本の場合は湿度がやっかいです。スマートキー本体は防水処置をしているとはいえ、常に雨風に晒されると金属端子に錆などの腐食が発生します。通信不良になるとサービス自体も止まってしまうため、SIMカードまわりをいかに堅牢に作るかが最大の課題でした。

選定の決め手

内部基板に組み込み可能なeSIMを提供するIIJモバイルサービスを選択

IIJモバイルサービス選定の要因についてお聞かせください。

小竹氏

決め手は、IIJがチップ型SIM、いわゆるeSIMを提供可能な通信事業者だったからです。PiPPAのサービスは2018年1月からスタートしたのですが、スロットイン型SIMカードを採用していたため通信が安定しないという問題に直面し、その解決に苦労しました。そうした中で転機となったのが、IIJモバイルサービスがeSIMの提供を開始したというニュースでした。IIJの信頼性についてはMVNOの中でも一目置いていたので、リーズナブルなIIJモバイルサービスがeSIMで活用できることは、見直しの大きな動機になりました。
eSIMはスマートキー内部の基板に半田付けする組み込み型のため、故障の原因となるスロットなどの機構部品を大幅に削減でき、湿度や振動によるトラブルも最大限回避できます。

SIMの切り替え過程において、どのような苦労があったのでしょうか。

小竹氏

思ったほど苦労はありませんでした。IIJモバイルサービスのeSIMの検証を開始したのは2019年2月頃で、4月には本番用のプロファイルをIIJから提供を受けました。その挙動の確認が取れたことで、5月に正式導入を決定。当時はまだ、IIJがeSIMを正式にローンチする前だったのですが、当社のために特別に対応してくれたのです。
また、既にPiPPAのシェアサイクルは全国で1,200台以上が運用されていたので、一斉に切り替えをする必要がありました。IIJはそれを考慮し、既存のSIMカードからの移行をしやすくするため、一般的なEmbedded SIM型のeSIMではなく、携帯電話網を経由してプロファイルの書き換えなどプロビジョニングが可能なRSP(Remote SIM Provisioning)型のeSIMを提供してくれました。そのおかげで、手間と時間がかかると考えていた切り替え作業が一気に進みました。スマートキーのプログラム変更は必要でしたが、ネットワークを経由した番号の書き換えだけでスムーズに移行することができました。サービスを止めることなく継続できたのも、IIJのSIMに対する豊富な技術力や迅速な対応力のおかげです。

利用イメージ

導入後の効果

シェアサイクルの生命線である通信の安定化や信頼性を大幅に強化

改めて現在のPiPPAの運用状況についてお聞かせください。

小竹氏

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた何度かの緊急事態宣言があっても、ビジネスはおおむね順調に推移し、2021年4月現在、対前年比で140%伸びています。地方の観光地などでは、観光客は三密回避でバスや電車を避ける傾向があり、レンタルサイクルを選ばれる方が増えたと聞いています。また、ご利用中のプランを分析してみると、東京の都心などではビジネスや商用での利用が増えているようです。恐らく、デリバリーサービスにご利用いただいているのでしょう。特にPiPPAと親和性が高いのが地方の大学です。コロナ禍でオンライン授業が増えたため、通学バスの本数が減ったり、定員を減らしたりして通学の足が不足しています。そこに安価なPiPPAが注目されました。いくつかの大学ともタイアップし、通学手段にご推奨いただくことで、ポートを大学の周辺や学生寮などに集中して置いていただいています。

IIJモバイルサービスの活用によって得られた効果についてお聞かせください。

小竹氏

最大の効果は、通信の安定化や信頼性の強化です。PiPPAのサービスは、東京や大阪、京都以外にも、滋賀県の有田市、奈良県の斑鳩市、高知県の宿毛市、徳島県の阿南市、宮崎県の延岡市、山梨県の大月市などにも展開していますが、どのエリアでも通信状態は良好です。シェアサイクルサービスは通信が生命線であり、それが失われてしまうと大事な資産の位置を把握できず、紛失、つまり大きな事業損失につながってしまうのでとても重要な要素なのです。IIJモバイルサービスのeSIMに置き換えたことで、スロットイン型のSIMカードで発生していたトラブルが完全に解消し、ビジネスが極めて安全に運用できるようになりました。
シェアサイクルは一般の自転車よりも比較的苛酷な使い方がされると考えています。それゆえ、PiPPAのビジネスモデルではIoTであるシェアサイクルの耐久性を確認することも重要なミッションでした。また、PiPPAはスマートキーにソーラーパネルを搭載した自動給電システムを、日本で初めてシェアサイクルに採用したサービスです。小型のソーラーパネルだけで内部バッテリーに給電し、それがスマートキーを運用し、通信も滞りなく行う、タフで精密な省エネ設計が試されます。高温多湿の日本で一番の課題は湿度対策でしたが、サービス開始から現在まで、IIJモバイルサービスのeSIMを使ったスマートキーは問題なく運用できています。

書き換え型eSIMのメリットについてはいかがでしょうか。

小竹氏

はい。IIJから書き換え型のeSIMを提供いただいたことも大きなメリットにつながっています。書き換え不可のSIMカードでは、スマートキーの番号を書き換えるにはシェアサイクル本体を回収する必要がありましたが、eSIMの情報をリモートで書き換え可能になったので、作業負担の削減や時間短縮、それにまつわるコストの削減、業務の効率化につながると考えています。
また、PiPPAのスマートキーは契約ユーザーが開錠・施錠の際にデータがアップロードされる上り優先の使い方が多いのですが、番号の書き換えなどアップデートをかけることもあります。今後はそれを拡大し、サーバーを整備することで、スマートキーのシステムを通信経由で更新できるように遠隔管理の実施も考えています。

PiPPAは今後どのように展開していく計画でしょうか。

小竹氏

新しい生活様式や働き方の変化など、社会の動き方が大きく変わりました。日本におけるシェアリングエコノミーもこれから本格化するため、PiPPAの役割はますます拡大していくでしょう。また、地方では観光コンテンツの見直しが進んでおり、移動手段の多様化がテーマになっています。IoTやAI、ビッグデータなどを活用した先進的サービスを実装する「スーパーシティ」構想を推進する自治体も増え、地方や観光地におけるラスト・ワンマイル・モビリティ(公共交通機関や車などを降りた後の目的地までの移動手段)のひとつの解として、シェアサイクルサービスが改めて注目されています。そのため、自治体や企業などとのコラボレーションを推進し、PiPPAをより多くの方にお使いいただけるよう、他のシステムやサービスとAPIで連携を強化する可能性も試してみたいと思っています。IIJモバイルサービスはそれを実現する重要な鍵となるでしょう。
更に、PiPPAは基本設計から4年が過ぎ、来年度に向けて新たなスマートキーの開発も進める計画です。

最後にIIJモバイルサービスの総合的なご評価をお聞かせください。

小竹氏

IIJの通信に関する卓越した技術力や知見のおかげで、当社のものづくりのノウハウやIoT技術をおおいに活かすことができました。何より、意思決定の早さとフットワークの軽さは他社より抜きん出ており、そのスピード感がなければ競争の激しいシェアサイクルサービスの開発とデリバリーは難しかったでしょう。その迅速な対応には大変満足しています。今後も変わらず支援いただけることを期待しています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

株式会社オーシャンブルースマート
本社:東京都板橋区大和町23-3 カイホウブルータワー9F
設立:2017年8月3日
資本金:4億円(資本準備金含む)
IoT製品の開発と運営を中核とし、創業からシェアサイクルサービス「PiPPA(ピッパ)」を展開。シェアサイクル専用自転車の製造・全国展開のほか、専用アプリの開発と運営・保守までサービス全体を提供する。PiPPAを通じて地域社会のニーズを大切にしながら、利便性にあふれた革新的なIoT製品の開発と、人々の生活をより豊かにするために単なる移動手段にとどまらない「その先のサービス」の提供に努めている。

株式会社オーシャンブルースマート

※ 本記事は2021年5月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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