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株式会社Will Smart 様 株式会社Will Smart

EVにも対応した車両データ収集・管理基盤にIIJのSIMが採用
通信コストの削減により運用費用の低減に大きく寄与

導入前の課題

顧客は運用時の費用対効果に関心が高く最大の課題は通信費用の削減

貴社の事業概要と主要なビジネスについてご紹介ください。

Will Smart 杉山氏

弊社は、株式会社ゼンリンデータコムの社内ベンチャー企業として2012年に設立され、2024年4月には東京証券取引所グロース市場へ新規上場いたしました。「自らのアイデアとテクノロジーを活用し、社会課題を解決する」をミッションに位置付け、「『移動』を支えるテクノロジー企業」を事業推進テーマとして人や物の移動によって経済活動を行う事業者の課題解決に向けてソリューションの企画開発、受託開発、パッケージ販売等を行っています。具体的には、ダイヤ情報や空席情報などを統合し、バスターミナルや空港などの利用者に向けてサイネージ表示する「総合情報配信サービス」、カーシェアリングシステムやレンタカー・EV充電器の予約システム等を提供する「モビリティシステムサービス」、オンプレミスシステムのクラウド化による利便性・収益性を支援する「クラウド化支援サービス」、地域公共交通の再編につながるデータ活用支援を行う「AI・データサイエンスサービス」を提供しています。既に、鉄道、空港、バス、タクシー、レンタカー・カーシェア、旅行、物流、商業施設・集合住宅、駅等のターミナル、駐車場、EV(電動車)向け充電・バッテリー、行政(都市・交通政策、観光政策、道路政策)などの分野において実績がございます。

杉山 賢治氏
株式会社Will Smart
執行役員
国内アライアンス推進室長
杉山 賢治氏

IoT ゲートウェイパッケージの開発経緯や概要についてお聞かせください。

杉山氏

近年、カーボンニュートラル実現に向けたCASE(※1)の実装や運転手不足、地域公共交通の各種課題など、モビリティサービス事業を取り巻く環境は大きく変化しており、それに伴ってフリートマネジメントシステム(社有車や事業用車両を適切に活用するための運行管理システム)のEVシフトや、業務効率化・省人化に向けた新たなモビリティサービスの構築などの需要が増加しています。
そうした需要に応えるために開発したのがIoT ゲートウェイパッケージです。これは、弊社が400件以上の実績を重ねた「カーシェアリングシステム」の提供で培ってきた車両データ取得技術や車両制御技術の知見を活かして開発を行ったテレマティクス(※2)デバイス・車両データ収集・管理基盤です。
主に、データ取得、データ連携・車両制御の機能を備えています(※3)。車両に設置したIoT車載デバイスが、燃油残量や、EVの駆動用バッテリー残量・バッテリー状態・充電(通電)状態、総走行距離、車速、GPSの緯度経度情報などのデータを取得し、暗号化した上で、通信を用いて専用のクラウドシステムにデータをアップロード。それらのデータは各種API(REST API)でカーシェアシステムやフリートマネジメントシステムなどの既存のモビリティシステムに連携できます。また、取得したデータに計算処理を加えることでより精度の高い燃費・電費の把握や燃料法によるCO2排出量の算出を可能とし、カーボンニュートラルの対応が求められる事業者もサポートいたします。

  1. (※1)Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング)、Electric(電動化)というモビリティの変革を表す領域の頭文字を取った造語
  2. (※2)自動車などの移動体に通信技術を組み合わせてリアルタイムに双方向通信を行いながらサービス提供する技術
  3. (※3)車種や年式によっては希望するデータが取得できない可能性があります。また、Will Smartでの動作検証が完了していない車種や年式の場合、サービスにかかる費用や納品までの期間が異なる場合もあります。

他社のサービスと比較した、IoT ゲートウェイパッケージの優位点をお聞かせください。

杉山氏

主に、ガソリン車とEVの両方のデータ取得に対応した先進的なシステムであることの他、LTE Cat.M1の通信規格を採用したことで一般的なLTE通信よりも車両1台ごとの通信コストを抑制しトータルの運用費を削減できること、更にはREST APIにより既存のモビリティシステムとのデータ連携や車両制御ができること、データの種類や取得の頻度調整もでき、柔軟な設計が可能なことなどが挙げられます。
弊社は、顧客企業に対し、課題解決のコンサルティングから解決のためのソフトウェアの開発、ハードウェアの提供及び納品後のサポートまで行うトータルサービスを提供しています。そのためモビリティを活用するお客様の、「現行の車両管理システムをEVに対応したシステムにリプレイスしたい」、「車両管理にかかる通信コストを削減したい」、「シェア型マルチモビリティなど新たなサービスを立ち上げたい」といった課題やニーズを解決できます。
車両データを取得するIoT車載デバイスは、フリートマネジメントに最適な「車両データ取得専用モデル」と、カーシェアリングサービスに最適な「車両制御対応モデル」の2製品を用意していますので、お客様の事業に適したデバイスをお選びいただけます。

IoT ゲートウェイパッケージの通信機能の開発における課題をお聞かせください。

杉山氏

最大の課題は通信費用の削減でした。テレマティクスサービスは通信ネットワークが非常に重要な要素です。これまで弊社が提供するIoT車載デバイスは比較的通信費用が高額なLTEのSIMを活用して運用していたため、お客様が保有する車両台数が増えた場合にトータルコスト負担が重くなるなどの課題がありました。そこで、車両データ収集・管理基盤を開発するにあたり、お客様にヒアリングしたところ、機能の向上やバリエーションの拡大、正確な情報の取得なども重視されていましたが、実際に運用した場合の費用対効果についての関心が高く、コスト削減が重要なポイントになっていたのです。IoT ゲートウェイパッケージのターゲットとするお客様は、運用費用の削減に課題感をお持ちのため、月々の運用費用を下げる必要がありました。
運用費用の中で大きな割合を占めるのが通信費用です。そのためLTEの利用を止め、安価なLPWA(Low Power Wide Area)規格の中でも高速通信が可能で、IoT車載デバイスに最適なLTE Cat.M1のプランが存在するSIMに更新することを決断しました。そうすることにより価格競争力のある提案ができるようになると考えたのです。
弊社が調べた範囲では、一般的なテレマティクスデバイスの中でLTE Cat.M1を使ったプロダクトは国内に類例が見当たらず、移行が成功するか不安もありましたが、それが実現すれば大きな差別化ポイントになると期待しました。

利用イメージ

選定の決め手

ディスカッションを重ねIIJモバイルタイプIの完全従量制プランを選定

IIJモバイルタイプIを選定された理由についてお聞かせください。

杉山氏

決め手となった条件は主に次の3つです。1つ目は、信頼性と安定性です。他のソリューションでは、LTEの「IIJモバイルサービス/タイプD」(以下、IIJモバイルタイプD)を活用していたこともあり、IIJのSIMに信頼性があったほか、NTTドコモの回線を活用する接続の安定性やサービスエリアの広さについては高く評価していました。IIJモバイルサービスにはLTE Cat.M1対応のSIMも提供されていたため優先して検討。IIJは弊社の環境やサービスモデルを理解してくれていたので、安心感も選定の大きな理由となりました。
2つ目は、コストの抑制です。前述したようにお客様の多くは通信費用を抑えたいという強いご要望をお持ちでした。そのため、まずはLTEからIIJモバイルタイプIに変更することで通信費用を削減できると考えました。またカーシェアのビジネスは車両ごとにデータの量と頻度が変わるため、IIJの担当者と弊社の開発本部が何度もディスカッションしながら、最も運用コストが抑えられる方法を検討していきました。その結果、完全従量制プランを提案していただき、大変助かりました。
3つ目は、モビリティへのIoT/M2M(Machine to Machine)の最適化です。LTE Cat.M1のIIJモバイルタイプIは、低消費電力で広域・長距離間通信の特徴があるため、IoT ゲートウェイパッケージのIoT車載デバイスから収集したデータをクラウドシステム経由でモビリティシステム側に連携するという目的においては最も適していました。

導入後の効果

通信コストの削減が実現したことで、運用費用が低減することを期待

IIJモバイルタイプI採用の効果についてお聞かせください。

杉山氏

IIJモバイルタイプIを搭載したIoT ゲートウェイパッケージは、ガソリン車だけでなくEVにも対応した車両データ収集・管理基盤として注目度も高く、モビリティ関連の事業者からもお問い合わせをいただいております。開発の過程でIIJのエンジニアには手厚いサポートをいただいたおかげで、無事リリースできたことも成果のひとつです。従来のLTEとLTE Cat.M1とではSMS(ショートメッセージ)の処理が異なることから、ソフトウェアの仕様を変更する必要がありましたが、IIJには対応のためにお時間をいただき、何度もアドバイスを受けることで解決することができました。こうした手厚いサポートは新しいソリューションを開発する上で非常に心強く、とても感謝しています。
また、サービス提供開始からまだ日が浅いため分析をするには時期尚早ですが、IIJモバイルタイプIに移行したことで通信コストの削減が実現し、当初の目的であったお客様の運用費用の低減にも大きく寄与していると思われます。データ量に応じた従量課金プランもデータ量の少ない車両にメリットをもたらしていると考えています。現在までトラブルもなく通信も安定しており大変満足しています。

今後の展開計画についてお聞かせください。

杉山氏

今後は、IoT ゲートウェイパッケージを活用して「カーシェアやレンタカー事業者のDX化」「物流の2024年問題」「フリートマネジメントシステムのEVシフト」「カーボンニュートラルの実現」「地域交通の維持」といった課題に対応させていく考えです。
特に物流の2024年問題は大きな社会問題となっており、物流車両に対応したファームウェアを整えていくことが喫緊のテーマになっています。そのため、IoT ゲートウェイパッケージのようなテレマティクスデバイスを使って省人化・無人化をする取り組みのニーズも高まると思っています。
また、モビリティ関連資産を今後どう効率的に活用していくのかを考えるにあたり、車両動態管理(フリートマネジメント)による運行管理やドライバーの最適配置、配車計画の策定などのご要望も増えていくと思いますので、ぜひIoT ゲートウェイパッケージを基盤システムとして活用いただきたいと思います。

最後にIIJのご評価や今後に期待することなどをお聞かせください。

杉山氏

IIJモバイルタイプIの高い通信品質はもちろんのこと、IIJのサービス開発における手厚いサポートにはとても感謝しています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

株式会社Will Smart
本社:東京都江東区富岡2-11-6 HASEMAN BLDG5-1
設立:2012年12月12日
資本金:545,850,000円
株式会社ゼンリンデータコムの社内ベンチャー企業として2012年に設立。「移動」を支えるテクノロジー企業として、モビリティ業界を中心とした事業課題解決に対してDX技術を駆使したソリューションの企画・提案、ソフトウェアの受託開発と運用支援を行う。

株式会社Will Smart

※ 本記事は2024年3月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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