金田氏
当時は他に選択肢がないと思っていたのです。ハードルは高いけれど自分たちでデータ移行を行おうと思っていたとき、IIJから「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」の提案を受けました。
澤田氏
インタフェースを個別に開発することなく、クラウドに分散するデータを連携できる点ですね。既にkintoneの利用は開始していましたが、そのkintoneとの連携にも対応しています。自分たちが開発しなければならないと思っていた機能がサービスとしてあるわけですから、これを利用しない手はないと思いました。
金田氏
「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」を使えば、『作らずにつなぐ』ことができます。このメリットを活かせば、手間とコスト、リスクの大きいデータ移行をしなくても済みます。AWS上のシステムとデータは残したままで、フロント系はkintoneを使うことにしました。AWSともシームレスに連携するので、必要なデータは「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」を介してフロント系に取り込めばいいわけです。
その中でkintone側にデータ移行が必要なものは段階的に移行していけばいい。システムを止めることなく、業務への影響も最小化できます。
金田氏
当初はシステムの全面刷新も検討しましたが、全面刷新するにしても、開発は内製化したいと考えていました。「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」を使えば、内製化という当社の方針も実現できます。
金田氏
IIJは自社でクラウドサービスを提供するほか、AWSやMicrosoft 365などのパブリッククラウドの導入も支援しており、クラウドに関する知見や技術力が高いと思います。その強みを活かし、当社の業務を理解した上で、具体的な使い方を提案してくれたため、戸惑うことなく使い始められました。
澤田氏
ワークフローの作成や設定など技術的な問い合わせに対するレスポンスも早くて的確でした。専用のヘルプデスクがあるような感覚で心強かったですね。IIJはサービスを提供するだけでなく、その価値を最大限に引き出すために伴走してくれます。こうした対応も大きな選定ポイントになりました。
澤田氏
2023年1月に正式契約し、同4月から利用を開始しました。
既に私たち以外に十数名がフロント系にkintoneを、旧システムのデータ連携に「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」を使っています。
澤田氏
ローコード/ノーコード開発の場合、ある程度開発の制限はあるのだろうと思っていましたが、それがほとんどありません。思った以上に自由度が高いですね。データ連携処理も、フローを作成するだけでコンポーネント化できます。
これまではシステムの改修や機能追加は現場の要望を受けて、私たちが対応するというスキームでしたが、現場で対応できることが大きく広がりました。使い勝手が向上した上、やりたいことが簡単にできると現場のメンバーにも好評です。
実際、業務のスピードも上がり、『現場発』のアプリがいくつも生まれています。目指していた開発の内製化が着実に進みつつあります。
金田氏
ブラックボックス化したシステムのデータ移行というリスクを回避できたことも大きなメリットです。AWSにあるシステムのデータには手を付けることなく、ローコード/ノーコードで連携ができるからです。業務効率を左右するフロント系はデジタル化しつつ、これまでの情報資産も有効活用できます。
データ連携の多様なインタフェースも用意されているため、個別の作り込みも不要になりました。連携インタフェースを個別に開発する場合に比べ、期間・コストとも大幅に削減できました。
金田氏
開発やデータの取り込みが容易に行えるので、トライ・アンド・エラーがやりやすくなりました。このメリットを活かし、お客様からのメールオーダーを受注管理システムに自動入力する仕組みを開発し、業務の自動化を推進したいと考えています。
澤田氏
AWS上にある旧システムの機能を2024年度中にはすべてkintoneに移行する計画です。同時に社内での教育を進め、全社員がkintoneと「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」を利用できるようにし、内製化をさらに加速していきます。
金田氏
グループ会社の中にはkintoneを使っている会社もあります。そうした会社とは「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」を使えば、データ連携も容易に行えます。「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」をグループ会社でも活用し、利用範囲を広げることも視野に入れています。
開発の内製化とデータの利活用を促進し、業務のデジタル化を推進していきたいですね。今後もIIJには新機能や有効な活用法の提案など、多方面でのサポートを期待しています。
※ 本記事は2023年10月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
既存システムの基盤を継承しつつ使い勝手を向上させたい
御社の事業について教えてください。
ヨシケイライフスタイル 金田卓氏
当社は夕食用ミールキットの宅配サービス「ヨシケイ」の富山、石川、岐阜エリアを担当するフランチャイズ会社です。エリアのお客様からのオーダーの受け付け、食材の仕入れ・加工、配送などを担っています。
昨今はタイムパフォーマンスが叫ばれ、食事に費やす時間を惜しんだり、短くしたりする向きもあるようです。しかし私たちは、家族全員が食卓を囲んで会話をする。そんな団欒のひとときを大切にしたいと考えています。
家事や仕事、子育てなどで買い物にもなかなか行けないお客様に代わって、夕食の食材をお客様の玄関までお届けします。買い物の時間や下ごしらえの時間を短縮でき、毎日の献立にも悩まされずに済むので、生活にもゆとりが生まれます。
メニューは管理栄養士監修のもとで開発しているので、栄養バランスも安心です。種類も豊富にそろっています。温めるだけですぐ召し上がれるもの、育ち盛りのお子様に喜ばれるボリューム満点のメニュー、和食をメインとした健康志向のメニューなど、お客様の好みやライフスタイルに合わせて選ぶことができます。
「楽しい食卓・明るい家庭」をモットーに、家族全員が笑顔になるような夕食づくりをサポートしています。
業務の基幹を担うシステムは自社開発されたそうですね。
金田氏
Microsoft Accessをベースに内製開発したシステムを長年にわたり使用しています。受発注や顧客管理、仕入れや食材の在庫管理、配送管理、人事管理まで、当社の業務のほぼ全領域をカバーする重要なシステムです。
ヨシケイライフスタイル 澤田崇仁氏
自社環境で運用していましたが、データがどんどん肥大化したため3年ほど前にAWSに移行し、データベースはPostgreSQLに切り替えました。基盤はクラウド化できたのですが、システムには大きな課題を抱えていました。
どのような課題ですか。
澤田氏
一番の課題はシステムのブラックボックス化です。システムの中には退職した社員が開発したものも多くあったからです。
金田氏
当社の情報システム担当は澤田も含め3人だけ。それ以外にシステムを構築・更新・保守できる人材は皆無でした。システム自体も古いので、簡単に手が付けられるものではありません。
それでも、使い勝手の改善や機能追加の要望が現場からたくさん上がってきます。3人だけでは対応しきれないので、内製化を進めるため、システムのフロント部分に、ローコード/ノーコード開発プラットフォームのkintoneを導入しました。
これによってフロント系の使い勝手や開発作業は向上したのですが、肝心のデータ部分は手付かずのままでした。
データはAWS上に残っていたわけですね。
金田氏
そうです。データに関しては自分たちで移行することを考えていました。しかし、基幹を担うシステムなので止めるわけにはいきません。タイミングを考えながら、段階的に移行していくつもりでした。