デジタルコンテンツ事業や女性向け情報サイトなどを展開するザッパラスグループ。主力サービスである占いコンテンツは300種類以上。占いコンテンツの分野において、大きなマーケットシェアを誇る。
デジタルコンテンツ事業を展開するザッパラスグループにとって、ITシステムはビジネスの生命線である。有料サービスも数多く提供しており、サービスの停止はビジネス機会の損失に直結する。サービスが止まれば、利用者に迷惑をかけるだけでなく、社会的な信用にも影響する。システムの安定稼働や障害の早期検知と迅速な対応は、同社のビジネス上とても重要だ。
ザッパラスの清水伸彦氏は、同社の運用体制を次のように説明する。「当然、サーバ環境は常時監視しています。委託しているMSP(マネージド・サービス・プロバイダ)事業者がアラートを検知すると、MSPの担当者が当社のインフラ担当者にメールや電話で通知。インフラ担当者が即座に対応する体制でした」。
しかし、MSPはシェアードサービスのため稼働状況によってはアラート発生から担当者への通知時間に遅れが生じる。「アラート発生から通知までに最大20分ほどかかることもありました」と清水氏は振り返る。
コンテンツ事業を支えるサーバは、バックアップや開発環境も含めて約700台。事業の拡大やユーザ数の伸びに応じて、毎年20台から30台のペースで増え続けている。また、占いの需要が高まる年末年始や著名な占い師のテレビ出演後には、アクセス数が跳ね上がる。「対応の遅れが甚大な被害につながる恐れもあります。この状況を改善することが急務でした」と清水氏は語る。
アラートの検知から通知までの時間をいかに短縮するか。この実現に向けて、ザッパラスが選定したのが「IIJ統合運用管理サービス」(以下、UOM)である。
UOMはシステム運用を効率化するSaaS型サービスだ。システムで発生する膨大なアラートを自動フィルタリングし、チケットに自動で登録。事前に定めたルールに基づいて必要なアラートだけをシステム運用担当者へメールや電話で通知する。オペレーションの自動実行やジョブ管理にも対応し、システム運用の効率化をサポートする。自社システムがクラウドでもオンプレミスでもアセットレスで利用でき、月額利用料は非常に安価だ。
「人が確認・判断していたアラート通知の作業を、わずかな負担で自動化できる点を評価しました。従来の運用体制を変える必要がないため、導入に伴う既存業務への影響も非常に少ない」と清水氏は選定の理由を述べる。
同社はまず2018年8月にトライアルを実施した。「発生したアラートを漏れなく、ブレなくスピーディに通知してくれる。その正確さと速さを実感したことで、迷うことなく正式導入を決めました」と清水氏は話す。
アラート発生時の電話連絡先など、サービス利用に必要な設定はユーザ自身が専用のWebポータルからいつでも行える。変更のたびに委託会社に依頼をしていたこれまでと比べると、運用ポリシーの変更がスムーズになったという。
同社は約1カ月半のトライアルを経て、2018年9月中旬よりUOMの正式利用を開始した。コンテンツ事業を支える700台超のサーバはオンプレミスのほか、AWS(Amazon Web Services)などのクラウドも利用する。分散したサーバ環境もUOMから統合的にアラート通知しているという。
導入メリットとして、まず挙げられるのが、障害対応のスピードアップだ。「アラートの検知・通知を自動化できるため、通知時間にばらつきがない。アラート発生からインフラ担当者への通知まで、10分とかかりません。より迅速な対応が可能になり、システムの安定性向上につながっています」と清水氏は説明する。
大幅なコスト削減も可能になった。人による作業が不要になったからだ。「従来と比べ、コストは97%削減されています」(清水氏)。
今後はUOMの有効活用を図り、さらなる運用管理の効率化を目指す。例えば、サーバ再起動などのオペレーションの自動実行機能を活用することで、インフラ担当者の作業負担も大幅に減らせる。また、チケット管理機能により、対応履歴の記録・確認を効率化するほか、ナレッジやノウハウの蓄積・共有化にも役立てたい考えだ。「より効率的・効果的な使い方を目指す上で、IIJが持つ豊富な知見とノウハウは大きな魅力です。これからも有意義な情報提供とサポートを期待しています」と清水氏は話す。
UOMを導入し、700台超におよぶサーバ環境の監視とアラート対応を劇的に変革したザッパラス。この強みをコンテンツサービスの安定・信頼の向上につなげ、さらなる事業の成長を目指す。
※ 本記事は2018年12月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。