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コラム|Column

グローバル戦略2015

2014/12

日本企業の国際展開を取り巻く状況は目まぐるしく変化しており、特にアジアにおいては、時機を得たIT戦略が不可欠になっています。 2015年のIIJグローバル戦略の所感メッセージです。

2014年10月、イギリスにおけるIIJ GIOクラウドサービスの本格的な開始により、日本に加え、世界の主要拠点であるアメリカ、中国、シンガポール、イギリスという五極展開が完成しました。この構築に合わせて、ロシア回りの回線も準備され、IIJが運用するバックボーンネットワークが世界一周し、世界中へグローバルなITサービスを迅速に提供できる環境になりました。

しかしながら、拠点毎にお客さまが抱えている要望は様々です。各拠点のソリューションマップを比較すると、アメリカは多様なサービスを提供するコンシューマライゼーション的なサービス、イギリスは重厚なITサービスマネージメントやプロジェクト志向、中国は人件費が安いにもかかわらず自動化の追求、シンガポールは寄港地に相応しく全方位的と、各々異なっています。IIJはグローバルで骨太な事業戦略と各ニーズにお応えできる体制を構築していきます。

渦巻きのようなアジアの潮流

メディアの方から「最近、日系企業のアジア進出ネタが多い」という話をよく聞きます。事実、海外進出セミナーが数多く開催されています。面白いのは、タイの進出誘致のセミナーでは「チャイナシフトの行き先はタイです!」と声高にアピールし、インドネシアの経済セミナーでは「チャイナシフトはタイ・プラスワン!」と喚起しています。さらにインドの工場進出セミナーに行けば、「脱アジアで巨大マーケット・インドへどうぞ!」と、各国による招致合戦の様相を呈しています。未開の市場を狙って進出のスピードは増しており、地域を包含した柔軟性の高いITシステムの構築が必須となっています。

2014年9月、インドネシアで「ジャカルタ・モーターショー」が開催されましたが、同じタイミングでそれまで牽引役を担ってきたタイが新車の販売台数でインドネシアに抜かれました。同モーターショーで目を引いたのが、若者へアピールするための、とても華やかな超高性能車やデコレーション仕様車でした。日本は失われた十数年のあいだに、若者に対するマーケティングも同時に失われたと言われています。インドネシアの人口は2億4千万人で、世界第4位の市場です。今、日本企業はあらゆる分野で果敢にチャレンジする最大のチャンスだと言えます。インドネシアは我が国にとって、今後のグローバル展開を占ううえで絶対に負けられない市場なのです。

我々もインドネシア進出の機会を注意深く探っていましたが、外資規制が厳しく、市場への洞察もないため、ジョイントベンチャー型での進出を決定しました。パートナーはネットワークインフラ投資に積極的で、我々のインターネットやクラウド技術と最大限の相乗効果を持ちながら市場参入していきます。現地で構築するクラウドには当初からビッグデータオプションも用意されていて、大きな国土の市場を狙っていける仕様になっています。シンガポールの地域統括拠点型クラウドと併せて、柔軟で迅速なITを提供していく考えです。

想像を超える変化・スピード

近い将来、上場企業の75パーセントが海外進出する、とされています。IT予算も海外への投資が増えています。さらに、日本の組織の一部を切り出して海外に移管するといった動きも出始めており、これは10年程前、外資系企業において人事はシンガポール、経理はインドといったように、世界レベルで集中・管理を進めた動きに似ています。そのために、世界レベルでERPプロジェクトなどが走り始めています。

躍進を続ける日本のベンチャー企業のなかには、海外に拠点を移そうとしている経営者もいます。撤退を考える中国進出企業がある一方で、初めての海外展開先として中国へ進出する企業もあります。また、中国から撤退して、欧米の市場に再チャレンジする企業も少なくありません。日系企業の動きは、一年前では予想できなかったスピードで刻々と変化しており、2015年も想像を超えたことが起こるでしょう。IIJはインターネット、クラウド技術を用いて、世界中のお客さまとともに歩んでいきます。

IIJ グローバル事業本部 グローバル企画部 清水博

本記事は、弊社広報誌のVol.125 (2014年12月発行)に掲載されています。
特集 IT Topics 2015「グローバル」
IIJ グローバル事業本部 グローバル企画部 清水 博
https://www.iij.ad.jp/news/iijnews/2014/pdf/vol125.pdf