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コラム|Column

海外でクラウドを運用する前に(後編)

2015/02

海外でクラウドを運用することは、企業の体質を強化するチャンスとも考えられます。本コラムでは、海外でのクラウドの効用をまとめてみました。

ITガバナンスの所在

本社IT部門からの支援の欠如に現地トップは悩みます。現地法人からみると、支援どころか、徐々に強化される本社からのガバナンスの要求に戸惑うケースも多いようです。かつての日本企業はグローバルに展開していても、実際のオペレーションは現地に任せているケースがほとんどでした。ITに関しては、国内優先や海外にまで手間をかけられないといったことから、放任しているケースも多くありました。法人内の閉じた販売状況や生産管理など、拠点の情報管理を行う範囲なら問題ないかもしれませんが、グローバルな情報連携やリアルタイムな経営情報となると話は別です。

海外法人のセキュリティは本社に比べて機能やレベルが低いことが多いので、バックドアを仕掛けられる可能性があり、海外オフィスの大小に関かかわらず細心の注意が必要です。対策としては、拠点毎のセキュリティの担保、グローバル規模でのガバナンスの周知と徹底が必要です。

クラウドならアクセス管理や認証サービスを利用しやすく、仮想化技術やネットワークセキュリティ技術を適切に設定することで、システム毎に安全なリソースを切り出すことができ、それらを専用のリソースと同じように利用できます。

海外特有の展開プラン

グローバルなIT展開プランに大まかなグランドデザインは必要ですが、予定通り進まないことが多いため、実行にあたってはフェーズド・アプローチが望ましいでしょう。成功しているお客様は、計画の実行を急ぐことなく、適度な冒険心を持ち合わせて、拠点毎に確実立ち上げてそのノウハウを結集し、他拠点にも展開していきます。肝心なのは、必要最低限のシステムを構築することです。

クラウドの場合、一つ一つの成功を検証して進むことができるので、予定より大きなシステムに拡張する際も段階的な投資で済みます。従来のように箱物としてのサーバーを決定して進める場合と異なり、業務アプリケーションを考える際もサーバーに合わせてその要求を拡大・削減するといったことはなくなります。

また複数拠点でクラウドを運用すれば、クラウド上のアプリケーションを共同利用するなど、クラウド基盤が会社共通のプラットフォームになると同時に、本社・海外拠点間でのリアルなコミュニケーションも増大します。多くのプロジェクトで発生する問題はコミュニケーションの不足に起因するため、コミュニケーションも増大は、様々な問題の防止につながります。

海外でのIT構築の全てのフェーズにおいて、クラウドは皆様のお役に立つことができます。IT業界では使い古されたセールストークですが、IIJのクラウドなら駐在員の費用も不要で、海外のIT部門の一員として間違いなく活躍してくれると確信しています。

IIJ グローバル事業本部 グローバル企画部 清水博

本記事は、弊社広報誌 Vol126(2015年2月発行)に掲載されています。
特集 Cloud Update「海外でクラウド運用」
IIJ グローバル事業本部 グローバル企画部 清水 博
https://www.iij.ad.jp/news/iijnews/2015/pdf/vol126.pdf