クラウドへのIAM導入方法と情報セキュリティ対策
index
2023/05/25
- 具体的なIAMの導入方法について知りたい
- リモートワークの拡大や海外拠点の拡充に対する情報セキュリティ確保の方法について知りたい
以前のコラムで、IAM(Identity and Access Management)とPAM(Privileged Access Management)の特長を詳しくご紹介しました。どちらも社内の情報セキュリティ管理には必要なソリューションである事はご理解いただいていると思います。本コラムでは、クラウド時代において、IAMがどのような役割を果たすのか、その関係性を解説します。
(以前のコラム)IAMとは?PAMとの違いは?クラウド時代のアクセス管理を解説
クラウドとIAMの関係
新型コロナウイルスの流行により、クラウドの利活用は急激に進みました。多くのユーザーやデバイスが多様なリモート環境からアクセスするため、認証や権限管理がより重要になります。そのため、クラウドサービスを利用する企業では、IAMを用いて従業員のアカウント管理やアクセス権限の制御を行い、セキュリティレベルを維持しながら効率的なリソース利用を実現する必要があります。
クラウドにIAMを導入する方法
クラウドにIAMを導入する方法はいくつかありますが、ここではシンプルで一般的な方法をご紹介します。
1. クラウドプロバイダーのIAMサービスを利用する
主要なクラウドプロバイダーは、それぞれ独自のIAMサービスを提供しています。これらのサービスを利用することで、クラウド内でのユーザー認証や権限管理が容易になります。 利用するクラウドプロバイダーの公式ドキュメントやチュートリアルを参照し、基本的な機能や設定方法を学びましょう。
2. サードパーティのIAMソリューションを利用する
クラウドプロバイダー以外にも、サードパーティの企業がIAMソリューションを提供しています。これらのソリューションを利用する事で、複数のクラウドプロバイダーやオンプレミス環境との連携が可能で、より柔軟なアクセス管理が行えます。
サードパーティ制のIAMは、通常ウェブベースで提供されており、管理画面から簡単に設定や運用が行う事ができます。
導入手順
クラウドにIAMを導入する方法は以下の手順で進めます。
- 目的と要件を明確にする
- 適切なIAMソリューションを選択する
- IAMソリューションの設定と運用を行う
- 社内の従業員に適切な教育とトレーニングを提供する
まず、クラウドでのIAM導入の目的と要件を明確にします。例えば、どのクラウドサービスに対してアクセス制御を行いたいのか、どのような権限管理が必要なのか、コンプライアンス要件は何かなどの整理が必要です。
上記で説明したように、IAM導入は目的と要件に応じて、最適なソリューションを選択し、選択したIAMソリューションに従って、ユーザーの登録、認証方法の設定、アクセス権限の割り当て、監査設定などを行います。さらに定期的にアクセス権限の見直しや監査ログのチェックを行い、セキュリティ状況を維持・向上させることが必要です。
同様に従業員に適切なアクセス管理やセキュリティに関する教育やトレーニングの提供も重要です。これにより、従業員がIAMソリューションを正しく利用し、セキュリティ意識を高めることができます。
セキュリティ維持に必要なこと
高いセキュリティを維持するために重要なポイントや必要な対策を解説します。
1. 多層防御
情報セキュリティは、単一のソリューションや施策に依存するのではなく、複数ポイントでのセキュリティ対策を重ねることで、さまざまな脅威に対処できるようにする「多層防御」が重要です。仮に一つの対策が破られても、他の対策でリスクを軽減し、セキュリティを維持することができます。
2. 異なる脅威への対応
情報セキュリティには様々な脅威があり、不正アクセス、マルウェア、内部犯行、DDoS攻撃といった異なる脅威に対応するために、それぞれの目的に合わせた複数のソリューションを構築する必要があります。
3. 総合的なセキュリティ対策
情報セキュリティは、技術的対策だけでなく、組織的対策や人的対策も含めた総合的な対策が求められます。これらをバランスよく実施するために、複数のソリューションを同時進行で構築し、適切なリソースを割り振ることが重要です。
4. セキュリティ状況の変化に対応
情報セキュリティの脅威は日々変化し、新たな攻撃手法が登場します。そのため、現行のソリューションだけでなく、新しい技術や手法にも対応するために、複数のソリューションを同時進行で構築し、適応力を持たせることが重要です。
オールインワン方式のリモートアクセスを導入するのがおすすめ
セキュリティ対策をさらに強化するにはどのような対策を優先的に実践していけばよいのでしょうか?その一つにリモートアクセスのセキュリティ強化があります。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが進んだことで、信頼できない環境などから社内の情報資産にアクセスし、そこが抜け穴になってしまうケースが多く発生しています。これまで説明したIAMやPAMを組み合わせて適切に権限を管理しながら、安全に社内へアクセスさせる手段を確立しなければ、永遠にセキュリティリスクを抱えることになるのです。
そこで、オールインワン方式のリモートアクセスを導入することがおすすめです。オールインワン方式で導入するメリットの一つとして、すべてのアクセスがユーザーごとのログとして残る事があげられます。バラバラに導入するよりもログからの照合がしやすく、万が一攻撃された場合、復旧や原因究明がしやすい事も大きなメリットです。オールインワン方式のセキュリティシステムを導入するメリットをいくつかまとめてみます。
1. 統合管理
オールインワン方式のリモートアクセスでは、複数のセキュリティ機能が一つのプラットフォームで統合されているため、管理が容易になります。異なる機能同士が連携することで、効果的なセキュリティ対策が可能になります。
2. 低コスト
セキュリティソリューションを機能に合わせてそれぞれ導入するよりも、オールインワン方式のシステムの方がコストを抑えられる場合があります。一つのシステムで複数の機能を提供するため、導入や運用コストも削減できます。
3. 使いやすさ
統合されたインターフェースを提供するため使いやすさが向上します。異なるセキュリティソリューションを別々に管理するよりも、一つのプラットフォームで管理する方が、従業員の学習コストも低く、効率的な運用が可能です。
4. 一貫したポリシーの適用
一つのソリューションでセキュリティポリシーを一貫して適用することが可能です。これにより、異なるセキュリティ対策間でポリシーの整合性が保たれ、効果的なセキュリティ対策が実現できます。
IIJが提供するZTAサービス「Safous」のご紹介
IIJでは、オールインワン方式のセキュリティシステムであるZTAサービス「Safous」を提供しています。SafousはIAMやPAMなどの機能を併せて提供するため、複数のソリューションを別々に導入・運用する手間が省け、コストを削減する事もできます。詳しくは下記Safousのウェブサイトをご覧いただくか、お問い合わせボタンからお気軽にご連絡ください。
まとめ
ここまで、クラウドにIAMを導入する方法や、セキュリティ維持に必要なことを説明しました。
- クラウドの利用拡大に伴い、IAMの重要性が高まっている理由は、リモートワークやモバイルデバイスの利用、クラウド上のリソースへのアクセス管理が求められるため
- クラウドにIAMを導入する方法には、クラウドサービスプロバイダが提供するIAMサービスを利用するか、サードパーティのIAMソリューションを利用することが挙げられる
- 情報セキュリティを構築する際に複数のソリューションを同時進行で構築する理由は、多層防御、異なる脅威への対応、総合的なセキュリティ対策、そしてセキュリティ状況の変化に対応するため
- オールインワン方式のリモートアクセス導入をおすすめする理由は、統合管理、低コスト、使いやすさ、一貫したポリシーの適用が挙げられる
IAMとPAMの説明や違いについては以下のコラムで解説していますので、ご参照ください。