ITU Telecom World 2015出展レポート
2016/03/03
テレコムの若きビジョナリー、ブダペストに集う
2015年10月12日(月)~15日(水)までの4日間、ハンガリーの首都ブダペストで開催されたITU Telecom World 2015に参加しました。
「ITU Telecom World」は、ITU(International Telecommunication Union、国際電気通信連合)が毎年開催している恒例の世界的イベントで、昨年は10月に「ドナウの真珠」とも言われるブダペストで開催されました。
ITUは1865年にフランスのパリで設立された国際連合(UN)の専門機関の一つで、その目的は電気通信の改善と合理的利用のため国際協力を増進し、電気通信業務の能率増進、利用増大と普及のため、技術的手段の発達と能率的運用の促進にあります。また、近年においては開発途上国に対する技術援助の促進に力を入れています。本部をスイスのジュネーヴに置いており、日本は、1959年から理事国としてITUの管理・運営に参加しています。
活発な議論で熱気に包まれる会場
ITU Telecom World2015のテーマは「ICT社会の実現」と「SME(Small and Medium-size Enterprise)による産業の活性化」で、5G、IoT(Internet of Things)、ビッグデータといった、今最も注目を集めている技術の最新動向が発表、展示されていました。
展示を行ったナショナルパビリオンは30ヵ国あまり。そのうち、アフリカ勢が国ごとにパビリオンを構えて、全体のおよそ1/3のスペースを占めるほど大規模に取り組んでいました。中欧、中東の国々からの出展に加え、アジアからは日本、中国、韓国、タイ、インドネシアが顔を揃えました。
イベント会場では、ICT関連の機器・サービスの展示だけでなく、産学官のリーダーによるパネルディスカッションやテーマ毎のフォーラムセッションが行われ、活発な議論が交わされました。特にアフリカ、中東からの参加者が積極的に商談を繰り広げていたことがとても印象に残っています。このイベントは、発展途上にある自国で急速に高まっているインターネットや通信の利活用へのニーズにどう応えるべきか、インフラのあり方を模索する政府や企業と、一方で先進の技術を持ち新たなるマーケットを探している先進国の政府や企業のマッチングの場でもあります。日本は「日本パビリオン」を出展し、複数の日系企業が参加しました。IIJもその一員として、来たる新データ時代を支えるインフラ基盤、独自開発のモジュラー型データセンター「co(コ)-IZmo(イズモ)/I(アイ)」を紹介しました。
厳しい環境にこそ、「co-IZmo/I」
「co-IZmo/I」は、以下の特徴を備えたデータセンターモジュールです。
1. データセンターに必要不可欠なコンポーネントを凝縮
- ・工事のコスト低減/工期短縮
- ・Tier3レベルのデータセンター実現
2. 間接外気空調を採用
- ・高い省エネ性と電力コストの大幅低減
- ・寒冷地や高温・高湿度、外気空気質の悪い場所でも設置可能
3. 連結モジュールアーキテクチャ
- ・簡単かつ高い拡張性、高いROI
4. 1ラックあたり10KVAを給電することができる高密度設計
また、構築期間が非常に短いということも、特徴のひとつです。これらの特徴は、発展途上国において、急速なインターネットやモバイルデバイスの普及、旺盛なクラウドサービスのニーズ、ひいてはその基盤となる堅牢なデータセンターファシリティへの要望に対する解となり得ます。IIJが欧州や東南アジア等へ「co-IZmo/I」を輸出した実績があることを含めて、アフリカ、中欧、中東諸国の政府機関や企業の方から非常に高い関心が寄せられ、少なからず驚いたとともに、これらの地域のニーズにしっかりと応えられるよう、サービスをチューンアップしていかなくてはならないという使命感を覚えました。
「co-IZmo/I」の特徴を詳しく知りたい方、動画やWebサイトをご覧ください。
国際社会への貢献を目指して
ITU Telecom World2015のディスカッションの中でSMEからは、ファイナンスの支援もさることながら、彼らの開発した技術をビジネスの形に作り上げていく支援を強く要望する声が多くあり、技術面、マーケティング、販売活動等々での大企業の支援を求める声が多く挙がった一方、SMEの開発した技術を大企業が採用して製品に取り込むのに非常にリードタイムが長いという不満が出ていました。IIJもかつてはベンチャーでしたが、現在はSMEにも使いやすいクラウドサービスならびにクラウドを支えるインフラ基盤として活用されるモジュール型データセンターを提供・運用しています。データセンターの提供は「モジュール」を海外へ輸出するにとどまらず、データセンター、クラウド基盤構築、システム運用をワンストップで輸出することで、迅速なビジネスの立ち上げに貢献することができますし、それは当該地域での経済発展に寄与するものと期待しています。
風間 優子
株式会社インターネットイニシアティブ
サービスオペレーション本部 データセンターサービス部