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2018年4月2日
株式会社インターネットイニシアティブ
代表取締役会長 鈴木 幸一
入社おめでとうございます。
IIJは、去年の12月に設立から25年を迎え、やっと四半世紀が過ぎました。IIJは、インターネットが――設立の当時はインターネットを使っている人も1000人に満たなかったのですが――電話に代わるような通信手段になる、ということを実現しようと思い集まった人達が始めた会社です。最初の2年くらいはあまり給料ももらえず、まともな椅子もない状態だったのですが、インターネットというすごく大きな技術革新が起きて、それが100年単位で続いた通信の基盤である電話に代わるものだと信じていました。なかなか世の中には理解をしてもらえず、籠城のように解体間際のビルで事業を始めたわけです。
インターネットはまだ歴史が浅く、一般に普及し始めたのは皆さんがまだ赤ちゃんの頃ですが、わたしが初めてインターネットに接したのは50年近く前になります。その頃に、インターネットという通信インフラによって世の中がどのように変わるのかと想像していたことが、今ようやくかたちになってきています。かたちになってきたらとても怖い面もある技術だということが今になってわかる人もいれば、私達みたいに想定はできていても具体的にかたちになったときに、ここまでになるのかという意味で想定を超える部分もありました。これから25年後を考えると、あらゆる通信やコンピュータというものがテレビを含めてコンピュータサイエンスの上で動くという世界において、インターネットの技術は今後も発展していくだろうと思います。
今後、一番大きく変わるものは、エレクトリックデータプロセッシング(電子的処理)だと思います。いまAIと話題にはなってもあまり実用となっていないのは、処理速度が遅いからです。例えば、今は碁や将棋に使われていますが、処理速度が8倍あるいは16倍になったとき、AIによって、人間の働き方や、物事を考えるということを含めて、まったく変わった世界が作られるかもしれません。8倍になるというのはそう先の話ではなく、東京オリンピックの年くらいにはできるのではないかと言われています。現実に今の8倍の速度で膨大な処理が可能になったら、また違う発展があるのです。IIJは、日本のインターネットの技術的な基盤をつくってきましたが、プロセッシング技術の高速化により、次の10年20年は、おそらく様相が一変するのではないかと思います。
インターネットの何が面白いかと言うと、技術的にも非常に面白いのですが、やはりこの技術が世の中の「仕組み」を変えてしまうということ、そうしたことがすごく面白いのではと思っています。例えば最近IIJは、デジタル通貨の取引、決済をする会社を作りました。現金というのも言ってみれば信用があるだけで「バーチャル(仮想)」ですが、インターネットにより、金融の取引すべてが仮想化すること、つまり、信用さえ裏側にあれば、ものの動きというのはバーチャルで済むというひとつの典型です。プロセッシング技術が高速化することによって、これからもどんどん新しい、思いもよらないような社会が作られていくのかもしれません。会社にしても、働き方にしてもしかりです。
IIJという会社は、世界が変わっていく中で、その仕組みそのものを変える技術をもち、新しい仕組みを思い立つことができる、あるいは、技術的にそういった新しい仕組みを想定できるような原動力となれる会社だと思っています。現に過去25年、あらゆるインターネット関連のサービスや技術革新について、そのプロトタイプのほとんどをIIJで作ってきました。それは社員が若かったこともあり、強い思いをもって自分のやりたいことを実現する場が会社である、というような精神を持っていたからではないかと思います。
これから次の四半世紀、あるいは半世紀後を想像した時、世の中を一番大きく変えていく技術がインターネットであり、そういう技術に携わる会社で働くみなさんの力で世の中を変えられるかもしれません。インターネットという大きな変革の中心にある技術を持った会社であるという意識を持って、楽しいことだけではないと思いますが、日々、できるだけ明るく働きながら、自分にできること、実現することを早い段階から見つけるべく努力していただきたいと思います。
IIJが発信して世界を変えていく、というような気概を持って、みなさんも頑張っていただきたいと思います。
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