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2019年4月1日
株式会社インターネットイニシアティブ
代表取締役会長 鈴木 幸一
入社おめでとうございます。
IIJは27年目を迎えました。日本のインターネットのあらゆるサービス、コンセプトはIIJがプロトタイプを作ってきました。技術に特化して新しいコンセプトや事業に専念してきた非常に変わった会社でした。営業職が入ったのも設立から3年がたってから。いまは会社の規模が大きくなって、営業・マーケティングと技術が少しずつ車の両輪となってきました。IIJは日本のインターネットを作ってきましたが、世界的にはUUNETという会社に次いで2番目のISP(インターネットサービスプロバイダー)で、一般の方々にインターネットに接続し、使ってもらうようにしたところからの出発です。そこから20数年がたち、世界的にはグーグル、アマゾンのような会社が出てきて大きくなりました。
インターネットは非常に大きな技術革新ですが、まだまだ序奏といいますか、大量のマーケティングデータを解析して広告やマーケティングに利用している段階です。世界の時価総額トップ10社のうち6社が、そういったビジネスで大きくなった企業です。今後はネットワークがどんどん高速化し、データプロセッシング(電子データ処理)にも大きな変革があるだろうと言われています。プロセッサの処理速度が8倍ぐらいになると見込まれていますが、膨大なデータを瞬時に処理、解析し、それを瞬時に利用できるようになると全く違う世界が見えてきます。今のAIなどと言っても理論的には私が学生時代だったころとあまり変わっていません。ただその処理速度が想像もできないほど速くなり、それが誰でもが使えるようなかたちになったとき、今までなかったような技術革新が訪れると思います。その進歩によって、あらゆる生活、政治、経済、産業、すべての仕組みを変える、そうしたことが実現できる技術レベルにまで到達するのです。また、4K/8Kといった高画質映像――容量が大きすぎて放送の電波では配信できないような高画質映像がインターネットでは自由に配信できるようになります。IIJはそうした先進的な分野において、技術的にリードする会社JOCDNを作り、映像配信事業にも積極的に取り組んできました。さらにディーカレットという、通貨のデジタル化、さらには決済をすべてデジタル化するような世界を目指した会社を、非常に大きな企業のみなさまと一緒に作り、自ら新しい世界を作ろうと事業を展開しています。IIJの一番の強みは技術的基盤です。どこよりも技術力を持っており、それをベースに新たな世界を作っていくのです。
インターネットははじめから “グローバル”なのですが、私共が会社をつくったときの電気通信事業法では、「国内」と「国際」に法律そのものが分かれていて、役所と長い交渉をしました。法律と仕組みすら超えるような技術革新がインターネットであるということです。インターネットがここまで普及した現段階で次に何が考えられるかというと、IIJが営々と築いてきた技術的基盤をベースに、さらに様々な可能性が膨らみ、インターネットという大きな技術革新が世界を一体化して変えていくのではないかと思います。作った当初、インターネットは究極の分散システムだったのですが、例えば個人個人を24時間監視しようという国で、逆に究極の集中化が国の方針として出されたとき、国家によってすべての情報を集中管理することが可能になります。収集した情報の利用方法も含めて、あらゆる可能性が考えられるのがインターネットなのです。
この技術革新をどう利用できるのか、どういったかたちで一般の方々、あるいは企業の方々にサービスとして提供できるのか。それをIIJで実現することそのものが技術革新の先頭を走って世の中を変えるという意味であり、新元号になる記念すべきこの年に入社した皆さんに次のIIJという会社を作っていってほしいと思います。ひとりひとりが、自分が携わっている仕事が世の中を変えるということを考えてください。よくグーテンベルクに比較されるのですが、印刷技術の発明が、年2000~3000部だった本をあっという間に1000万部単位にしてヨーロッパ中に広げたように、今メディアというのは本当に変わってきています。メディアばかりではなく、いずれすべてが当たり前のように想像もできない世界になっていくことになるのですが、どういう技術をどう活用し、どういうビジネスモデルを作ると一層速く世の中が変わっていくのかをIIJで実感できると思います。
みなさん若いですから、本当になにかに興味を持った時に集中的にそれに対して取り組んでいただきたい。30歳~35歳ぐらいまでの、非常に頭が柔軟で体力がある時期に、非常に面白い環境の中で新しい知識を身につけて、自分なりに何かやってみたいことを見つけてほしい。それは会社にとっても非常にハッピーなことです。人生あっという間に過ぎてしまうので、これから35歳までの15年を大切に過ごしてください。みなさんの志向がどこかに見つかったら会社としては協力を惜しみません。それで皆さんの能力が伸びることが会社の将来を決めることにもなります。ぜひ体力のある限り、自分のテーマを見つけて頑張ってほしいと思います。
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