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神楽坂サイエンスアカデミー2016 実施レポート

レポート記事タイトル

2016/09/26
お知らせ「神楽坂サイエンスアカデミー2016 研究発表会・閉会式」を掲載
2016/08/22
お知らせ「台風襲来。研究発表会は延期」を掲載
2016/08/17
実施レポート「発電機の改造が、始まりました」を掲載
2016/08/10
実施レポート「PDCAサイクルが、まわり始めました」を掲載
2016/08/08
実施レポート「風力発電機 設置!」を掲載
2016/07/28
実施レポート「神楽坂サイエンスアカデミー 2日目」を掲載
2016/07/27
実施レポート「神楽坂サイエンスアカデミー 開幕」を掲載

サイエンスアカデミー2016 研究発表会・閉会

(2016/09/26 掲載)

台風のために延期となっていた、研究発表会・閉会式を9月25日(日)に執り行いました。
各チームが再び一堂に会して研究成果について発表し、同時に意見交換・表彰が行われました。

東京理科大学 大賞:京都市立伏見工業高等学校

プロトタイプの風車の挙動を観察し、発電能力が低い原因として「風車の軸がぶれる」「発電機のコイルが筐体に接触する」などの原因を推測。それを改善するために、風車の枠の作り直しや、コイルのまき直しなどを行い、推測が正しいかどうかの実証を行いました。また、それだけでなく、独自に文献に当たり、より効率的だとおもわれる「エアギャップ発電機」を製作するなど、プロトタイプの設計を超えた挑戦を行い、結果を残しました。

IIJ 大賞:東京都立小石川中等教育学校

プロトタイプの風車の「軸がぶれる」という問題点の改善だけでなく、どのようにすれば風車が効率的に風を受けることができるか、効率よく発電するためにはどうすれば良いかなど、様々なアイデアを考案し、それを一つずつ試しながら発展させるという、積極的な研究を行ってくれました。必ずしも成功ばかりではなかったものの、それぞれの取り組みがどのような結果につながったのか、具体的な資料を添えて発表を行い、参加者・スタッフでの有意義な議論に繋げました。

特に優秀な研究を行った以上の2チームが今回の大賞を受賞しました。その他のチームについても、実験や研究発表を通して以下の賞を受賞しました。

発電賞:日本工業大学駒場高校

発電効率の改善がめざましいチームに贈られる賞です。
発電するまでは苦労が色々とありましたが、風車の回転を改善するために地道な工夫を積み重ねた結果、大きく発電量を延ばすことが出来ました。

トラブルシュート賞:東京都立三鷹中等教育学校

大きなトラブルを乗り越えたチームに贈られる賞です。
コイルが取れる、軸がゆれるといった根本的なトラブルを乗り越え、見事なチームワークで発電機の稼働を達成出来ました。

レポート・発表賞:札幌日本大学高等学校

良いレポート・良い発表を行ったチームに贈られる賞です。
自分たちのすべきことを見据え、データ面、ビジュアル面ともに非常に高いレベルの発表をすることが出来ました。科学研究にIoTを導入することのメリットも、きちんとまとめられていました。

アイデア賞:三田国際学園高等学校

光るアイデアをひらめいたチームに贈られる賞です。
遠心力、電磁石の反発、スリップリングの搭載など、発電効率の向上に役立つであろう工夫を色々と考えて、試行錯誤を繰り返しました。

他のチームの取り組みを知ることは、参加者にとってよい刺激になったようです。

また発表に対し、講師だけでなく他の参加者からも活発な質疑が飛び交いました。自分たちのチームでは思いつかなかった発想についての疑問や、自分たちだったらこうするのにと言った提案など、複数のチームが同一の課題に取り組んだからこその、新しい気づきが生まれたのだと思います。

この経験を生かして、参加者の皆さんが「理系」への志を新たにし、優秀な研究者・エンジニアとして活躍してくれることを、理科大スタッフ、IIJスタッフとも心より願っています。

台風襲来。研究発表会は延期

(2016/08/22 掲載)

8月22日、台風9号による猛烈な風雨のため、神楽坂サイエンスアカデミー2016の研究発表会は延期となりました。

飯田橋付近の雨(09:10頃)

オフィス前では強い風が吹いています

研究発表会は、改めて日程を調整して後日の開催を検討中です。

発電機の改造が、始まりました

(2016/08/17 掲載)

実験開始から2週間が経過し、発電量や発電効率を上げるために、発電機そのものの改造を試みるチームが出始めました。

京都市立伏見工業高等学校

自作の「コイルを巻く用の器具」

三相交流の発電形式では、三相で起電力に差があると効率が落ちてしまいます。そのため、コイルの巻き直しを行うことで、発電量をあげようと考えました。

さらに、コイルを止めているセロハンテープと磁石盤が擦れて抵抗となり、発電量が減っていることも問題です。そこで、写真のように銅線で盤とコイルをきつめに縛ることで問題を解決しようとしました。

この作業の後、実験を再開しましたが、しばらくすると、また擦れる音がしました。コイルの均一性に加えて、アルミ棒が傾いていることも原因だと思い、いろいろ検討した結果、発電機ごと替えることにしました。発電効率と発電量を両方上げることができそうで、かつ作りやすいものを探した結果、中村昌広氏の本に載っていた、磁石数が現在の2倍の「エアギャップ発電機」にたどり着きました。材料は揃えたので、これから組み立てと設置を行います。

東京都立小石川中等教育学校

コイルを三角形に近い形にする、既存のコイルと磁石を近づける、磁石の上にも新たにコイルを設置するなど、コイルに関する改良を続けています。特殊な形の部品が必要になるためCADデータを自作し、現在、理科大の3Dプリンタで部品を打ち出している最中です。時間に余裕があれば、磁石の円盤を2つにしてエアギャップ型発電機を作りたいと思っています。

日本工業大学駒場高等学校

風車が故障してしまいました。発電機を解体して原因を確認したところ、羽根のシャフトホルダーを止めるネジのナットが羽根土台にめり込んでしまい、ネジが緩んでいました。これが原因で軸にズレが生じ、イモネジが飛んでしまいました。そこで穴の部分をプラ板で塞ぎ、穴を埋めてネジを付け直すことにしました。

また、このタイミングで、天板の上にもうひとつ発電機を載せて発電させてみようと思います。

さて、これらの取り組みの結果は、吉と出るでしょうか?実験期間は残り数日です。

PDCAサイクルが、まわり始めました

(2016/08/10 掲載)

順調に風車が稼働して、発電量を増やすための改良作業を始めたチームもあれば、センサーや風車が故障してしまったチームもあります。
理科大・IIJのスタッフも、インターネット経由で情報提供やアドバイスを通じて応援しています。

では、各校の状況をご紹介します。

札幌日本大学高等学校

急にマイコンの動作が停止し、反応がなくなり、最終的には白煙を上げてしまいました。
確認したところ電圧などは間違っていなかったので、過電流が何かの拍子に流れたのかもしれません・・・。
幸いにも、風車は順調に回っています。

学校にあったテスターで代用しつつ、再発注したマイコンが届くまでは、風車側の改良を先に進めていこうと思います。

日本工業大学駒場高等学校

数日間、発電してみた結果、風力発電で大事なことは摩擦抵抗を減らすことだと、今更ながら気づきました。
特に、軸のずれが発電機の性能に大いに関わってくることがわかりました。そこで、ネオジム磁石側の回転盤を風車に取り付けた状態のまま、コイルと磁石を接近させる作業を試みました。

しかし、うまくいかなかったので全て分解し、もう一度以下の点に気をつけて、風車を組み立てなおしました。

改良点
  • 回転盤が歪んで波打っているのを修正
  • コイルとネオジム磁石が擦らないように、プラ板をコイル側の板に張り付ける
作業時に気をつけたこと
ネオジム磁石とコイルをなるべく近づけるため、板が水平になるように気を付けながら、「いもねじ」を外して作業を実施
結果
測定値によると、発電量は改善前の約10倍になりました!

三田国際学園高等学校

元の磁石板とコイル板はそのままの状態で、羽を二分して片方を逆回転にし、その間に磁石板とコイル板を挟むことで効率化を図ろうとしています。台風襲来。研究発表会は延期(2016/08/22 掲載) しかし、元からあるコイル板のように、羽の間にある方のコイル板の導線取出場所を固定してしまうと、風車が回転中にねじれて止まってしまう可能性が高いと考えています。 そこで、まずは3Dプリンタで、磁石板とコイル板の土台部分を追加で作成します。加えて整流回路の追加を考えています。しかし、回転物から新たに電気を採る方法はどうすればいいのか。まだ答えは出ていません。

改良の結果が出た学校も、まだ出ていない学校も、与えられた実験期間は同じです。
あと2週間余りの期間で、さらなる飛躍は見られるのでしょうか。がんばれ!

風力発電機 設置!

(2016/08/08掲載)

東京理科大学の実験室で製作した風車は、一旦ばらばらにして各学校に持ち帰っています。これを組み立て直して実験場所に設置するのが最初の課題。風通しが良く、ほかの人の迷惑にならない場所を探して、みなさん設置には苦労されているようです。

さて、開会式から1週間がたちました。風力発電機の設置が完了したという知らせが、ぞくぞくと入ってきています。

その模様を少しだけ、ご紹介します。

京都市立伏見工業高等学校

校舎と校舎の間、風がそこそこ通る場所に風車を設置しました。
風車の揺れを軽減するために、支柱をロープでしばったり、アクリル板にレンガを置いたりしています。

残念ながらマイコンが壊れてしまったので、暫定的に電圧のみデータを取れるフリーソフトを導入してみました。

しかし、データは全く取れていません。
そもそも風が吹いていないか、データの収集間隔(現在は5秒)が長すぎるのか、他に原因があるのか。確認のために、データの収集間隔を2秒に短縮して、引き続き観測を続けます。

東京都立三鷹中等教育学校

風通しもコンセントもある場所に、風車を設置することができました。 最初、校内のWi-Fiが設置場所まで届かずに苦労しましたが、現在は順調にデータを収集できています。

東京都立小石川中等教育学校

風車は屋上に設置しました。

アクリル板に穴を4ヵ所空け、そこと物干しにスズランテープをくくり、周辺の配管や手すりに結ぶことで、固定に成功しました。
軸受の部分には、雨がかからないようにペットボトルを切ったものをかぶせています。

データ収集をはじめたところ、風速が「負の数」になっており、明らかにおかしいので今は原因をさぐっています。

このように、設置もデータ収集も、なかなか一筋縄ではいきません。どのような工夫をすればシステムが正常に動くようになるのでしょうか。 これからの各校の研究活動に目が離せません。

神楽坂サイエンスアカデミー 2日目

(2016/07/28掲載)

少し早めに来て作業

2日目に入りました。昨日は懇親会後も理科大に残って、風力発電機の仕上げに余念がなかったチームもあったそうです。

今日の内容説明

今日は「IoTセンサーモジュールの製作」と、「センサーからデータを取得してクラウドに送信するためのプログラミング」がメイン作業です。IoTセンサーモジュール製作のカギは、実は半田ごての取り扱い。慣れている人なら30分、慣れていない人は2時間かかる、難易度高めの作業だそうです。なお、収集したデータを収集するルーターは、集中管理・監視が可能なIIJの製品「SA-W1」です。

作業がはじまると、作業場は半田づけのにおいに包まれました。半田付け(ハードウェア)とプログラミング(ソフトウェア)は、車の両輪のような関係です。両方がそろわないとセンサーモジュールは動作しませんので、チーム内で分担して作業を進めます。

ハードウェア。細かい作業がつづきます。

ソフトウェア。データ収集の要です。

モジュールにテスト結果が表示されました

センサーモジュールが完成したら、次は最終試験です。
1日目に製作した風力発電機と、2日目に製作したセンサーモジュールを接続して、電力を計測できるか確認します。センサーモジュールに搭載された液晶で確認した後は、パソコンを使ってクラウド上にデータが正しく蓄積されているかどうか、グラフを表示して確認しました。

センサー校正中

また、研究のために必要なデータ収集の一環として、センサーモジュールには風速計も接続しました。風速計が正しい値を示すように、センサーの校正作業も行います。

作業終了後は、これからの実験生活についてのチュートリアルがありました。風力発電機の性能向上のためには、PDCAサイクルを回すことが大切だと学び、参加者のみなさんは自分の学校へと戻りました。

成果報告会は8月22日。どんなプロセスを経て、どんな結果となるのでしょうか。楽しみです!

神楽坂サイエンスアカデミー 開幕

(2016/07/27掲載)

開会式

科学・インターネットへの興味・理解を育むための産学連携のイベント「神楽坂サイエンスアカデミー2016」が幕を開けました。

7月26日(火)27日(水)の2日間で、参加チームのみなさんには、東京理科大のキャンパスに集まって「風力発電機」と「IoTセンサーモジュール」を製作してもらいます。

その後1ヵ月間、IoT技術を利用して自動的に収集した発電量データを元に、各チームは風力発電機の改良を繰り返します。

開会式では、東京理科大学副学長の浅島先生と、IIJの島上CTOからご挨拶がありました。

浅島先生は「次世代を担う若者が、研究者や社会人と同じプロジェクトに参加する事は理系人材の育成という面で非常に高い価値がある」とのことでした。続いて島上CTOは「インターネットは、オフィスなどの「場所」から、モバイルなど「人」に付くようになり、これからはモノ(IoT)につく時代になる。社会を変える最先端の技術を楽しんでほしい」とのことでした。参加者のみなさんの知的好奇心を刺激できることを、関係者一同心より願っています。

理科大 浅島先生

IIJ島上CTO

その後は事前レクチャーとして、IoTの解説や、サボニウス型風車風力発電機に関する講義がありました。

ニュースで見ることも多くなった「IoT」という言葉が意味するものと、それが実現すると何ができるのか?といったこと。そして、サボニウス型風車がどのような特徴を持つ風車で、どれぐらいの発電量が期待できるものなのか?といったこと。現場の第一線で活躍する若手エンジニアや大学院生の話は、流石にライブ感があります。

IoT講義

サボニウス型風車とは

さあ、そしていよいよ、本日のメインイベントである風力発電機の製作がはじまりました。

理科大のみなさんから指導を受けながら、参加者チームは3Dプリンタで製作した基盤部分や、プラスチックダンボール素材の羽根を組み立てます。

「まず何からはじめよう?」「やすりありますか?」「ドライバーはどこ?」「コイル、何回まくんだっけ」などの声が飛び交い、一挙に活気溢れる様相です。

さあ製作開始!

和気藹々

製作開始から30分ほど経つと、だんだんどのチームも静かになってきます。みな黙々と作業を進めています。

ねじ1本が重要

基盤にコイルを設置

今日は17時で一旦終了!の予定が、参加者一同作業に集中してしまい・・・結局1時間押しの終了となりました。

18時からは参加者有志による懇親会が開かれました。同じ企画に興味を持った人同士、年齢や学校の垣根を越えて話が弾んだ様子でした。

まま、一杯どうぞ(お茶です)

すっかりなかよくなりました

さて、明日もまだまだ製作は続きます!


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