日本精機株式会社 様

クラウド型遠隔監視システムをIIJサービスで実現
IoTによる新たなビジネスモデルの確立を目指す
課題
- 「見えないものを見えるようにする」新サービスの開発を模索
- 新サービスにはネットワークやサーバなど多様な技術が必要
- IoTに求められる技術を個別に調達するのは非効率
効果
- 点検業務を効率化する設備機器の遠隔監視を実現
- データの見える化により、目視では見落としがちな異常も数値として把握可能
- 壊れる前に修理する予防保守や計画的な設備保守が可能
導入前の課題
遠隔監視を実現する「SMASH」、サービス基盤の構築が課題に
計器類やセンサーなどの車載用計器事業、民生機器事業、ディスプレイ事業などをグローバル展開する日本精機。同社は「見えないものを見えるようにすることで安心・感動を与える」ことを企業理念とする。これを支えるのが、長年にわたって培った「測る」「送る」「分析する」「伝える」技術だ。
この強みを活かし、新たなビジネスモデルの創出にも取り組んでいる。「『見えないものを見えるようにする』ことはIoTの工程と同じ。IoTという言葉が生まれる以前から、新たな価値提供を図るサービスの開発を模索してきました」と日本精機の沼屋宏康氏は話す。それを具現化したのが、クラウド型遠隔監視システム「SMASH」である。2017年9月から正式サービスを開始する。
SMASHはセンサーやネットワーク、サーバなどを組み合わせて提供するトータルソリューション。振動センサーと温度センサーのデータを基に、設備機器の状況を見える化する。
センサーと各モジュールはIP67レベル※の高い防塵・防水性を備え、安全性の高い防爆認証(爆発の源となったり、爆発を引き起こしたりしないことを保証)にも対応する。既存の設備やプラントに後付けで設置できる。「監視したくても人の目が届かない箇所や、新たに監視の必要性が生じた箇所にも容易に導入できます。設備異常の早期発見により事故や突然の生産停止などを未然に防ぎ、安全性や生産性の向上につながります」と沼屋氏はメリットを述べる。
このSMASHの実現には乗り越えなければならないハードルがあった。「センサー技術は当社の大きな強みですが、開発にはセンサーデータを安全・確実に伝送し、データを分析し見える化する基盤が不可欠です。これらを一からすべて自前で構築するのはリスクも負担も大きいですし、それぞれの技術を個別に調達するのは効率も悪いと考えました」と沼屋氏は振り返る。
- ※国際電気標準会議(IEC)が定める保護等級。粉塵が内部に侵入せず、水中に浸漬しても有害な影響を受けないレベル
選定の決め手
IoTサービスを支える基盤を幅広く提供する総合力を評価
課題解決のため同社が採用したのが、IIJのIoTソリューションである。
決め手になったのが、総合力だ。「IIJは高品質・高信頼のネットワークのほか、データを分析・活用するためのクラウドプラットフォームなどをワンストップで提供しています。IoTサービスに欠かせない技術要素を個別に調達する必要がありません」(沼屋氏)。
なかでも重視したのが、モバイル閉域ネットワークである。IIJはIoTデバイス向けにSIMカードを提供し、インターネットを介さない閉域ネットワークでセキュアな無線接続を実現する。「IIJの全面的な協力のおかげで、高速かつ高品質な無線通信が可能になりました。安全を重視するお客様ニーズにもしっかり応えられます」と日本精機の増田英樹氏は評価する。
また、IIJのクラウドプラットフォームはサーバ環境だけでなく、データを見える化するアプリケーションも実装する。「インターネット接続環境があれば、どこでも監視画面を確認できます。異常をメールで通知する機能もあり、現場作業者の負担も少ないです」と増田氏は続ける。
しかも、IIJはネットワークやクラウドを中心に数多くのソリューションを提供し、導入実績も豊富にある。「IIJのソリューションに支えられていることは大きな安心感につながるため、自信をもってSMASHをお客様に提案できます」と沼屋氏は語る。
IIJの対応力も高く評価した。センサーデータをクラウドプラットフォームに取り込むためには、データ変換が必要になることがある。「その作り込みは自社で対応しましたが、変換のためのデータ形式や方法論などについてはIIJが適切なアドバイスをしてくれました。そのおかげで、作り込み作業はスムーズに進み、短期間での構築が可能になりました」と増田氏は満足感を示す。
導入後の効果
点検作業を効率化し、計画的な予防保守も可能に
SMASHを活用すれば、様々なメリットを享受できる。点検時間の短縮と回数削減はその1つだ。「遠隔監視により、点検業務の移動距離と移動時間を大きく削減します。必要なところだけピンポイントで点検することが可能になり、点検回数も減らせます」(沼屋氏)。データの見える化により、目視での点検では見落としがちな異常を数値として把握できるのも大きなメリットだ。非接触型ICカード技術を用いて作業員の行動を把握する「ノッカー機能」もあり、チェック作業の漏れも防止できる。
2017年9月の正式リリースに先駆け、既に複数のユーザを対象とした実証実験がスタートしている。「ある大手プラント事業者様はSMASHを活用することで、壊れる前に修理する予防保守を実現しました。傾向分析を基にした計画的な設備保守が可能になり、設備保守担当者の作業負荷も大幅に軽減されています」と沼屋氏は説明する。
今後はアナログのセンサーデータの収集・分析への対応、無線ネットワークカメラによるトラブル監視などの機能強化を図る。「多様なシステムとの接続機能を拡張するとともに、センサーメーカーやエンジニアリング会社とのアライアンスも強化し、提供価値の拡大を図っていきます」(増田氏)。海外企業とのつながりを強みに、SMASHのグローバル展開も視野に入れる。
「ネットワークやクラウドなどIoTに求められる技術要素を幅広く提供するIIJは当社の重要なパートナーです。IoTビジネスの発展につながる新しいサービス提供にも期待しています」と話す沼屋氏。日本精機は強みであるモノづくり事業に加え、SMASHをベースにしたサービス事業にも注力し、来るべきIoT時代のリーディングカンパニーを目指す構えだ。
導入したサービス・ソリューション
お客様プロフィール

日本精機株式会社
本社 新潟県長岡市東蔵王2丁目2-34
設立 1946年12月24日
※ 本記事は2017年1月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
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