日本通運株式会社 様

マルチクラウドの基盤運用をIIJに一本化
運用の見える化と運用品質の向上を実現
課題
- マルチクラウド化でインフラは集約したが、運用はサイロ化
- 4社のベンダーで構成された運用体制のため、情報伝達や問題対処の遅延が発生
- ビジネスバリューを高める"あるべき運用"の確立
効果
- 運用の見える化が可能になり、人に依存しない運用を実現
- 運用品質が向上し、障害発生件数が20%減少
- 体制のスリム化により、運用コストを30%削減
導入前の課題
基盤はクラウド化しても運用はサイロ化したまま
ワールドワイドな総合物流サービスを展開する日本通運。物流による新たな価値創出を進める同社は、IT環境の最適化に積極的に取り組んでいる。2009年から推進するマルチクラウド戦略はその象徴だ。長年の運用によりサイロ化したシステムを複数のクラウドに集約し、全体最適を目指す。同社のシステムは仮想サーバ計3,500台で構成され、ストレージ容量は2PB超に及ぶ大規模なもの。そのクラウド移行プロジェクトは現在も進行中だ。
「オンプレミスをプライベートクラウド化するとともに、標準化が可能なシステム基盤はパブリッククラウドに移行しています」と同社のIT戦略を支える日通情報システムの目黒勝則氏は説明する。その1つに採用したのが、IIJ GIOコンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ(以下、IIJ GIO VWシリーズ)である。「IIJ GIO VWシリーズはVMware仮想化プラットフォームで構成されており、従来のシステムをそのまま移行できるので、既存システムのインフラ更改先基盤として利用しています。新規システムの開発・本番環境、アプリケーションの更改先基盤には柔軟な課金体系のメリットを活かし、AWSを採用しました」(目黒氏)。
しかし、プロジェクトの途上、新たな課題に直面する。それが「運用」の課題である。マルチクラウド化によりインフラ基盤の集約は進んだが、運用はサイロ化したままだったのだ。サーバ運用だけでも4社のベンダーに委託し、基盤ごとに運用を担うチームが異なる。
「横の連携が乏しいため、あるチームに伝えたことを別のチームにも伝えなければならない。上長から現場に情報が伝わるまでに時間がかかり、運用対処が遅れることもありました」と話す目黒氏。現場からの報告もチームごとに上がってくるため、管理も煩雑になる。
「運用とはインフラをお守りするだけが役割ではありません。新しい技術・サービスを取り込み、ビジネスバリューを高めていく重要な役割を担っています。それが"あるべき運用"の姿だと当社は考えています。しかし、サイロ化した運用体制のままではその実現は難しい。この状況を変革し、価値創出が図れる運用体制を確立したいと考えていました。分散したチームでの運用によるコスト負担も大きな課題でした」と日通情報システムの下田よしの氏は語る。
選定の決め手
"あるべき運用"に向けた総合力と提案力を評価
"あるべき運用"を目指し、同社がそのパートナーに選定したのがIIJである。決め手になったのが総合力だ。「技術力が高く、IIJ GIO、AWS、プライベートクラウドを含め、トータルに運用をアウトソースできるだけでなく、継続的な運用改善を行ってくれる点も高評価でした。さらにビジネスバリューの創出につながるインフラの全体最適の企画、技術アーキテクトの策定・適用まで一任できます」と下田氏は述べる。続けて、「高い総合力を持つIIJとなら、One Teamとして運用のあるべき姿を目指していけると考えました」と選定の理由を語る。
提案力も高く評価した。同社は将来的に運用の内製化を目指しており、その人材育成も重要な要件だった。そこでIIJはクラウド移行プロジェクトを指揮する経験豊富なエンジニアをアサインし、オペレーションの習得からレベルアップ、さらに全体を管理できるリーダー人材の育成に至るPDCAサイクルを提案した。「現場のモチベーションの維持・向上を図り、ビジネスの成長を支える基盤づくりが可能になる点を評価しました」と下田氏は話す。
また運用品質のレベルも高く、ISMS監査にも準拠しており安心して任せられる。「運用を一本化することにはリスクも感じましたが、それ以上にIIJの熱意とそれを具現化する提案に魅力を感じ、ともに新しいことにチャレンジしようと思ったのです」と目黒氏は語る。
導入後の効果
障害発生件数が20%減少し、運用コストも30%削減
こうして同社は2015年6月からIIJを中心とした新運用体制をスタートした。それは同社に様々なメリットをもたらしている。その1つが、運用の見える化が可能になったことだ。オペレーションはWebベースのプロジェクト管理ソフトウェア「Redmine」で管理し、発生した問題や対応履歴をいつでも確認できる。「担当が不在でも、何がどうなっているかが一目瞭然。人に依存しない運用が可能になりました」(下田氏)。
運用品質の向上も大きなメリットだ。「問題が発生した場合、過去に起こった類似のケースを参照することで、原因の特定と対処がよりスピーディーになりました。これらをナレッジとして活用することで、運用の改善が促され、従来と比べて障害発生件数は約20%減少しています」と下田氏は続ける。
コスト削減も可能になった。運用をIIJに一本化したことで、オペレーションの集約が可能になり、対応人員を抑制できたからだ。「人件費だけで30%強のコスト削減につながっています」(目黒氏)。
今後は運用の内製化に向け、IIJのサポートのもとでスキルトランスファーを進めていく。将来的な可能性として、全事業部を統合したクラウド化への対応も視野に入れる。「マルチクラウド化のメリットを最大化するパートナーとして、IIJには今後も大いに期待しています」と目黒氏は話す。体制をスリム化し、運用の見える化と運用品質の向上を実現した日本通運。この取り組みを継続し、新しい技術・サービスを積極的に取り入れていくことで、より大きなビジネスバリューの創出を目指す考えだ。
導入したサービス・ソリューション
お客様プロフィール

日本通運株式会社
本社:東京都港区東新橋1-9-3
設立:1937年10月1日
※ 本記事は2016年11月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
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導入事例
導入したサービス・ソリューション
- IIJ GIOコンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ(後継サービス:IIJ GIOインフラストラクチャーP2)
- 運用アウトソーシングサービス