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ぴあ株式会社 様ぴあ株式会社

一元的なデータ活用プラットフォーム実現のため
複数システムと顧客属性情報データベースを自動連携

データ連携の実践例が分かる!
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導入前の課題

顧客属性等のデータを集約、複数システム間の一元プラットフォームへ

まず、黒沢様のお仕事の内容と、貴社の次世代データ活用基盤について概要を教えてください。

ぴあ 黒沢拓氏

当社はエンタテインメント業界でビジネスをしていますが、その中で特にインターネット関連のシステムを担当しているのが、Webシステム開発部です。私は次世代システムの仕組みを考える次世代システム開発局の仕事にも取り組んでいます。
当社のビジネスはチケット販売が主軸であり、大規模なシステムを構築運用しています。その根幹となるチケッティングシステムは、構築してから15年以上がたっています。運用保守コストは高止まりし、なにか改修しようとしても影響範囲が大きくて手が出しにくい状況になっていました。システムの開発スピードを上げ、開発保守のコストを下げることが課題でした。更に複数のシステムの間の連携ができていないため、データ活用も十分にはできていませんでした。
システムをリプレースするとしたら、次世代はどのようなシステムが必要か。コロナ禍の影響が少し収まってきた2022年ごろから考え始め、次世代の仕組みで共通的に使われるインフラの1つとして共通のデータ基盤を作ろうと考えました。今後、更にデータが大事になっていくときに、様々なデータを容易に使える、顧客属性情報を複数システム間で簡単に自動連携する方法が必要だと思ったからです。

黒沢 拓氏
ぴあ株式会社
セールスプロモーション局 Webシステム開発部 部長
兼 次世代システム開発局 共通基盤開発部 部長
黒沢 拓氏

共通基盤としてのデータ基盤を構築する狙いは、どのような点にあるのでしょうか。

黒沢氏

最終的には、開発コストと保守コストを下げ、開発スピードを上げることが狙いです。そのためには、既にある多くの仕組みや情報を組み合わせて使えるようにすることが不可欠です。それぞれのシステムから情報を持ってきていたら時間がかかりますし、複数のシステムを並列で維持していたら保守コストも下がりません。開発にもコストがかかり、データを活用したビジネスのスピードも上がりません。

データ基盤として、どのようなステップでシステムとの連携を考えましたか。

黒沢氏

まず、ぴあとして最重要であるチケッティングシステムから、データ基盤にデータを取り込めるような次世代システムの構築を推進していきました。チケッティングシステムは、IIJに運用保守を依頼しています。
その後、スマホアプリの「チケットぴあアプリ」のデータ群など、IIJ以外のベンダーに運用保守を依頼しているシステムのデータも連携をしていきたいと考えました。チケッティングシステムで蓄積したデータとチケットぴあアプリのデータは異なる場所にあり、運用保守ベンダーも異なることから、簡単にはつなげられなかったのです。

選定の決め手

他複数システムとの連携に優れ、手厚い支援体制と技術力を評価

データ基盤の骨格部分はどのような構成にしましたか。

黒沢氏

データ基盤という仕組みを作る上で、中核になるデータベースをなににするかは多くのサービスを検討しました。複数の候補を検討した結果、SaaS型データプラットフォームのSnowflakeを採用することにしました。
処理速度が速いと評価した以外にも、機能面で面白いと感じた点が多くありました。例えば、今はクリティカルな個人情報は取り込んでいないのですが、今後そうした情報も取り扱うようになった場合、暗号化して保存される機能があります。更に、利用者ごとに権限を設定して閲覧の可否を細かく制御できることもセキュリティ確保の面から魅力的でした。カスタマーセンターからは詳細な情報が見られるけれど、チケット営業からは匿名情報しか見られないといった具合です。今後の利用範囲の拡大に対応できる機能として評価しました。

Snowflakeとチケッティングシステムなど既存システムとの連携や今後の新規システムとの連携はどのように考えましたか。

黒沢氏

チケッティングシステムが持つ会員情報のうち、個人関連情報と呼ぶ個人が特定できないデータをSnowflakeと連携したいと考えていました。そこでチケッティングシステムの運用保守をするIIJに、良い案がないか相談しました。すると多彩なデータをセキュアにつなぐiPaaSとして「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」を紹介されました。

「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」の提案を受けて、どのように感じましたか。

黒沢氏

そこでの評価点は、データソース側のチケッティングシステムにできるだけ追加開発せずに済むことでした。既存の根幹のシステムに大きな手を入れないで使えることが、データ基盤との連携の要件でした。IIJクラウドデータプラットフォームサービスではローコードツールが用意されていて、インタフェースを個別に開発する必要がないので、少ない負荷でデータ連携ができると考えました。

最終的にIIJクラウドデータプラットフォームサービスを採用いただきました。選定の決め手になったポイントを教えてください。

黒沢氏

IIJクラウドデータプラットフォームサービスの提案を受けてからも、いわゆるデータ連携ツールという領域で類似サービスなどを検討しましたが、最終的にはチケッティングシステム側から最も使いやすい製品を選ぶことが私たちの考えでした。Snowflakeのアダプターがあり、今後の拡張にも対応できる多くのアダプターを用意するIIJクラウドデータプラットフォームサービスの採用が自然でした。
アダプター製品の差異化は、アダプターの接続先の数などになりがちで、優劣がつけにくいものです。そうした中で、IIJには製品単体の提案ではなく、既存のチケッティングシステムに組み込んで運用したときの状況を想定してIIJクラウドデータプラットフォームサービスを提案してもらえました。個人情報やその他機密データもセキュアなプライベート接続で連携できるという提案も、今後のことを考えると安心感がありました。
また、導入に向けた課題解決もIIJのエンジニアがPoCから支援してくれました。

運用コストや開発体制について感じたことはありますか。

黒沢氏

コスト面では、定額の料金体系で提供していることを高く評価しています。これはデータを連携すればする程、IIJクラウドデータプラットフォームサービスのデータ量あたりの単価が下がることにつながります。他ベンダーは従量課金で使う程高額になりますが、定額のIIJクラウドデータプラットフォームサービスならば活用が進むとコストが下がるというメリットがありました。
開発については、ローコードツールとしての機能を備えているので、扱いやすいと思います。ぴあでは、開発スピードを高めるためにシステム開発の内製化にも取り組んでいます。様々なスキルレベルの人が内製化に関わるようになったとき、ローコードツールが機能すれば現場のニーズに迅速に応えられるようになります。実際、私自身もエンジニアとして興味があり、IIJから講習を受けて実際に動かしてみるチャレンジをしているところです。

利用イメージ

導入後の効果

データ利活用の核となるプラットフォームでデータドリブンを加速

導入のスケジュールを教えてください。

黒沢氏

最初にIIJと話をしたのは2023年1月で、2月末には導入を決めていました。その後4月からPoCを実施して、データソース側となるチケッティングシステムとの相性などを確認して、本格導入に進みました。細かい不具合などはありましたが、大きな問題はリリースまでにありませんでした。

現在までにデータ基盤として活用している範囲は。

黒沢氏

2023年12月のリリース時点では、チケッティングシステムから個人関連情報として会員情報だけをSnowflakeに連携していました。個人は特定できない情報ですが、どのような属性の人がどんなアーティストに興味を持っているかといったデータを分析して、データマーケティングプラットフォーム「PIA DMP」等で広告面での活用を始めています。
その後、2024年7月には購買情報もSnowflakeに連携して、活用の幅を広げています。これからはIIJによる運用保守ではないシステムとも連携させて、どんどんSnowflakeにデータを取り込んでいこうと思います。

IIJクラウドデータプラットフォームサービスを利用したデータ基盤構築の効果について、現段階のお考えを聞かせてください。

黒沢氏

実は、データ基盤は次世代システムの基盤であり、直近の直接的な効果を求めていないのです。これが効果になるというのは、利活用する仕組みがこれから増えていって、ビジネスに好影響が得られたときに言えることでしょう。
一方で、現在まで一部で利用を進めてきて、安定的に稼働していることは事実です。1日最大6万件のデータ連携が可能になり、ビジネスにリアルタイム性が追加できました。最初のリリース以降も改修をお願いしていますが、狙いであったコスト感、スピード感の改善という面では満足しています。

黒沢氏
狙いであったコスト感、スピード感の改善という面では満足しています

共通基盤としての今後の役割について教えてください。

黒沢氏

将来展望はあるけれど、ないとも言えます。まさに新しいビジネスを作ろうとしている最中で、鶏が先か、卵が先かなんですね。データ基盤を含めて共通基盤をいくつか作ろうと考えていて、それを有効活用できるビジネスを考えているところです。
マーケティングでの活用はもちろんですが、チケット発売時刻のアクセス集中の事前予測などにもデータは活用できると考えています。アクセス集中が予測できれば、サーバのスケールアップが事前に自動で行えて、より多くのアクセスを受けられるようになると期待しています。

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導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

ぴあ株式会社
本社:東京都渋谷区東1-2-20 渋谷ファーストタワー
創業:1972年7月
チケット販売事業を柱に、コンサートやイベントの企画・制作・運営、イベント主催者への各種ソリューションサービスの提供、ぴあアリーナMMをはじめとするホール・劇場の企画・運営などエンタテインメント全般にわたる各種事業を展開。企業理念である「ひとりひとりが生き生きと。」をモットーに、業界をけん引するリーディングカンパニー。

ぴあ株式会社

※ 本記事は2024年4月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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