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LoRaWAN®のアーキテクチャ・ネットワーク構成

LoRaWAN®のアーキテクチャ

LoRaWAN®のシステムは、データを収集するエンドデバイス(センサーデバイス)、センサーデータを送信するゲートウェイ、エンドデバイスを管理・制御するネットワーク・サーバ、アプリケーションによって構成されます。

LoRaWAN®のアーキテクチャ

エンドデバイス(End Device)

現場に設置されるセンサーデバイス。子機と呼ばれることもあります。

ゲートウェイ(Gateway)

エンドデバイスとの送受信用のRFパケットを、インターネット等で使用されるIPパケットに相互変換する端末です。基地局や親機と呼ばれることもあります。

ネットワーク・サーバ(Network Server)

LoRaWAN®の通信プロトコルに則って、エンドデバイスの制御・管理をするサーバです。
標準的なアーキテクチャではネットワーク・サーバはクラウドに構築しますが、スモールスタートで手軽にLoRaWAN®ネットワークを構築できるように、ゲートウェイにネットワーク・サーバが実装されたビルトイン・サーバもあります。

アプリケーション・サーバ(Application Server)

エンドデバイスから受信したデータの処理を行う役目を担います。また、アプリケーションからの指示でダウンリンクコマンドを生成してキューを積み、ネットワーク・サーバを経由してエンドデバイスに送信します。

アプリケーション(Application)

Webアプリケーションやスマートフォンアプリケーションなど、ユーザーがエンドデバイスのデータを確認したり、エンドデバイスを操作(制御)するためのソフトウェア。

LoRaWAN®のネットワーク構成

LoRaWAN®のネットワークはスター型のトポロジーで構成されます。
各エンドデバイス(センサーデバイス)がゲートウェイを経由してネットワーク・サーバと疎通をします。直接エンドデバイス同士が通信を行いません。

LoRaWAN®のネットワーク構成

LoRaWAN®のアクティベーション方式

LoRaWAN®では、センサーデバイスがLoRaWAN®ネットワークに参加するためのアクティベーション方式が2種類定義されています。
センサーデバイスは、個体を識別するために固有のアドレスを持っています。また、センサーデバイスとネットワーク・サーバがセキュアに通信を行うためデータは暗号化され、Keyを用いて復号を行います。
センサーデバイスがLoRaWAN®ネットワークに参加するためにはセンサー固有のアドレスとKeyの情報が必要です。
アクティベーション方式によってKeyの生成手順が異なります。

LoRaWAN®のアクティベーション方式

OTAA(Over The Air Activation)

センサーデバイスがLoRaWAN®ネットワークに参加するために、はじめにJoin Requestを送ります。ネットワーク/サーバでJoin Requestが受信されると、その応答としてJoin Acceptを返します。センサーデバイスがJoin Acceptを受信すると、Join Acceptに含まれているデータをもとにKey情報を生成し、アドレスやセンサーデータ(ペイロード)と一緒に送信します。
センサー側があらかじめ復号のためのKey情報を保持していないため、セキュリティ性は高いと言えます。しかしその一方で、ダウンリンクのJoin Acceptをセンサーデバイスが受信できないとセンサーデータを送れないため、ダウンリンクを十分に受信できる距離、及び環境にセンサーとゲートウェイを設置するなど、調整が必要です。

ABP(Activation By Personalization)

あらかじめセンサーデバイス側でアドレスやKeyの情報を設定し、センサーデータ(ペイロード)と一緒に送信します。
OTAAのようなJoinのやり取りを踏まないので、センサーデバイスやKey情報が分かればセンサーデータを受信できてしまうものの、接続はシンプルです。

LoRaWAN®の通信方式(クラス)

LoRaWAN®では、消費電力とDownlink通信の柔軟性に応じて、3つの通信方式(クラス)が用意されています。
各センサーデバイス製品の趣旨に合わせて、あらかじめ通信方式が決められている製品が大半ですが、製品によっては複数の通信クラスから任意に設定を行えるものもあります。

LoRaWAN®の通信方式

クラスA

センサーデバイスのUplinkデータ送信の直後にのみ、Downlinkの指示を実行できます。このため任意のタイミングでのDownlinkはできません。
データ送信は必ずセンサーデバイス側から行われます。Downlink通信可能なタイミングを絞ることによってセンサーデバイスの休止時間を長く設けられるため、3つのクラスの中で最も電源消費を抑え、電池で稼働させるデバイスに向いています。

クラスB

クラスAで実行可能なUplink直後のDownlinkに加え、あらかじめスケジュールされたタイミングでDownlinkを送受信できます。
このスケジュールを実現するために、センサーデバイスはゲートウェイから発信される「ビーコン」を受信して時刻同期を行い、ネットワーク・サーバデータを送信するタイミングをはかります。
消費電力を抑えつつ、任意のタイミングでDownlinkを指示できます。

クラスC

センサーデバイスがUplinkデータを送信している時以外は常時受信スロットを開放しているため、任意のタイミングでDownlink送信の実行が可能。電池駆動のデバイスの利用には向かず、常時電源供給が必要な製品が大半を占めます。

LoRaWAN®のデータレートとSF値

LoRaWAN®は複数のデータレートがあり、LoRa®無線変調で用いるチャープスペクトル拡散方式における拡散率を「SF値」とし、SF7~12までのパラメータが定義されています。
SF値が高いほど、送信に使える時間(AirTime)が長くなり感度が高くなり遠くまで通信しやすくなりますが、トレードオフで送れるデータサイズは小さくなり、送信時間が長くなるほど電池寿命は短くなります。

DataRate Configuration / BW Receive Sensitivity (dBm) Max Payload Size
400ms Limitation No 400ms Limitation
Max Payload Transmission Time Max Payload Transmission Time
0 SF12 / 125kHz -136 Not Available Not Available 51 2793.47ms
1 SF11 / 125kHz -133 Not Available Not Available 51 1478.66ms
2 SF10 / 125kHz -132 11 370.69ms 51 698.37ms
3 SF9 / 125kHz -129 53 390.14ms 115 676.86ms
4 SF8 / 125kHz -126 125 399.87ms 242 666.11ms
5 SF7 / 125kHz -123 242 394.5ms 242 374.02ms

ADR機能

LoRaWAN®ではネットワーク/サーバからセンサーデバイスのデータレートを制御するADR(Adaptive Data Rate)という仕組みがあります。データレートは、センサーデバイスの通信状況に合わせて動的に制御します。センサーデバイスとゲートウェイが近い距離にあると判断した場合、データレートを上げます。逆に、センサーデバイスとゲートウェイが遠い距離にあると判断した場合、データレートを下げます。データレートを上げることで、送信時間が短くなり消費電力を抑えられます。
データレート(SF値)は、センサーデバイス製品によってADR機能が採用されているもの、あらかじめ固定されているものがあります。

LoRaWAN®の通信距離(カバレッジ)

LoRaWAN®は数100m~10km程度の通信が可能です。ただし10km近い通信を確立させるには高所にゲートウェイを設置でき、見通しが良いといった環境条件と専門的なゲートウェイ設置場所の設計・調整が必要です。
1km程度の範囲であれば、簡単に接続ができるため、大型商業施設、物流倉庫、及び工場のような大きな建屋に多数のセンサーを配置するような環境では、少数のゲートウェイで効率的に無線ネットワークを構築できます。

LoRaWAN®の通信距離(カバレッジ)

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