海外勤務経験者座談会
第4回:旧正月やクリスマスにまつわるビジネス習慣からランチ代の違いまで
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2017/05/22
海外での勤務経験がある7人の社員が、その経験を語りつくす座談会第4回。
今回は商習慣の違いから、季節のイベント行事に話題が広がります。
ローカル社員のランチ事情についても話してもらいました。
参加者プロフィール
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- 中田(仮名、男性):
- グローバル事業部門の営業担当。前職で中国に3年駐在。
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- 米倉(仮名、女性):
- 海外クラウドサービス全般の企画を担当。前職を退職後、米国へ留学、IIJの米国子会社に2年半勤務。
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- 星野(仮名、女性):
- グローバル事業部門の営業担当。前職を退職後、シンガポールで日系の通信会社に勤務。
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- 亜川(仮名、男性):
- グローバル事業部門のマーケティングマネージャ。前職で米国・欧州・ASEANなど複数国に駐在。
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- 独楽田(仮名、男性):
- 中国のクラウドサービスの企画・運営を担当。前職を退社後、ドイツで現地企業に勤務。
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- 英田(仮名、男性):
- 大手製造・流通業向けの営業担当、社内の海外トレーニー制度を活用して、IIJの欧州子会社1年8ヶ月勤務。
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- 英森(仮名、男性):
- 国内・海外案件のプロジェクトマネジメントを担当、社内の海外トレーニー制度を活用し、IIJの欧州子会社1年8ヶ月勤務。
第4回:旧正月やクリスマスにまつわるビジネス習慣からランチ代の違いまで
海外と日本の違いについてこれまで沢山話題が出てきたかと思いますが、商習慣の違いとなると中国ではどういう違いがあるのでしょうか?
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- 中田
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商習慣の違い・・・、何かあったかな。
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- 英森
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中国にいる同期からよく聞いているのは、「会社 対 会社」という付き合いではなく、まず相手先の担当者と個人同士で仲良くなって、相手から認められないと、商談がその先に進まない。契約文化でもない、ということらしいのですけど、実際どうですか?
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- 中田
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それはありますね。人と人とのつながりのほうが大切なので、それで次の会社が決まったり、仕事が来たりしますね。
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- 亜川
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支払条件で揉めたりとかは?
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- 中田
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大きな案件だと、最初の半分は前金だったりしますね。日本って基本的には検収後一括支払いが多いじゃないですか。
前金っていうのは比較的当たり前のことなのですか?
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- 中田
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海外だと多分。
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- 亜川
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「キャッシュオンデリバリー」が多かったですね。お金を全額入れないと注文も入らないとか、日系の有名企業であっても。日本だったら、仮に大規模サーバの発注がキャンセルされたとしても、他の企業に売れるチャンスもあるけど。シンガポールだとマーケットが小さいから、大規模サーバを仕入れても、それが本当に売れるかどうかわからないし、リスクもある。だから、前金で支払えということが結構あったなあ。
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- 星野
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ベンダーは基本在庫持たないですよね。米国に発注して、それがそのまま納品されるんです。
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- 亜川
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納品までに5カ月とか、かかるのよね。
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- 英森
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5カ月!!
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- 中田
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在庫を持たないっていうのは、海外に行ってから初めて知りましたね。
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- 亜川
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だから逆に言うと、日本はコストが高いってことですよね。サポートがいつもいて在庫もあるからいいけど、日本のサーバの値段って圧倒的に高いじゃないですか。
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- 中田
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少し話が変わりますけど、ベンダーの請求書の精度って皆さんどうでしたか?中国のベンダーはかなりずさんでしたよ。まったく違う金額を請求してきたりして。
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- 亜川
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それって、クレーム言っても直らないんだよね。
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- 英田
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イギリスの場合、間違っていることはほとんど無かったと思う。
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- 英森
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1回だけ、キャンセル済のものがちゃんと反映されてなくって請求されたことがあったけど、あとからちゃんと取消してもらうことができました。
次に報酬の違いについてはどうでしょうか?
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- 英森
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報酬という意味だと、給料の中には、ロンドンをはじめヨーロッパでは、基本的に交通費を社員に出さないのですけど。そのあたりは各国どんな状況ですか?
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- 中田
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通勤費は含まれなかったですね。
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- 米倉
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アメリカも交通費は出てなかったと思います。どこかへ営業に行ったときの交通費は出るけど、通勤費は出てないです。
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- 星野
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シンガポールだと、オフィスが引っ越しすると「通勤が不便になるので辞めます」と言い始める人がいます。通勤費は出ますけどね。
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- 中田
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オフィスの場所が替わったら辞めるって、海外結構ありますよね。ところで、社員同士で自分たちの給与額を共有したりしていません?ボーナスいくらもらったとか。
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- 英森
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イギリスは日本と比較的同じ感覚で、すごく仲のいい人にだけ言うことはあるけど、基本的にあまりそういうことはなかったと思います。
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- 亜川
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タイ人は給与額を共有していたことはあったけど、シンガポール人はそんな感じじゃなかったかな。
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- 中田
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中国ではフランクに、「お前いくらもらった?」ってみんな言い合っていますね。
それでトラブルになったりしないのですか?
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- 中田
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なりますよ、もちろん。「なんであいつがそんなにもらっているんだ」とか。私には当時人事権はなかったので被害はなかったですけど、中国特有な話でいくと、人を辞めさせるときは必ず中国人を使って辞めさせていましたね。前職もそうだし、ほかの日系のお客さんもそうでしたね。外国人が中国人を首切ると、いろんな事件に発展するので。
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- 星野
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商習慣で思いだしたのですけど、シンガポールで営業をやっていて日本と違うなと思ったのは、やたらプレゼントが多いです。例えば、9月は月餅配りに行ったりとか、お客様によっては、ちょっとランクのいいものあげたり。
クリスマスにはワインとか、ワインとセットで10,000円ぐらいのものを配ったり、旧正月はかなりいいランクのものを配ることもありましたね。あと紅包(アンパオ)ですね、これはIIJのですけど、これを普通にお客さんに配っていくのですよ。
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- 英田
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何ですか、これ。
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- 星野
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お年玉袋に似ています。ドアノックじゃないですけど、普通にひとつずつお客様に配ったりします。あと忘年会のとき、お客様からプレゼントもらうこともあります。いいお客様だとiPadを頂いた事もありました。それをビンゴ大会の景品にして、すごいバブルでしたね。
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- 英森
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忘年会っていかがですか?
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- 星野
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あります。ディナーアンドダンス。ホテルのワンルーム貸し切って、ちゃんとプロの司会の人にお願いして開催します。逆にディナーアンドダンスがない、開催されなかったら、その会社は経営がやばいんじゃないかとまで思いますね。
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- 亜川
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テレビで見るようなタレントが来て何かやるって、モチベーションアップですよね。
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- 英森
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旧正月も何かやったりするのですか。
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- 星野
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旧正月も、撈起(ローヘイ)をやりますよ。
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- 亜川
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刺身のサラダみたいなやつね。あれは、健康を祈ってこうみんなで「わー」ってすくいあげて、そのときに紅包(アンパオ)を使って、お年玉をスタッフに配ったりするんです。
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- 英森
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クリスマスというと、ロンドンはとにかくクリスマスパーティー。ところかまわず、紙でできている王冠かぶって、レストランで色々なテーマのクリスマスパーティーをしてますね。
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- 英田
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クリスマスパーティーが始まるころになると、イギリスのほとんどの会社は午後から仕事を全部やめてしまって、クリスマスランチが連日続きます。
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- 英森
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IIJ Europeもそうでしたけど、みんなブラックタイやタキシード。あんまりクリスマスぎりぎりになると、タキシードのレンタルも予約で一杯って聞きました。
アメリカは、コンプライアンスが厳しそうだからその辺りご経験ないですよね?
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- 米倉
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アメリカは、会社としては、クリスマスにカードとかチョコレートを贈ることはありました。売上順にランクがあって、大きい箱、小さい箱というのはやっぱりありました。そういえばチョコレートをごっそりサンノゼのオフィスに置いておいたら、アリがたかってってしまって、全部ダメになったことがありました。
ドイツのクリスマスは割と派手なんじゃないですか?
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- 独楽田
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そんな派手な感じはなかったですね。お世話になっているリース会社からカードと、あとチョコレートも届きました。それぐらいかなあ。
話が少し変わりますが、ランチに使う平均金額とかローカル社員との付き合い方についても教えていただけますか?
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- 米倉
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ニューヨークはロンドンほどじゃないと思いますけど、ランチ代がやはり高くて。お弁当派の人も多かったです。ラウンジ使うとしたら10ドル以下を狙うんですけど、それが駄目で12ドルとか。ちゃんと食べに行こうとすると20ドル、25ドルはしますね。
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- 英森
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レストランに行くか、トゥー・ゴーで持ち帰るかでかなり違いますよね。
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- 米倉
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はい、チップもあげなきゃいけないですし。15%とか18%だから、2割増しぐらいになっちゃいますね。
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- 独楽田
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2011年にロンドンにいましたが、そのときもみんな大体ランチボックスを持って来たりしていました。行ってもせいぜいサブウェイとかでしたね。お金がある人は、ちょっと高級な中華料理に行ったりしていましたけど。
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- 米倉
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私の衝撃ランチはマックでした。アメリカで、ランチにマックを初めて食べたときに、チーズバーガーセットを頼んで7ドルくらいで、「あれ、なんか思ったより高いなあ」思って。バーガーとポテトと飲み物だけなのに。でも、食べていたら、ハンバーガーがもう1個出てきた。だから、バーガーが基本2つ(笑)。
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- 英森
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嘘でしょう?そういうセットを頼んだのではなく?
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- 米倉
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知らないで頼んだのだけど、2個が標準セットなの。
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- 亜川
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聞いたことないよね。
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- 一同
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(笑)
ちなみにアジアだとランチはお手軽にいろんなところで食べられますか?
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- 星野
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アジアでも特にシンガポールは、あんまり料理を作らないので、基本外食なんです。なので、いわゆるシンガポール人が行くホーカーという屋台だと、今はちょっと高くなりましたが、大体4シンガポールドルベース、約300円台で大体のものが食べられます。でも、飽きてくるんですよね。
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- 中田
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中国でローカルの社員さんとかよく行くのは、10元以下の社食的なもの。ビルについている食堂みたいなところに行ったり、屋台に行くので、150円ぐらいで食べる事ができます。ちょっと内容が心配ですけど、食材とか。
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- 米倉
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私、中国出張に行った時に5元でお昼ご飯食べました!
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- 一同
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(笑)
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- 英森
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ロンドンは高い高いって言われていますけど、実際に高くて、持ち帰りで5から8ポンドぐらい。外で食べると、8から12ポンドくらいなので、いまだと1,800円くらいですよね。
5ポンドより安いランチは見たことないです。
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- 米倉
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ロンドンのランチって、量が多いって聞きましたけど。
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- 英田
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そんなに多くないと思いますよ。ランチ代が高いので食べないか、もしくは適当なものを食べておしまいという場合も多いですね。
(次回に続く)
- 第1回:海外勤務経験者が語る、現地での仕事内容とは
- 第2回:こんなに違う!日本と赴任先の違い
- 第3回:現地であるある苦労話
- 第4回:旧正月やクリスマスにまつわるビジネス習慣からランチ代の違いまで
- 最終回:グローバルで求められる人材像とは?