大田区 様

クラウドで自治体情報システム強靭性向上モデルを実現
インターネット接続系をIIJサービスで刷新
課題
- クラウドをベースにした新たなインターネット接続システムを検討
- メールやファイルダウンロードは台数に限りのある専用端末でなければ行えず、順番待ちが発生していた
- 2系統のインターネット接続システムの運用などが大きな負担になっていた
効果
- 実質2ヵ月という“超短期間”でクラウドサービスへの移行を実現
- 自席PCやタブレットでファイル取得が可能になり順番待ちを解消
- システムの監視や保守が不要になり、運用管理の負荷を大幅に削減
導入前の課題
セキュリティを担保しつつ業務利便性を向上したい
羽田空港を擁する自治体として、都市間交流を進めながら「来て良し、住んで良し」のまちづくりを推進する大田区。文化・産業・観光施策や住民サービスの向上を目指し、積極的にITを活用している。
そのIT環境は総務省より示された「自治体情報システム強靭性向上モデル」に対応し、マイナンバー情報を扱う「個人番号利用事務系」、自治体間を結ぶLGWANにつながる「内部情報系」、外部インターネットにつながる「インターネット接続系」にネットワークを3分割。厳格な通信制御により、強固な情報セキュリティを実現している。
LGWAN接続系端末は約3500台。仮想環境上から、LGWANやインターネットにアクセス可能だ。ただし、これは閲覧のみ。マルウェアの感染や情報漏えいを防ぐため、メールの送受信や必要な資料を入手したい場合はファイル無害化システムを経由しなければならない。「このファイル無害化システムを搭載した専用端末が各課に1~2台配備されており、順番待ちが発生していました」と大田区の佐藤明弘氏は振り返る。
「ペーパーレス化などを推進するため、大田区ではタブレット端末も導入しましたが、タブレット端末や自席PCではメールの添付ファイルや業務で使うファイルのダウンロードなどは、制限していました」と大田区の鈴木弘晃氏は振り返る。これをできるようにしてほしいという要望が、職員から数多く寄せられていたという。また、タブレット端末は庁内ネットワークを経由しないタブレット用のインターネット接続システムを構築。2系統のインターネット接続システムを運用することも大きな負担になっていたという。
そうした中、利用しているメールサービスが2020年3月末でサービス終了を表明。タブレットのリース期間も2019年12月で満了する。「これを機に、利便性とセキュリティを両立する新たなインターネット接続システムの実現を目指しました」と佐藤氏は語る。
選定の決め手
充実したクラウドサービスと技術力・コストを総合評価
自治体の情報システムは従来オンプレミスが基本だったが、政府が示した「クラウド・バイ・デフォルト原則」に沿って、クラウド利用が前提になりつつある。大田区も新たなインターネット接続システムはクラウドをベースに考え、生産性とセキュリティの向上、そしてTCO削減を目指した。この実現に向け、パートナーに選定した1社がIIJである。「クラウドサービスを数多く提供しており、クラウド/ネットワーク/セキュリティ関連の技術力が高い。コストも含めた総合力を評価しました」と佐藤氏は選定の理由を述べる。
プロジェクトに参加したベンダーは10社近くにのぼる。その中でIIJは、PC及びタブレットのインターネット接続システムとそのセキュリティ対策のクラウド化を担当。クラウド型ネットワークサービス「IIJ Omnibusサービス」、クラウド型メールセキュリティ「IIJセキュアMXサービス」、セキュリティ監視・運用サービス「IIJ C-SOCサービス」、Web閲覧・無害化時の利便性の高いインターネット分離ソリューション「SCVX」、更に約600台のタブレットの調達・キッティングなどを提供した。
プロジェクトの推進に当たり、II Jは専任のPM担当者を配置。他ベンダーとの調整や交渉もこのPM担当者が窓口になって対応した。「例えば、ファイル無害化システムを実装した仮想環境は別のベンダーが担当しましたが、これをベースにセキュアなインターネット接続を実現する環境構築や各種設定もIIJのサポートのおかげでスムーズに進みました」と佐藤氏は評価する。
導入後の効果
超短期間でシステムを刷新。自席でファイル取得も可能に
環境構築は2019年10月よりスタートし、同11月にはメール及び仮想環境をリリース。同12月にタブレットを納品し、新たなインターネット接続システムの本格稼働を開始した。「要件が多岐にわたるプロジェクトを実質2ヵ月ほどの“超短期間”でカットオーバーできました。プロジェクトの中でIIJが果たしてくれた役割は大きい」と話す佐藤氏。
現在はPC用、タブレット用に分かれていたインターネット接続環境をIIJサービスで一本化。自席のPCやタブレットでファイル無害化システムも利用できるようになった。「自席でメールの送受信やファイルダウンロードを行えるので、順番待ちせずに済むと非常に好評です」と鈴木氏は満足感を示す。異なるネットワーク間でファイルを移動するため使用していたUSBメモリも必要なくなり、紛失等々によるリスクもなくなった。
「セキュリティインシデントの対応や各種の設定変更などもIIJがサポートしてくれます。サポートセンターの回答も的確でレスポンスも速い。以前と比べて運用負荷も大幅に軽減されています」と鈴木氏は話す。
インターネット接続システムのクラウド化を実現し、業務の利便性とセキュリティ向上を両立した大田区。この仕組みをベースに、自治体業務の更なる生産性向上を目指す考えだ。
導入したサービス・ソリューション
お客様プロフィール

大田区役所
所在地:東京都大田区蒲田五丁目13番14号
設立:1947年3月
区内人口:738,128人(2020年4月1日現在)
※ 本記事は2020年2月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
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