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Special Discussion 私たちが語る、私たちのIIJ

IIJ.news Vol.173 December 2022

IIJ創業30周年記念企画の第4弾では、社長の勝栄二郎と、6名の社員による座談会をお届けする。
「IIJが目指す次の30年」をテーマに、働く環境、人材育成、社業、そして自身の夢など、汲めども尽きぬ“IIJ 愛”を語り合った。

プロフィール

IIJ 代表取締役社長

勝 栄二郎

1950年6月、埼玉県出身。75年4月、旧大蔵省(現財務省)入省。主計局長などを経て、2010年に財務事務次官。12年8月、財務省を退官。13年6月、IIJ代表取締役社長兼COOに就任。21年4月から現職。趣味はサッカー、読書、クラシック音楽鑑賞。

プロフィール

IIJ Europe Limited
Sales & Promotion

大西 竜洋

2011年、新卒入社。名古屋支社営業部配属後、15年、1年半の期限付き海外駐在制度「グローバルチャレンジ」でIIJ America(L.A)に異動。16年、名古屋支社に帰任。18年、グローバル営業部に異動。20年4月から22年3月まで社長室を兼務。22年5月からIIJ Europe(London)に駐在。

プロフィール

クラウド本部
クラウドサービス1部 副部長

山本 岳洋

2005年、中途入社。本社で約3年、技術者として勤務したのち、名古屋支社に異動し約6年勤務。14年、本社に帰任。クラウドサービスの企画・開発を担当。現在は、クラウドサービス「IIJ GIO P2 Gen.2」の企画・開発・運用を担当しながら、さらなる開発力強化のため、グローバル開発チームリードを担当。20年4月から22年3月まで社長室を兼務。

プロフィール

サービスプロダクト推進本部
ビジネスデザイン室

向平 友治

2017年、中途入社。入社当初はクラウドサービス「IIJ GIO」の販売促進を担当。その後、IIJサービス全般のマーケティングプロモーションを担当。昨年度から技術部門のサービス企画推進本部を兼務。イノベーション創出活動の一環として「I-Fusion」や「イノベーションキャンプ」を企画推進。22年度からは社長室も兼務。

プロフィール

第一事業部
第二営業部 営業1課 課長

岡田 拓也

2011年、新卒入社。入社から現在まで第一事業部に所属し、大手企業向け直販営業を担当。18年から21年まで社長室を兼務。その間、「セレクトジョブ」を企画・立案・実施。その他にも「スタートダッシュの早期化」、「場所に依存しない働き方」などを企画した。

プロフィール

管理本部
人事部 人材開発課

宍倉 香奈子

2017年、中途入社。入社前は人材系営業(IT担当)、IT営業、人事に従事。IIJ入社後は、中途採用・中途入社のフォローを担当し、現在は、新卒入社、プレーヤーおよびリーダー昇格者のフォローや、全社向けeラーニング対応を担当。

プロフィール

プロダクト本部
応用開発課

藤本 椋也

2015年、新卒入社。入社後はおもにIIJスマートメーターBルート活用サービス、SACM、IIJマルチプロダクトコントローラサービスの開発などに従事。19年から初心者向けハンズオン研修「IIJ Bootcamp」を主催。

技術研鑽と働く環境

―― では、「技術研鑽と働く環境」というテーマから始めたいと思います。今日集まったメンバーはそれぞれの立場から、社員がより幸せに、よりパフォーマンスを発揮できるよう、さまざまな取り組みを行なっています。最初に、技術系の取り組みについて、藤本さんからお願いします。

藤本:
4年ほど前になりますが、新人に技術を教える際、どうしても配属先の業務に関連した技術が中心になるのを課題に感じ、「IIJ Bootcamp」を立ち上げました。 ITエンジニアにとって大切なのは、実際に手を動かしてさまざまな技術に触れながら、何かをつくっていくことです。そうした思いから、初めて触る技術につまずきながらも、うまくいかなかった理由を考え、苦労しながら何かを動かしてみる――そんな経験の第一歩を踏んでもらうためにBootcampを実施しています。そこでは、手を動かすことにこだわった「ハンズオン」というかたちをとっています。
また、社内で何かをつくっている人を支援するために最近始めた「技術工作室」もその延長線上にあって、トライ&エラーのサイクルを反復・加速させることで、IIJを支える技術力を養うキッカケになればと思っています。

―― 企画系の取り組みについて、向平さんから紹介してください。

向平:
昨年(2021年)から、社内でビジネスのアイデアを募ってイノベーションにつなげていく「I-Fusion」や「イノベーションキャンプ」などの取り組みを行なっています。これらは、誰もが持っているちょっとしたアイデアをブラッシュアップして実現するためのプラットフォームといった位置づけです。
最近よく言われるのが、既存事業の進展に加えて、市場にアンテナを立てて新規事業を探索することの重要性です。私も社内での取り組みを通して、新規事業を探索するとともに、社員のみなさんの探索するマインドを育てていきたいと考えています。

―― 藤本さん、向平さんの取り組みについて、勝社長はどう思われますか?

勝:
会社側からの提案ではなく、若い社員が自分で考えて提案している点が素晴らしいですね。「自分たちの会社だ」という意識の現れであり、そういう活動が会社を成長させていく原動力になります。

―― 採用活動担当の宍倉さんは、中途採用・中途入社のフォローなどもしていますが、一般に人気のある会社には何か特徴がありますか?

宍倉:
多くの技術者は、自分でものをつくり出したいという希望を持っていたり、影響力の面を重視して、自分の企画を実現できる環境を求めています。IIJでは、新卒・中途を問わず、みなさん生き生きと働いているし、藤本さんや向平さんの活動のように、「自己実現の場」として会社が機能しているなと感じています。
勝:
中途入社してきた社員と話すと、みんな「IIJには自由な雰囲気がある。拘束が少ない」と言います。そういう環境が、モノを生み出す仕事につながっていくのだと思います。
向平:
実は、私にとってIIJは5つ目の会社なのですが、だいたいどの会社も「うちは自由でフラットな社風です」と言います(笑)。で、私が勤めた会社のなかではIIJが圧倒的に自由だし、働きやすい!ですから、そういう点をできれば可視化したりして、IIJの武器としてアピールしていきたいです。

―― 岡田さんは営業職で、社外の方と接する機会も多いと思いますが、IIJの雰囲気についてどう感じていますか?

岡田:
私の部署に中途で入社して3カ月ほど経ったメンバーがいますが、彼によると、「○○をやってもいいですか?」と尋ねると、たいてい即答で「いいよ」という答えが返ってくる、IIJは自由でびっくりした!と言っています。逆にこちらは、そういうことが(他社では)気になるんだなと思ったりしています。

―― ここで海外の様子も聞いてみましょう。ロンドンから参加の大西さん、そちらは働きやすいですか?

大西:
私は米国ロサンゼルスと英国ロンドンという2つの海外拠点を経験していますが、どちらにも比較的自由な雰囲気はありますね。自分のミッション、そして取り組みたい分野にバランスよく集中できる環境が整っているのではないでしょうか。お客さまのほとんどが日系企業なので求められるレベルは高いですが、落ち着いた時間感覚が流れていて、忙しいながらもプライベートとも両立した仕事の仕方ができているなと感じます。

―― 今日のメンバーのなかでいちばん社歴が長い技術者の山本さんは、ここまでの話を聞いていかがですか?

山本:
向平さんや藤本さんの取り組みに共感しています。自由であることをベースにしつつも、あくまでも会社としての活動なので、会社が目指す「方向性」に沿っている必要はある。その点、お2人は技術・ビジネス面とともに、そうした方向性をきちんと意識していて、とても良いと思います。

人材育成・人材交流

―― 2つ目のテーマは「人材」についてです。まずは、大西さんが渡英前から携わっている「行動指針」の作成について紹介してください。

大西:
IIJには明確なミッション(社是)や経営理念はあるものの、それらを行動に落とし込む「行動指針」にあたるものがありませんでした。過去にも策定が試みられたことはありましたが、実現には至らなかった。
今回、30周年という節目に向けて、「行動指針」を策定しようということになり、社長室主導のもと、メンバーを募ってワーキンググループを設立しました。そこでは、社員一人ひとりが主体となって、IIJの生い立ちやバックボーンを考慮しながら、これからのIIJをつくっていくための指針の作成を目指しています。

―― 「行動指針」はどんな内容になるか楽しみですね。次に、そうした指針にもとづいて、どのような働き方をしていくのか、考えてみたいと思います。岡田さんは働き方の選択肢を増やすために、ユニークな取り組みを行なっていますね。

岡田:
私は2011年に新卒で入社しましたが、残念なことに、同期の多くが転職したり、先輩や後輩のなかにも会社を去っていく人がいました。彼らと話すなかで、ほかの会社じゃないと彼らのやりたいことはできないのか?本当にやりたかったり、自己実現に結びつく仕事をできる仕組みが、もしIIJのなかにあれば、彼らも会社を辞めなくてよかったのではないか?と思うようになりました。
当然、会社にいると仕事を選べないこともありますが、せっかくいろんな領域に関われるIIJで働いているのだから、自部署以外を兼務することでほかの分野を経験し、それをモチベーションにつなげていけるのではないか?そんなアイデアから企画したのが、社内公募により期間限定で他部署の業務を経験できる「セレクトジョブ」という制度です。社長室で立案したところ好評だったので、約1年の検討を重ねたのち、2021年度から実施しています。
「セレクトジョブ」をやってみて意外だったのは、スキルを持ってない社員を受け入れるのは(受け入れ側の)負担になるかも……と心配していたのですが、むしろ受け入れに積極的だったり、「自分たちの仕事を知ってもらえて良かった」と言ってくれる部署もけっこうあって、予想外の成果と言いますか、IIJらしい反響かなと思いました。

―― 「セレクトジョブ」は、社長室が起点になったことで、横断的かつスムーズに実施できた面もあると思いますが、社長室のオーナーである勝社長は、そのあたりどうお感じですか?

勝:
一種の梁山泊のようなものですね(笑)。何より、そういう発想が社員から出てくることが大事だし、さらに素晴らしいのが発想を実現したことです。会社という組織は、みなさんが仕事を面白いと感じて働いてくれないと、成長していかない。また、仕事の面白さは一人ひとりまったく異なるので、いろんな経験を積むことは非常に有益です。あと、そうしたことにチャレンジした人を周りがきちんと評価することも大事になってきますね。
岡田:
「セレクトジョブ」と並んで、社長室から発案して実現したのが「スタートダッシュの早期化」です。
新年度になると、異動で担当者の交替が発生しますが、一部の会社では2、3月あたりに内示が出て後任が決まり、その人が早めに動けるよう、動き出しのタイミングを前倒しにしているところがあります。IIJでも同じことをやれないだろうかと社長室で雑談したところ賛同が得られたので、企画書を書いてみました。すると、そのまま私自身が取り組むことになり、さっそくその年の辞令が前倒しになったのです!半年足らずでこうしたプロジェクトを実現できたことに自分でも驚きました。
勝:
まあ、「社長室の発案だったから」というよりは、我々は自由でフラットな組織を目指しているので、意思決定にも極力、時間をかけないで、スピーディーに進めてきた結果だと思います。

―― 今の話題に関連した質問を、宍倉さんが用意しているそうなので、お願いできますか。

宍倉:
私は新卒社員のフォローなどを行なっていますが、IIJにはいろんな人が入ってくるので、日々刺激を受けています。今日、勝社長にうかがいたいのは、各社員がパフォーマンスを発揮するためにどんな環境やサポートが必要なのか?ということです。
勝:
新入社員によく言うのは、働く時間を充実したものにしないともったいないということです。会社に入ると、最低でも1日8時間、通勤や食事などを入れると、日々の活動の大半はIIJの社員として過ごすことになります。その時間を充実させるためには、まず仕事を面白いと感じられること、次に自分の仕事に関して「自分こそ第一人者なのだ」という自覚を持つことが大事ではないでしょうか。大きな仕事、むずかしい仕事はもちろん、どんなに些細な仕事であっても、そこには必ず工夫の余地があります。その工夫の仕方次第で、第一人者になれるか否かが決まってくると思うのです。
もう1つは、会社には大きな方針があるので、その方向性を明確に認識して、みんなでそちらに向かっているという意識を共有することが大切です。そのためには組織内のコミュニケーションが重要で、お互いよく話し合っていくのがいいでしょう。
宍倉:
最近多いのが、自分はがんばっているし、やる気もあるけど、やりたいことが見つからない……という人です。そういった人にはどうアドバイスすればいいですか?
勝:
今日、ここに集まっているような仲間と付き合うことをおすすめします(笑)。

―― 互いにコミュニケーションをとりながら1つのものをつくっていく作業は、もっともIIJらしく、やりがいがあると思いますが、まさにそうした仕事に携わっている山本さんは、今の話を聞いて、どう思われましたか?

山本:
私は普段、クラウドサービス「IIJ GIO」に関する仕事をしていますが、仕事の規模が大きく複雑になると、やりたいことがあっても、なかなか手が回らなくなってきます。そんな時は、視点を変えてみるといい。私の場合、IIJグループのベトナムの仲間とともに、我々のサービスのあるべき姿を熱く議論し、各国のビジネスにどう貢献できるかを考えることで、よりグローバルかつ新たなアプローチで仕事を進めることができました。つまり、目の前のリソースだけでやろうとしないで、少し視点を広げると、いろんな仕事のやり方が見えてくると思うのです。そういうことを積み重ねていけば、やれることの規模やチームが10倍、100倍と大きくなっていくのではないでしょうか。

会社の成長

―― 最後は「会社の成長」について考えたいと思います。向平さんは「社内からのイノベーション創出を後押しする」ことをミッションに掲げていますが、そのあたりに関して説明してもらえますか?

向平:
私は経営学の研究者の端くれとして、さまざまな研究をしています。ビジネスにおいて「これをやれば会社が必ず成長する」という答えはありません。他方、会社の内(人材など社内リソース)と、外(ビジネスを展開する市場環境)のどちらが会社にとって重要なのか?ということに関しては、やはり「どちらも大事」だという当たり前の結論になるようです。ただ、企業がどんな市場環境でビジネスをしているかによって選択する戦略はいくつかあります。
IIJが置かれているIT市場では、あるイノベーションが起こると、それが業界内の企業やビジネスモデルをディスラプト(破壊)するといったことが起こり得ます。そこで生き残っていくには、既存事業を継続的に強化しながら、新規事業の探索や社内発のイノベーション創出が重要であり、それらを生み出す自律的な活動を戦略的に行なうことが求められます。
ただ、社内的な探索やイノベーション創出に失敗はつきもので、収益に結びつくまでには時間もかかる。だからといって、途中でやめてしまうと会社の成長も止まってしまいます。一方、そうした活動がもたらす別の側面に着目した私の研究では、社員が会社をより好きになったり、長く勤めたくなったり、ほかの人に自分の会社を勧めたくなる――つまり、市場で生き残るための活動が、実は、社内リソースの1つである人材にとってプラスの効果を生じさせるという研究結果も出ています。私も今後は、こうしたことを実践・実証していきたいと考えています。

―― では、向平さんの話を受けて、みなさんがこれからチャレンジしてみたいことを聞いてみましょう。岡田さんからお願いします。

岡田:
私は営業なので、会社のフロントとしていろんなお客さまと接していますが、IIJのことが好きだと明言してくださる方や、「事例記事に載せてほしい」とおっしゃる方もいたりして、本当にうれしいです。私の仕事はサービスを売ることですが、お客さまがIIJを好きになってくだされば、働いている我々も元気をもらえます。そういう意味で、IIJの魅力を発信し続けることが、営業の永遠の仕事なのかなと感じています。

―― 同じ営業職ということで、ロンドンの大西さんは、これからどんな活動をしますか?

大西:
私はグローバル営業部からの赴任でロンドンに来たので、その経歴を活かし、海外と日本との連携をさらに密にしていきたいです。IIJは同業他社に比べて、日本と海外との連携が比較的良好だと感じていますが、今後は現地法人に日本のスピリットを伝えながらグローバルビジネスを拡大し、海外におけるIIJの知名度を高めていきたいです。

―― 宍倉さんはどんなことをやってみたいですか?

宍倉:
強化していきたいことになりますが、採用人数が増えても、社員が考えていることや実現したいことは十人十色です。「毎年こうだから……」、「こういうタイプの若者は……」といった固定観念を持たず、目の前の社員一人ひとりと対話していきたいと思います。

―― 藤本さんはいかがですか?

藤本:
今は技術に関連した教育や研修など社内に目を向けることが多いですが、お客さまの目線や要望にももっと目を向けることで、充実したサービスに結実していくと思うので、自分の視野やコミュニケーションの対象をより外に広げていきたいです。

―― 山本さんはどうですか?

山本:
自分たちがやりたいことをかたちにしていくことが重要で、そのためにはテクノロジーの進歩についていく必要がある。そこで考えないといけないのは、自分たちのサービスが選ばれる理由や、逆にどういうふうに使ってほしいのかというメッセージであり、その点を常に意識しながら、やりたいことをチームで実現させていきたいです。

―― 最後に、ここに集まった若手とともに、これからIIJはどんな方向を目指していくのか、勝社長からお話いただけますか。

勝:
今日、みなさんの話を聞いて、各々やりたいことを持っているのがよくわかりました。これまでIIJは時宜を得たサービスを提供する一方で、30年にわたり日本のインターネットを運用し、その実績を通して多くの企業やユーザから信頼を得てきました。そうしたステータスを維持していくには、みなさんのような社員の努力や経験が必要であると同時に、今後も一人ひとりがアンテナを高く張って、国内外の動きを敏感に捉えていくことが重要です。次の30年に向けて、IIJの精神および社風を大切にし、必要とあらば改良を加えながら、継承していってほしいです。

―― みなさん、そして勝社長、ありがとうございました!


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