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新型コロナウイルスの流行により、参加者が会場に集うタイプのイベント開催は、困難な状況が続いています。そんな中、ZoomやTeamsを使った各種発表会(以下「Zoom発表会」)を実施する企業が増えていますが、音声が聞きづらい、画質が粗い、質疑応答が盛り上がらないなど、さまざまな課題が浮き彫りになっています。
しかし(株)インターネットイニシアティブ(以下「IIJ」)のZoom発表会は、画質・音質ともにクオリティが高いと参加者から好評です。本日は、IIJネットワーク本部コンテンツ配信サービス1課 今西亮太さん、広報部 副部長 堂前清隆さんに、その舞台裏を語っていただきました。
イベントや説明会のオンライン中継は、コロナ禍以降に始められたのですか?
今西:以前から一部のイベントでは、オンライン中継を行っていましたが、あくまでも会場でのリアル開催がメインで、現地へ足を運べない方々向けにオンラインも用意しています、といった副次的な扱いが多かったです。
しかし2020年春、ご存じの通り、会場集客型のイベントが次々と中止せざるを得なくなり、IIJでも、報道関係者や投資家に向けた8月の決算説明を、創業以来初のZoom発表会へ切り替えました。以降今日まで、イベントや説明会はオンラインが基本となり、私も通常業務の傍ら月2~3回のペースで配信を担当しています。
堂前:実はその発表会よりも前、コロナ禍初期に一度、新サービスの発表があり、私が持ち込んだ有り合わせの機材で報道関係者向けのZoom発表会を実施したのですが、「とりあえず意思の疎通ができている」レベル。画質・音質・段取りに、さまざまな課題が残りました。
やはり、ただ撮影した映像をオンライン配信という形で公開できればよいわけではなく、発表内容に意識を集中していただくためには、いろいろと準備が必要だと感じ、以降はチェックリストを作成し、進行要望のヒアリングやリハーサルをきちんと行うようになりました。また、肝心の配信部分も専門家である配信事業部門へお願いし、今西さんに参加いただくこととなりました。
今西:オンライン中継は、毎回条件や要望が異なるため、都度、機材や環境の構成はカスタマイズしています。
カスタマイズポイント
Zoom発表会は、事前準備から本番までどのような流れになりますか。
今西:おおよその流れは、以下になります。
運営メンバーおよび機材の構成を教えてください。
今西:登壇者2名+運営メンバーが同一の部屋に集まる場合 を例にご説明します。
音響も同様で、複数のマイクから拾われた音を、担当が個々のマイクの特性に合わせた調整を行った後、Zoom画面へ出したい音のみ選んで出力しています。
Zoomでカメラを切り替えているわけではなかったのですね。
堂前:この一年よく見かけていたZoom発表会は、テレビ会議システム内でのやりとりをそのまま視聴者へ共有する方法をとっていて、何よりも「手軽さ」が利点。突然のコロナ禍で、数々の企業や団体が利用を開始していましたよね。しかし手軽な反面、テレビ会議システムで用意された画面の構成や画質を超えることは難しいのだと思います。
対してIIJのやり方は、配信用の映像制作技術を駆使して、ある程度クオリティの高い映像を制作し、それをZoomへインジェスト*する方法です。
私からみて、今西さんがうまく構成を組まれているなと感じる点は、もともと動画配信(片方向)で使われているような映像制作の仕組みを、Zoom(双方向)でも使えるように組み合わせているところです。
実は、Zoom経由で視聴者が質問された声は、登壇者の近くに設置したスピーカーから会場内に流しているのですが、この声を登壇者のマイクが拾ってZoom内でループしてしまわないよう、出力ソース(会場の登壇者/Zoom以外の会議システム(Teamsなど)を使った遠隔地の登壇者/録画映像など)ごとに、適切な処理が施されているんです。
登壇者・運営者が意識すべき、オンライン特有の注意点はありますか。
堂前:説明会とイベントで分かれると思いますね。
今西:はい、そうですね。決算説明会やサービス発表会では、シンプルですが重要なのは「話し方」です。
堂前:リアル開催でのスピーチは、資料に目を落としながら話しても、そこまで違和感はありません。しかしオンラインになると、いわゆる「原稿を読んでいます感」がにじみ出てしまう(笑)。できることなら、カメラを見続けて話していただきたいのですが、話す内容をすべて覚えることは難しいでしょうから、リハーサルで、資料の置き場所を検討し、視線を落とした際の画面映りをチェックするとよいと思います。
今西:イベントの場合は、登壇者が楽しんでいないと視聴者はさらに楽しくありません。結局はリアルイベントと同様「楽しい会であること」だと感じています。
堂前:今西さんはオンラインでのお作法や流行りについても詳しく、いろいろとアドバイスいただいています。エンジニア向けオンラインイベントの座談会に関して相談をした際も、速攻で「Vチューバ―になりましょう!」っていわれました(笑)。
今西:例えばYouTubeやInstagramなどのライブ配信でも、自分の意見が表示されたり、答えがもらえたりしたら嬉しいじゃないですか。ですから、視聴者が怖がらずに意見を言いやすい場の雰囲気を、いかに作れるかが重要だと考えています。
今西:インターネットの魅力は「誰でも参加できるプラットフォーム」であることです。せっかくそのインターネット上でイベントをやるわけですから、双方向コミュニケーションを活性化させないともったいないと思いますね。
リアルイベントでは、参加者が開催地へ出向き、クローズドな世界で一体感を味わってきました。それはそれでリアルならではの価値や魅力があります。
しかし一方で、2020年より世の中は大きく変わり続け、人々は、ネットによって空間を超えて情報を共有する価値 も学びました。
IIJは2020年から「デジタルシフトは止まらない。」をキャッチコピーとする広告を展開しています。
遠隔地の大勢と同時につながれる世界。技術面、運用面ともに課題はまだまだありますが、今こそインターネットの真価が問われていると感じています。
インターネットに関するさまざまな技術を、私たちは磨き続けてきました。それをどう組み合わせ、新しい価値を生み出すのか、これからも考えていきたいと思います。
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