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STORY 06

インターネットはなぜ生まれたのか

インターネットがなかった時代のネットワーク

インターネットが発展してきた今日、もはやインターネットがない世界を想像すらできなくなってしまいました。
いまや検索だけでなく、ビジネスや金融、公共サービスなど、インターネットは、ありとあらゆるものに関係しています。電気・ガス・水道に次いで生活に欠かせないものになっているといえるでしょう。

では、インターネットが普及する前は、コンピュータ同士の通信はどのような方法が使われていたのでしょうか?

当時のコンピューターネットワークは、特定の目的のためにコンピュータを個別に接続したものを指していました。例えば、銀行預金の確認用ネットワークであれば預金確認のみ、商品発注のネットワークであれば商品発注のみのネットワークで、用途に限ったネットワークだったのです。

なお、日本で初めてコンピュータのネットワークが実用化されたのは、1964年の東京オリンピックだと言われています。各会場での競技結果を集計し、放送センターに集まった各国のマスコミに向けて、情報を伝えるための専用ネットワークとして作られたものでした。

インターネットは汎用性のあるネットワーク

そもそもインターネットは研究目的で作られたもの。それまで専用のネットワークだったものを、汎用性のあるものにしようということが研究目的のひとつでした。
世間では「インターネットは軍事目的で開発された」とよく言われています。しかし、実際はそうではありません。開発には米国国防総省傘下の研究所の資金が投入されていますが、そもそもの目的は、新しい通信技術を実用化するための研究だったのです。

インターネットはもともと利用目的を限定せず、さまざまな使い方を受け入れられるように設計されたため、株を取引したり、テレビ電話をしたりと、あれば便利な機能をどんどん付け足すことができ、あらゆる分野でその活用が広がっていきました。

同時に、インターネット以前の「何かをするために専用の環境を作る」やり方から、汎用性のあるネットワークの中で「何ができるかを考える」よう、人々のアプローチ方法も大きく変わっていきました。

研究利用から商用利用へ

とはいえ、最初からインターネットで商用利用(企業がインターネットでビジネスをすること)が可能だったわけではありません。ISP(インターネットサービスプロバイダ)も存在せず、一般利用者はインターネットにアクセスすることもできませんでした。

初期の頃は、研究機関のデータのやりとりにインターネットが活用されていました。そのデータを見やすくするために生まれたのが、World Wide Web(WWW)です。しかし、もともと研究用のネットワークだったということもあり、商用利用は禁止されていました。それが、アメリカでは1980年代後半から徐々に認められるようになってきたのです。

そして、日本でもインターネットの商用利用を進めるべく、IIJも参入を試みたのですが、日本ではインターネットについての法整備が整っていませんでした。当時、電気通信事業法が想定していたのは電話のような通信であり、インターネットのような新しいタイプの通信は国の想定外だったのです。インターネットがそもそも通信事業として成立するのか、認可を出して問題ないかなど、すぐには判断できませんでした。

そのため、IIJは1992年に創業してから認可を得るために、約1年間かけて国との調整を続けました。そして、1993年にようやく商用インターネット接続サービスの提供を認められました。

こうしてインターネットの商用利用が可能になると、日本でも利用者が増加。「IT革命」と呼ばれる産業構造や社会のあり方の変化が起こりました。ありとあらゆるデータがインターネットを介してコンピューター間を行き来するようになり、用途が拡大。それに伴い利用者が増えたことで、回線やシステムの設置コストも徐々に下がっていきました。

インターネットとともに歩んできたIIJ

IIJはもともとインターネット接続サービスを提供するISPのひとつですが、次第に「ほかにこんなことはできないの?」という利用者の声が届くようになります。例えば、インターネットが研究目的で使われていた頃は、研究者やエンジニアが自分の手で設備を整えてインターネットに接続していましたが、商用利用が可能になると、企業などのインターネット利用者からは、自分達で通信設備を管理するコストを掛けたくないというニーズが生まれ、IIJはこれを請け負うことを始めました。

このように様々なニーズを受け、電子メールのシステムを提供したり、インターネットのセキュリティ対策のためにファイヤーウォールサービスを開始したり、お客様のデータ本体を預かったりと、IIJのカバーする領域はどんどん拡大していきました。

インターネットの黎明期から関わってきたIIJは、このように一般利用者ができないことを請け負い、インターネットの裾野を広げていったのです。


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