STORY 11
IPアドレスの枯渇
インターネット上の端末の住所
世界中に広がるインターネットのネットワーク網には、膨大な数の端末(※)がつながっています。では、その中で誰かとやり取りをする際、何を頼りに相手を探しているのでしょうか。
- 端末の住所であるIPアドレス
例えば、紙のハガキを出す場合、表(おもて)面には、相手の住所と名前を書きますよね。
これは、まず住所から家を特定し、さらに名前から、その家に住む誰のことなのかを限定していることになります。
インターネットでも、この住所にあたるもの「IPアドレス」が存在していて、以下のような数字の組み合わせで表現されています。
インターネットにつながる端末にはそれぞれの住所が割り振られ、その数が増えれば増えるほど、IPアドレスは消費されていくのです。
当初用意していたIPアドレスの在庫が足りなくなってきた
先にあげた192.0.2.0というような数の組み合わせは約43億通りあります。
つまりインターネットに、43億個までは端末がつながっていても、1つ1つに固有のIPアドレスを割り振ることが可能でした。このくらいの数があれば、十分足りる想定だったのです。
これを、まず各国にあるIPアドレスの管理団体へ割り振り、さらにそこから利用者や各企業へ割り当てられていましたが、2000年代に入ってから長らく、その個数に限界論が浮上しています。その理由は、
- ・1人1台のパソコンを持つような時代を予想していなかった。
- ・スマホの登場やIoT時代に入り、コンピュータ以外の端末(スマホ、ゲーム機、WEBカメラ、家電など)もインターネットにつながる。つまり1人で複数台つながる時代の到来となり、爆発的にIPアドレスが消費されることなど、さらに想定しえなかった。 など。
予期しえないインターネットの肥大化で、2011年2月、とうとうIPアドレスをグローバルに管理する IANA (Internet Assigned Numbers Authority) において、新規に割り振りできるIPアドレスが無くなってしまいました。
以降は、使わなくなった端末用のIPアドレスを返却したり、もともと余裕をもって割り当てられていたアドレスの管理を厳格化したりと、何とかやりくりを続けて今に至っている状態です。
必ず足りなくなるときが来る ─ 新たな方式IPv6アドレスの誕生 ─
IPアドレスがいずれ足りなくなるであろうと分かった頃から、インターネット業界では、新たなIPアドレスの方式の開発・研究を進めていました。
旧来のIPアドレスはv4方式というものでしたが、新しいIPアドレスはv6方式(※)というもので、上記のようなかなり長い数字の羅列であり、この数字のパターンは約340澗(かん)=3.4×1兆×1兆×1兆 個という事実上無制限の個数を確保しています。
- ※ IPv4は10進数でしたが、IPv6は16進数。
しかし、このIPv6アドレスはただIPv4アドレスの桁数を広げたものではなく、IPv4アドレスで見つかったセキュリティなどの課題を考慮し、全く別のルールに沿って作られた環境であり、基本的にIPv4の世界と互換性がありません。そのため、新環境へ移行するにはコストがかかり、なかなか世の中の既存環境がIPv6環境へ移行されていない現状があります。
IIJのIPv6への取り組み
前述のとおり、IPv6アドレス環境はIPv4アドレス環境と互換性がないため、
- ・通信網のIPv6化
- ・そこで動くサービスのIPv6化
- ・そこへつながる機器(パソコン、OS、ルータなど)のIPv6化
とすべてにおいて、新環境を用意する必要があります。
IIJでは、かなり早い段階からこの研究・準備を進めていて、IIJがご提供するサービスは基本的にすべてIPv4アドレス、IPv6アドレス両方に対応しています。
スマホにおける通信網も、各キャリア網よりも早く、これに対応してまいりました。
いずれ必ずやってくる全世界的なIPv6環境メインの世界への移行に備え、IIJではIPv6環境のテストや研究開発を行い、業界関係各所への情報フィードバックも行っています。