STORY 07
有線から無線への変遷
有線によるインターネット
インターネットを利用するには、データを送受信するための回線が必要です。しかし、インターネットが日本に普及しはじめた1990年代には、個人が使えるインターネットの専用回線はありませんでした。そこで、家庭や小規模なオフィスの多くは、すでに広く普及していた電話回線を利用していました。
当時の電話回線はあくまで通話のみを想定してつくられたもの。インターネット専用のネットワークではなかったため、送信できるデータ容量は限られ、通信速度もとても遅いものでした。
個人利用向けとして広く使われるインターネット専用ネットワークが登場したのは1999年のこと。インターネット利用者の増加に伴い専用回線への需要が高まり、ASDLサービスがはじまりました。専用回線の普及はさらなる利用者の増加を促し、結果として利用コストの低下、その後、さらに通信環境を向上させた光回線の登場につながって行きます。
このように徐々に進化してきたインターネット回線ですが、あくまで限られた場所で有線へつないで利用するもので、屋外での利用はできませんでした。
もちろん、有線の回線がメインだった1990年代にも人々の中に屋外での利用ニーズはあり、PHSなどを使った無線ネットワークは存在していました。しかし、容量の大きなデータを送受信することはまだ技術的に難しく、用途に制限があったのです。
無線インターネットの始まり
この状況を変えるきっかけとなったのが、iモードの普及です。
1999年にNTTドコモがiモードサービスを開始。このiモードの成功で急速に無線インターネットへの需要が拡大し、技術革新が進むようになります。
iモードが成功したのは、少ないデータ量でも楽しめるコンテンツを作れるよう、インターネットの技術を応用した携帯電話専用の仕組みが用意されたため。短い文章の中に気持ちを表現させるツールとして開発された「絵文字」や「着メロ」など、今ではごく当たり前に使われているものも含まれています。
厳密に言えば、iモードはインターネットとは似て非なるものでしたが、サービスが普及することで携帯でのネット利用ニーズが拡大し、携帯端末やインフラの技術開発が進みました。結果、端末は小型化・多機能化し、送受信できるデータ容量も増加。無線インターネットが徐々に進化していきました。
このような無線インターネットの技術は、当時の日本が最先端。アメリカなど国外では、携帯電話はメールや通話に用途が限られていました。
しかし、2007年にAppleが初代iPhoneを発表すると、スマートフォンが世界的に普及しはじめ、携帯端末がインターネットにそのまま接続できるようになったのです。
ちなみに、iモード初期の1ページあたりのデータ量は数KB程度のものでした。それがいまや動画サイトになると数十MBにもなります。約20年で通信技術が大きく進歩したといえるでしょう。
「一家に一台」から「一人一台」の時代、そしてその先は……
スマートフォンの登場により、インターネットは「一家に一台」から「一人に一台」の時代へ突入しました。利用される端末が増えたことで、通信データ量は爆発的に増加し、それを運ぶ通信業のあり方も変化してきています。
このような利用環境の変化から、携帯電話市場でもIIJのできることが増えてきました。近年、スマートフォンに関わる通信環境の整備や、格安SIMの販売などさまざまなサービスを提供していますが、今後無線インターネットの技術革新がさらに進み、IoT時代を迎えると、「一人に一台」から「一人に複数台」の世界がやってきます。IIJはさらに皆さまの快適なインターネット環境をご提供できるよう、開発をすすめてまいります。