「一人一台」以上、ネットワークがあらゆるものにつながる時代へ
ここ十数年で、インターネットに接続される端末は爆発的に増えています。
1990年代は自宅のパソコンをインターネットに繋いだ「一家に一台」の時代。
2000年代にスマートフォンが登場すると、外出先でも手軽にインターネットにアクセスできるようになり、「一人に一台」の時代へと変わっていきました。
そして現在では、スマートスピーカーやアップルウォッチのようなウェアラブルデバイス、自動車、工場の製造ロボットなど、端末ではないものをインターネットに接続する時代になりました。また、スマートフォンと機能連携ができるテレビや冷蔵庫といった新たな製品分野「スマート家電」も登場しました。
IoT(Internet of Things)、端末以外の「もの」がインターネットに繋がる時代の到来です。
IoTのメリットは、人間が介在しなくても機械が自動的に働いてくれること。例えば家では、センサーが部屋の温度を感知して室温を調整してくれる。倉庫では、機械が在庫集計まで行なってくれる。世の中にあるあらゆるものがインターネットに繋がっている、そんな未来もIoTはもたらしてくれるかもしれません。
しかし、ごく最近になって登場したように見えるIoTですが、実はもっと早い時期から実用化されていました。
ちなみに世界初のIoT事例は、1991年に開発されたコーヒーポットの監視システムです。
ケンブリッジ大学の学生が、通路に置かれたコーヒーポットの残量を確認するために、わざわざカメラを設置し、インターネットを通して定期的に残量を写した画像を研究室内のモニタへ転送する仕組みを作ったのです。
この冗談半分の学生の取り組みは「世界一有名なコーヒーポット」と呼ばれていますが、いわばウェブカメラの前身と言えるでしょう。
他にも意外と身近なところでIoTは使われてきました。例えば、駅のホームにある自動販売機。インターネットを通して自動販売機内の在庫を集計して、補充員の持つ端末に転送することで、無駄なく必要なものを運ぶことができています。
さらに、ゲームセンターのゲーム機にアップデート情報を配信し自動更新したり、タイムカードの打刻機を無線LANに繋いで出勤情報を集計したりと、IoTはさまざまな場所で使われています。IoTはすでに私たちの生活の一部となっているのです。
とはいえ、IoTはそれ単体では成り立ちません。その力を十二分に発揮するためには「AI」の助力が必要です。