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Webは様々なサービスのフロントエンドとして広く利用されています。現在のWebは静的なWebページから、JavaScriptを用いた動的でインタラクティブなWebアプリケーションへと変化しており、Webトラフィックにもその影響が表れています。HTTPリクエストレベルでWebトラフィックの振る舞いを見ながら、JavaScript処理に起因するボトルネックやその複雑さについて解説し、終わりに今後のWebの展望についてまとめます。
Webは、最初はシンプルなHTMLファイルで書かれた単純なWebページから始まりましたが、現在では、様々なサービスのフロントエンドとしてWebアプリケーションが利用されるようになってきました。そして、これまでデスクトップ上の専用アプリケーションで利用されてきたサービスも、次々にWebアプリケーションとして提供されるようになっています。ユーザは、ニュースやブログを見たり読んだりするだけでなく、検索やメール、ソーシャルネットワークサービスや地図など、インタラクティブなUI(ユーザインタフェース)を介してWebアプリケーションを利用するというように、Webアプリケーションの利用方法や利用範囲が増々広がってきています。
Webアプリケーションのサービスが多様化している一方で、それらを利用するユーザ側の環境も多様化してきています。この記事を読まれている方の中にも、会社ではノートパソコンやデスクトップパソコンを利用しながら、通勤時間や家ではスマートフォンやタブレットを利用される方もいらっしゃると思います。利用端末の変化に伴い、利用するネットワーク環境も、有線だけでなく3G、LTEなどのモバイル接続やWiFiの利用など、ユーザが利用するネットワーク環境も多様化してきています。
Webアプリケーションの利用範囲、ユーザの利用環境が多様化してきている中、近年Webトラフィック量が再び増加しています。増加の理由として、これまでHTTP上で扱われていなかったコンテンツが、HTTPを介して扱われるようになってきたことが挙げられます。例えば、これまで動画はRTSPなど別のプロトコルで提供されていたものが、FLASHで提供されるようになり、WebサーバからHTTPプロトコルで提供できるようになってきました。また、大容量コンテンツのダウンロードサービスがWebアプリケーションで提供されるようになってきたことも、Webトラフィック量が増加してきていることの要因の一つと報告されています。このように様々なWebアプリケーションが利用され、全体としてWebトラフィック量が増加している中で、Webアプリケーションに対するユーザの要求が高まっています。
Webアプリケーションの性能を比べる指標はいくつかありますが、その中でも応答時間(ここでは表示が完了するまでの時間とします)は重要な指標の一つです。いくつかの論文やレポートにおいて、このWebアプリケーションの応答時間の短さが、非常に重要であると指摘されています。例えば、マイクロソフトのBingやGoogleの検索において、それらの検索結果の表示速度が数百ミリ秒遅延するだけで、歳入やその後の訪問数の減少につながるという報告があります。また、Webの表示が完了するまでの時間について、3秒ルールといったものが言われていますが、あるオンラインショッピングの統計では、実際には利用者は2秒以内の表示を期待していると報告されています。
高機能なUIや高速な応答時間など、ユーザの高い要求に応えるため、また多様なサービスを提供するために、Webアプリケーションは複雑になっています。その結果、最近のWebトラフィックも、当初のHTMLをHTTP GETしていたシンプルな頃と比べると非常に複雑になっています。では、実際に最近のWebアプリケーションは、その裏側でどのようなWebトラフィックが流れているのでしょうか。
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