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ここまでは、主にJavaScriptと関連したWebアプリケーションの挙動について見てきましたが、JavaScriptはWebアプリケーションの要素技術の一部に過ぎません。他にも、Webアプリケーションの機能性を向上させるために、新しい規格としてHTML5やCSS3が導入されたり、ターゲット広告のようなコンテンツのパーソナライズ化を行うためにCookieなどを用いたユーザ情報の取得が行われたり、外部WebAPIを利用したWebアプリケーション間の連携(マッシュアップ)が行われるなど様々な技術が利用されています。
また、Webアプリケーションの応答時間を高速化するために、CSSスプライトなど、一つにまとめられた複数の画像から特定の場所の画像だけを表示したり、JavaScriptの縮小化(ミニファイ化)として、JavaScriptファイルから不要箇所や空白改行を省くような、Webアプリケーションのコンテンツベースでの集約化技術も利用されています。このような既存の技術の組み合わせと応用によるWebアプリケーションの処理の集約化だけでなく、プロトコルベースでの集約化・高速化の流れとして、現在IETF(※7)においてHTTP2.0の策定作業が進んでいます。
このようにWebアプリケーションを取り巻く状況は、一部で集約化の流れがあり、それによりWebアプリケーションはある一面においては簡素化されることが期待されますが、その一方で集約化により、処理の流れが複雑化することも予想されます。
ISPとしてWebトラフィックの振る舞いやその特徴を理解することは、効率的な運用を図っていく上で非常に重要です。そのために、今後も引き続きWebアプリケーションを取り巻く技術や、Webアプリケーションの動きを理解していくことが重要になると考えています。また、ネットワーク側だけでなく、Webアプリケーションの構造やブラウザ内での処理など、多面的に可視化していくことが必要になると考えており、そのための技術開発を今後も行っていきたいと考えています。
執筆者プロフィール
二宮 恵(にのみや めぐみ)
株式会社IIJ イノベーションインスティテュート 技術研究所 研究員。
Webトラフィックの研究に従事。
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