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最近のWebトラフィックがどうなっているのかを調べるために、まず、モダンなWebアプリケーションの例として、Yahoo.comのトップページを閲覧したときのWebトラフィックを見てみます。図-1に、2013年11月5日のYahoo.comのトップページを表示しました。このトップページにアクセスしたとき、どのようなWebトラフィックが流れていたのか、簡単に数値で示してみます。
この結果は、あくまでもある日のYahoo.comのトップページをPCのブラウザ(Firefox)から見たときの例なので、ユーザの利用環境やコンテンツによってこれらの数値は変わりますが、図-1と並べて見ることで、普段はあまり意識することのないWebトラフィックのボリュームを感じて頂けるかと思います。
では、このYahoo.comのトップページのWebトラフィックの数値は、一般的なWebアプリケーションと比較して多いのでしょうか、少ないのでしょうか。そこで、比較のためにHTTP Archive(※1)が提供している値と比べてみました。HTTP Archiveは、Alexa(※2)やフォーチュンに挙げられている主要なWebアプリケーションから2週間ごとにWebのコンテンツを取得し、自動的に分析してレポートしています。HTTP Archiveの平均的なWebアプリケーションでは、1ページ当り90以上のHTTPリクエストと、1,400Kbyteを超える転送量、15以上の異なるドメインに接続していました(2013年の年間平均)。このことから、平均的なWebアプリケーションの場合、Yahoo.comのトップページの例で見た以上のWebトラフィックが、1ページごとに流れていることになります。
最近のWebトラフィックの量が把握できたので、次に、このWebトラフィックにはどのようなコンテンツが含まれているのか見ていきます。図-1のトップページに含まれていたコンテンツを、コンテンツタイプごとに分類し、コンテンツタイプの比率を図-2に示しました。左の円グラフはコンテンツ数、右の円グラフはコンテンツサイズで比較しています。コンテンツタイプの分類は、html、JavaScript(js)、Cascading Style Sheets(css)、JPEG・PNG・GIFなどを含む画像(image)と、それ以外(other)としました。図-2から、コンテンツ数とコンテンツサイズの両方で、画像が70%以上と一番大きな割合を占めており、2番目にJavaScriptが10%以上を占めていることが分かります。
では、このコンテンツタイプの比率も、一般的なWebアプリケーションと比べるとどうでしょうか。先程のHTTP Archiveのデータを用いて、2010年12月から3年間、平均的なWebアプリケーションのコンテンツタイプの比率(転送量)を図-3に示しました。この3年間で画像とJavaScriptの転送量が2倍以上に増えてきていることが分かります。そして、図-2の結果と同様に、図-3でも画像の占める割合が一番大きく、2番目にJavaScriptが占めていることが分かります。
図-1を見てみると、サムネイル画像やアイコンなど、様々な箇所で画像が多用されていることが分かります。では、2番目に多いJavaScriptは、どのようなところで用いられているのでしょうか。図-1の例は、Yahoo.comのトップページということもあり、HTMLファイルを見てみると、YUI (Yahoo! User Interface Library)(※3)のJavaScriptライブラリが多く読み込まれています。これらのJavaScriptライブラリを用いることで、トップ中央のメイントピックにおける、マウスの位置に連動した画像表示の切り替えや、画像の自動切り替えなどの高機能なUIが実装されています。また、UIのような見た目には直接関係しませんが、広告のクリック数やユーザ動線のデータ取得などにもJavaScriptが利用されています。
このように近年WebアプリケーションにおいてJavaScriptの利用の比重は増していますが、JavaScriptが注目されるようになったのは2005年にGoogleマップのサービスが開始され、そのサービスと共にAjaxという言葉が広まった頃からです。
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