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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.22
2014年2月18日
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目次

エグゼクティブサマリ

IIJが創業した1992年当時は、インターネットのトラフィックのほとんどが、ファイル転送のためのFTPやネットニュース配信のためのNNTPによるものでした。当時のISPのオペレータは、互いに連携しながらこれらの主要なトラフィックを効率良く配送するために最適化を進めていました。しかしその後Webが登場すると、90年代後半あたりからHTTPが主流になり、トラフィックの解析や管理の焦点は次第にHTTPトラフィックにシフトしました。

一方、2000年代に入ると、コンテンツのリッチ化や、P2Pなど用いられるアプリケーションの多様化により、一時期HTTPのトラフィックが減少する傾向も見られましたが、近年のクラウド化やスマートフォンの普及により、多様なアプリケーションのトラフィックが再びHTTPに集約される傾向へと戻ってきています。

このようにISPのエンジニアリング、運用の現場では、常に技術やサービスのトレンドを踏まえた上で、インターネットの利用や、それによるトラフィックの挙動変化を予測し、トラフィックの最適化やセキュリティの確保のための対策が行われています。

本レポートは、このような状況の中で、IIJがインターネットというインフラを支え、お客様に安心・安全に利用し続けていただくために継続的に取り組んでいる様々な調査・解析の結果や、技術開発の成果、ならびに、重要な技術情報を定期的にとりまとめ、ご提供するものです。

「インフラストラクチャセキュリティ」の章では、2013年10月から12月までの3ヵ月間に発生した主なインシデントを時系列に並べ、分類し、月ごとに概要をまとめると共に、期間全体での統計と解析結果をご報告します。また、対象期間中のフォーカスリサーチとして、大容量メモリを搭載した端末にメモリフォレンジックを実施する際の注意点を明らかにし、SSL暗号化を拡張するデータ保護技術である”Forward Secrecy”について解説します。最後に、IIJがマルウェア対策活動の一貫として実施してきた、Webクローラを用いたWebサイト改ざん調査の概要を紹介し、最新の調査結果を報告します。

「クラウドコンピューティングテクノロジー」の章では、2009年のサービス開始から5年目を迎えた「IIJ GIO(ジオ)」サービスの全体像を技術的な視点から解説します。今号では、「IIJ GIOホスティングパッケージサービス」と「IIJ GIOコンポーネントサービス」のそれぞれの概要を説明します。また、これらのサービスを実現するための大規模なインフラを物理的に構築する上でのポイントについて解説します。次号以降では、物理構築されたインフラ上で用いられる技術や運用面でのポイントについて順次解説していきます。

「Webトラフィックレポート」の章では、現在さまざまなサービスのフロントエンドとして利用されているWebアプリケーションを取り巻く状況について解説し、それらを踏まえた上で、最近のWebトラフィックの特徴を分析した結果を報告します。またトラフィックの特徴と併せて、Webアプリケーションで用いられる技術やプロトコルの変化のトレンドを理解しておくことが、ISPとして効率的な運用を維持するために重要であることを説明します。

IIJでは、このような活動を通じて、インターネットの安定性を維持しながらも、日々改善し発展させて行く努力を続けております。今後も、お客様の企業活動のインフラとして最大限に活用していただくべく、様々なソリューションを提供し続けて参ります。

浅羽 登志也

執筆者プロフィール

浅羽 登志也(あさば としや)

株式会社IIJイノベーションインスティテュート 代表取締役社長。株式会社ストラトスフィア 代表取締役社長。
1992年、IIJの設立と共に入社し、バックボーンの構築、経路制御、国内外ISPとの相互接続などに従事。1999年より取締役、2004年より取締役副社長として技術開発部門を統括。2008年6月に株式会社IIJイノベーションインスティテュートを設立、同代表取締役社長に就任。2012年4月に株式会社ストラトスフィアを設立、同代表取締役社長に就任。


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