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IIJ.news Vol.170 June 2022
IIJ は、データセンターのサービス提供者であると同時に利用者でもある。それは、データセンターがどうあるべきかを、IIJ が利用者の立場でも熟知しているということである。
本稿では、これら双方の目線とユニークなコンセプト・技術で実現した IIJ データセンターの変遷とラインナップを紹介する。
IIJ 基盤エンジニアリング本部基盤サービス部サービス開発課長
室崎 貴司
データセンター・エンジニアリング関連サービスの企画と開発を担当。もともとアプリ開発でスクラムマスターを経験しアジャイルに造詣が深く、世界のDX推進をインフラ設備から支えたいと考えている。
今から30年前に日本企業で最初の商用インターネットサービスプロバイダとして事業を始めたIIJは、日本全国にインターネットバックボーンを張り巡らせるための拠点を、データセンター事業者から借りて構築していきました。
広帯域のインターネット接続を必要とする企業の要望に応えるため、IIJネットワークに直結する利便性の高いデータセンター(以下、DC)でハウジングおよびホスティングサービスを開始し、国内主要都市に展開しています。
2000年代後半になるとクラウドサービスが台頭し始め、IIJでもクラウドサービス「IIJ GIO」の提供を開始しました。そして、拡張性があるサービス基盤としての自社DC建設の機運が高まり、2011年に松江データセンターパーク(島根県松江市)を開設しました。松江データセンターパークでは、それまでに培ったノウハウを結集して自社開発したコンテナ型ITモジュール「IZmo(イズモ)」により、コストを削減し、スケーラビリティ、劇的な省エネを実現しています。
2010年代半ばからデジタルデータが爆発的に増え始め、クラウド基盤向けのDC需要を満たす大規模DCの建設が世界的に活発になっています。
IIJでも2019年、白井データセンターキャンパスを千葉県白井市(千葉ニュータウン/印西地区)に開設しました。白井データセンターキャンパスは、松江データセンターパークの装置・建物一体型の考え方や、効率的な運用の追求といったコンセプトはそのままに、より大きなニーズに応え得る広大な"キャンパス"をイメージして建設しました。ここでは新技術のショウケースにもなる実験的な取り組みにチャレンジし続けており、JPNAPが提供するインターネットエクスチェンジ(IX)と構内で直結していることも大きな魅力です。
白井データセンターキャンパスでは、2023年の運用開始に向けて2期棟の建設が始まっており、自動運用の発展、運用効率の向上、メガソーラー発電設備の併設による脱炭素社会への取り組みを推進していきます。
自社のサービス基盤にも利用されている白井データセンターキャンパスは、企業向けのコロケーションサービスのみならず、クラウド事業者、コンテンツ事業者向けの基盤としても最適な郊外型「ハイパースケールデータセンター」です。また、国内主要都市における利便性の高い都市型DCのコロケーションサービスも合わせて展開しています。
クラウド需要が増大する一方、今後数年内に5Gやビヨンド5Gのモバイル技術、IoT などの普及にともなって、エッジにおける分散処理の需要が急速に高まると予測しています。そこで、これからのDCは、クラウドの基盤となる大規模DCと機動性が高く小規模な「エッジデータセンター」の組み合わせによる"分散・最適化"がカギになると考えています。
IIJは2021年11月、エッジデータセンターソリューションである「DX edge」をリリースしました。「DX edge」では、コンテナ型DCやマイクロDCにより、企業のデジタル基盤となるオンサイトDCやデジタル田園都市構想を実現する地域レベルのローカルDCに最適な設備を提供しています。
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