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IIJ.news Vol.170 June 2022
全国津々浦々でユニークな事業・取り組みを行なっているIIJ のお客さまを紹介する「お客さま探訪」。
第5回は、日本最西端の自然文化都市「石垣市」です。
日本全国の児童生徒に1人1台、コンピュータと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み「GIGA スクール構想」への対応について、お話をうかがいました。
サンゴ礁、マングローブ林、サトウキビ畑。美しい自然に恵まれた、個性豊かな島々――沖縄県石垣市は日本の最西端、八重山諸島にある観光都市で、クルーズ船や飛行機の国際便が就航しています。2021年には「みんなが集うランドマーク」をコンセプトとして隈研吾氏が設計した石垣市新庁舎が完成しました。高い出生率や本土からの移住者などにより人口は増加傾向にあり、小中学校は市内にのべ28校あります。
一方、石垣市はいわゆる「台風銀座」に位置し、落雷やゲリラ豪雨、それにともなう塩害などに悩まされています。また、石垣市は沖縄の経済的中心である那覇市から400キロ以上離れており、IT専門職などの人的資源や物的資源が限られています。そのため、市内のインターネット回線は、断線や機器の故障といった物理的な原因で途切れがちで、時には数日間、復旧できないこともあります。
「GIGAスクール構想」をキッカケに見直しが始まるまで、石垣市内の小中学校のICT環境はお世辞にも整ったものとは言えませんでした。増築に増築を重ねたインターネット回線は、教育委員会のもとで辛うじて中央制御されていました。しかもその実態は、さまざまなサーバやルータが、それぞれのIDとパスワードで管理され、何がどういう状態なのか把握するのも一苦労でした。ネットワークの輻輳も頻繁に発生し、各学校から教育委員会にクレームの電話が次々に入ってくる――そんな状態でした。
石垣市教育委員会でICTを担当する比嘉幸宏氏は「日々発生するネットワークの復旧作業に追われて、本業どころではなかった」と、当時を振り返ります。さらに、各学校にオンプレミスで設置された機器はメーカ、設置年度、コンセプトがバラバラで一括管理がむずかしいことも運用負荷を高めていました。
電子教科書やオンライン授業などを、日々の教育で当たり前の手段として活用するGIGAスクール構想に、高速で安定したインターネットは不可欠です。まずは稼働率を限りなく99 パーセントに近づけるべく、2020年度に「石垣市教育ICT環境整備指針」を策定し、思い切った見直しが行なわれました。
【石垣市教育ICT環境整備指針】によるネットワークの方向性
こうした考えのもと採用されたコンポーネントの1つが「IIJ Omnibus サービス」です。IIJ Omnibus はSD-WANサービスで、利用状況に応じた拡張が容易なうえに、IPoE 方式を選べば、PPPoE 方式で起こる輻輳を回避できる点などが評価されています。ネットワークの設計と機器の選定・調達はIIJが行ない、小中学校での構築作業は、地元と小中学校のICTにもっとも詳しい株式会社オキジムが担当しました。
紆余曲折はあったものの、ネットワーク環境が2021年度に整いました。そして、石垣市の児童生徒たちには、インターネットに接続できる端末と Microsoft 365 のアカウントが配布されました。
比嘉氏は「今回のGIGAスクール構想により、学校が楽しくなった、勉強が楽しくなったと言う子どもたちの声が届いています。今、石垣市の小中学生のなかでは、タイピングが流行っています。子どもたちには空気のように当たり前に、自由にインターネットを使ってほしい。そしてICTを通じて自分の可能性に気づき、それを大きく伸ばしてほしいです」と語ります。
石垣市
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