ページの先頭です
IIJ.news vol.163 April 2021
全国津々浦々でユニークな事業を営んでいる、
IIJのお客さまを紹介する新コーナー「お客さま探訪」。
第1回は、山口県の「西部石油株式会社」。
日本の各地にエネルギーを、
50年以上安定供給している会社です。
山口県山陽小野田市。かつては全国有数の石炭産出地でしたが、戦後、隣接する宇部市とともに、化学・製油·セメントなどの重工業に産業構造を大きく転換した街です。一方で、瀬戸内らしい穏やかな気候や、山・川・海の自然に恵まれた土地でもあり、周防灘に沈む夕陽の美しさは街の誇りとなっています。
今回のお客さま「西部石油株式会社」(以下、西部石油)は、1962年に「産炭地域の振興」という目的のもと設立された会社です。同社の中核事業である石油精製事業は、海を干拓して作った西日本有数の石油基地「山口製油所」で営まれています。山口製油所は、一日あたり12万バレルの原油処理能力と、385万キロリットルの貯油タンク群、中東からやってくる大型タンカーの受け入れが可能なシーバースを有し、時代のニーズに応える石油製品を50年以上、西日本を中心に安定供給し続けています。貯油タンクは最大規模のもので、14万キロリットルの原油を貯えることができ、その大きさは野球場に匹敵するほどです。普段みなさんが何気なく乗っている自動車のガソリン、ストープの灯油、身の回りのプラスチック製品は、ひょっとすると山口製油所の“出身”かもしれません。
西部石油では、企業のミッションである「エネルギーの安定的な供給」を正確かつ効率的に遂行するため、情報システムを積極的に活用しています。
石油精製の現場では、かねてより高度なプロセス制御を可能にする分散型制御システム(DCS)を導入し、ホストコンピュータと連携させながら、多目的な制御の安全性、合理性、経済性を追求してきました。精製機器の運転、生産管理、品質管理などもシステム化されており、これらのデータを統合したコンピュータ・システムは、多種多様な原油から製品を効率的に生産するのに不可欠です。また、同システムは製油所自体の安全確保、環境保全、省エネの最適解を導き出すのにも役立っています。
2019年度、西部石油はインタ—ネット接続とセキュリティを“トータルでお任せできる”IIJのサービス群に更改し、社内の情報系インフラとしてオフィス365を導入しました。本件が西部石油とIIJとの初めてのプロジェクトでした。
これまで西部石油では、東京と山口を結ぶWAN、ファイアウォール、ロードバランサ、DNSサーバ、メールやWEBのセキュリティなど全てを自社環境で運用してきました。しかし、本来業務に集中できるICT環境の実現、具体的にはネットワークの強化、運用負荷の軽減、ガバナンスの強化を目指し、今回のプロジェクト実施を決めました。
導入後、コロナ禍により、多くの会議が対面からMicrosoft Teamsを活用したオンライン会議へと移行しましたが、快適でセキュアなネットワークが順調な移行を下支えしています。現在はMicrosoft Teamsと連携しているファイル共有ソフトSharePointの活用が、少しずつ増えているそうです。
現在、西部石油では、安全性や生産性の維持向上を目的に、機器の保守点検をIoTデータと機械学習を重ねたAIに担わせる「スマート保安AI」の導入を始めています。また、2022年には山口製油所の本部社屋を敷地内に移転する計画があり、一部の部門では「仕事内容に合わせて働く場所を選べるオフィス(Active Based Working)」の実現も目指しているそうです。
こうした新しい企画が始まる時、情報システム部門は俄然、忙しくなります。機器から取得したセンサデータを収集するためのサーバの設置、新社屋への無線LAN配備、デスクトップPCからノートPCへの端末移行……等々、新たな課題はたくさんあります。長年使い続けてきた基幹系システムのモダナイゼーションにもゆくゆくは手をつけなくてはなりません。しかし「先進的で、積極的に検証をしながら、新しいものをどんどん取り入れていき、検証から本番へ移行するスピードも速い」と、IIJ営業担当者も称賛する西部石油であれば、軽やかにハードルを乗り越えていくことでしょう。
西部石油株式会社
ページの終わりです