IIJ.news vol.163 April 2021
北國銀行では、クラウド化を推進するために情報系システムを
Microsoft Azure と Microsoft 365 に移行した。その際、課題となったのがメールセキュリティ。
従来のオンプレミスでのメールサーバの運用から、クラウドベースの運用へシフトするにあたり、
運用負荷がかからず、かゆいところに手が届くメールセキュリティサービスを検討した結果、
リーズナブルなコストで要件を満たしてくれる「IIJ セキュアMXサービス」が採用された。
株式会社 北國銀行システム部 システム企画課 課長
新谷 直樹 氏
株式会社 北國銀行システム部 システム企画課 調査役
丸金 正和 氏
株式会社 北國銀行システム部 システム企画課 課長代理
水摩 安慎 氏
[導入前の課題]社内情報系のクラウド化にともない、メールセキュリティの刷新を検討
――北國銀行は、勘定系システムのパブリッククラウドへの移行や、IT基盤システムのクラウド化など、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進されています。
新谷
地方銀行を取り巻く経営環境は、決して楽観視できるものではありません。そうしたなか「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や、ITを活用した金融サービス「フィンテック」などに積極的に取り組み、経営基盤を整えていきたいと考えています。
――情報系のIT 活用にも従来から取り組んできたとうかがっています。
新谷
2014年頃から、端末にデータを持たないで利用できる仮想デスクトップ(VDI)環境を導入し、「どこでも営業店」を推進してきました。しかし、出先で業務を行なうとなると、VDI だとレスポンスが遅かったり、ネットワークがつながりにくくなることもありました。そのうえ、インターネット接続は別ネットワークで対応していたため、使い勝手が悪い状況が続いていました。 また、VDI 導入当初は、個人でのメール利用をあまり想定しておらず、オンプレミスのメールサーバでは一人当たり35MBのメールボックスの容量しか確保していませんでした。ところが、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大により、メールによるコミュニケーションが格段に活発化し、従来の環境では対応がむずかしくなっていました。
水摩
そこで、マイクロソフトのパブリッククラウド Microsoft Azure とオフィスサービス Microsoft 365 を導入し、インターネットと親和性の高いクラウド型の IT 基盤を整備することが決まりました。VDI 時代には銀行内のシステムを外から使うことが主流でしたが、これからはクラウドや SaaS の活用が重要になると判断したためです。
――クラウドやインターネットを多用すると、セキュリティ対策が重要になりますね。
水摩
金融機関なので、セキュリティ対策は非常に重要です。さまざまな攻撃によるリスクを想定しながら、対策を検討しました。メールセキュリティもその一つです。
――メールセキュリティ対策は、どのように進める予定でしたか?
新谷
セキュリティ対策がクラウドサービスとして提供されるようになっており、機能や性能も進化しているので、クラウドに任せていいのでは、と考えていました。
[選定の決め手]リーズナブルで“かゆいところに手が届く”
――IIJ のクラウド型メールセキュリティサービス「IIJ セキュア MXサービス」を知った経緯を教えていただけますか。
丸金
IIJ とは以前から付き合いがあり、セキュア MX サービスも紹介はされていましたし、他ベンダからも同じようなサービスは紹介されていました。ただ、Microsoft 365 の本格導入が決まるまでは、詳細な検討はしていませんでした。Microsoft 365 の導入に向けて、改めて IIJ の担当者に話を聞いたところ、「一度使ってみてもいいかな」と思ったのです。
――なぜそう思ったのですか?
丸金
まずは費用面です。提示された費用で、説明のあったセキュリティの機能が利用できるのなら、「試してみても損はない」と感じました。さらに資料を見ていくと、日本のビジネスメールの慣習にフィットした“かゆいところに手が届く”とも言える機能が備わっていることもわかりました。IIJ の担当者からは Microsoft 365 とセキュアMXサービスを連携させた先行事例があり、うまく運用できているという話も聞きました。コンソールの使い勝手も良さそうでした。新谷 Microsoft 365 のセキュリティ機能だけだと、かゆいところまでには手が届かない印象でしたから、IIJ の担当者の売り言葉に乗って(笑)、使ってみてもいいかな、と。クラウドサービスなので、うまく運用できなければ、利用を取りやめることもできます。費用もリーズナブルでしたし、まずは試してみようと判断しました。
――“かゆいところに手が届く”とは、具体的にどのような点ですか?
新谷
脅威メール対策として多層フィルタを Microsoft 365 の機能に上乗せできますし、メールの全文保管や監査など、オプション機能も充実しています。また、試験導入でセキュリティに問題があった時、セキュア MXサービスのコンソールから操作して、すぐに詳細を確認できました。そうした直感的な操作性も評価のポイントになりました。
水摩
検証環境で導入した時、設定の確認や利用状況の可視化が簡単に実現できた時はうれしかったです。使い勝手が良く、導入までのサポートも手厚かった。
丸金
問い合わせに対するレスポンスが早いことは、特筆すべき点です。回線やサービスの紹介から契約まで、営業担当者をはじめ、多くの方に問い合わせをしましたが、全て回答が早かった。「さすが!」という印象を持ちました。
[導入後の効果]メールセキュリティ対策をワンストップで任せられる安心感
――導入までのタイムテーブルを教えてください。
新谷
Microsoft 365 への移行を検討していた2019年1月、IIJと話を始めました。それから、クラウドサービスを利用するにあたり、セキュリティ要件を検討し、2020年5月から6月にかけて、検証環境ができたタイミングで試験導入しました。その後、3カ月ほど検証を行ない、2020年9月に正式申し込み、導入・設定をして、10月中旬から本稼働しています。クラウドサービスのメリットですが、1カ月少々で本番稼働できたのは、本当にすごいと感心しました。端末は Microsoft Surface を導入しています。
――稼働後、実際に運用した印象はいかがですか?
水摩
以前は「送ってもらったはずのメールが届かない」「送ったのに相手に届かない」といったトラブルが月に4、5件発生していたので、その対応に追われていました。オンプレミスのメールサーバでは、ベンダに問い合わせても返事がくるまでに数日かかることもありました。セキュアMXサービスを導入してからは、どこで何が起こっているのか、手元のコンソールですぐにわかります。メールサーバで止まっているのか、送ったつもりで下書きに残っているのかなど、簡単に切り分け・説明ができるので、問い合わせを受ける立場としては、業務がとてもスムーズになりました。
丸金
セキュアMXサービスを導入してから、まだセキュリティインシデントが起きていないので、インシデント発生時の運用や対応については未知数な部分もありますが、セキュリティ対策を IIJに一任できるので安心ですし、何かあったとしても、経験豊富な IIJ のレスポンスが早いので信頼しています。
――今後、IIJのメールセキュリティ関連のサービスを利用する予定はありますか?
丸金
WEBシステムの脆弱性を突く攻撃を検知・防御する「IIJ マネージドWAFサービス」の導入を検討しています。
――最後に、IIJ への期待をお聞かせください。
水摩
セキュリティのニーズは時代とともに変わっていきますが、セキュア MX サービスは、現時点での我々のニーズに適ったサービスとして提案していただきました。今後も引き続き、ニーズや環境の変化に応じて継続的に製品の改良や新しい提案をしてもらえるとありがたいです。
新谷
DXを推進していくなかで、我々のニーズをくみ取りながら、継続的に支援してもらいたいと考えています。
株式会社 北國銀行
- 本社:石川県金沢市広岡2丁目12番6号
- 創業:1943年12月18日
- 資本金:266億7300万円
- 経常収益(連結):747億4000万円(2019年度)
- 従業員数:2220人
- 石川県金沢市に本拠を置く地方銀行。1943年、加能合同銀行・加州銀行・能和銀行の三行が合併して誕生した。地域のリーディングバンクとして「豊かな明日へ、信頼の架け橋を~ふれあいの輪を拡げ、地域と共に豊かな未来を築きます~」の企業理念のもと、業務を展開している。クラウドサービスの活用など、DXに積極的に取り組んでいる。
- URL:https://www.hokkokubank.co.jp/