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ビジネスもプライベートもIIJモバイル IIJ法人モバイルのユースケース

IIJ.news Vol.165 August 2021

IIJはMVNOとして、個人向けの「IIJmio」と、法人向けの「IIJモバイルサービス」という2つのブランドでモバイル事業を展開している。
本稿では、後者に絞って、その導入事例を紹介したい。

執筆者プロフィール

佐久間 大

広告業界(企画)、ゲーム・カジノ業界(企画・開発)、ベンチャー企業(営業・新規事業開発)、スタートアップ企業(M&A、経営)を経て、2020年IIJ入社。MVNO事業部へ配属し、法人向けの「IIJモバイルサービス」のマーケティング・プロモーション全般を担当。

IIJの法人モバイル

法人向けのIIJモバイルサービスの最近の導入事例としては、コロナ禍による働き方の変化で、自宅から社内システムへ安全なリモートアクセスが求められる「テレワーク」用途と、さまざまなモノがインターネットにつながる「IoT」用途が挙げられます。特にIoT用途に関しては、業種業態・企業規模を問わず、幅広いお客さまからご相談をいただいています。

法人向けのユースケースとしては、建設現場における防犯や太陽光パネルの遠隔監視用「カメラ」、工場内の設備稼働状況やエラーを検知するための「センサ」、タクシーや物流トラックに取り付ける「ドライブレコーダー」などです。一方、我々の身近な生活では、スマートフォンを所持していない子どもや高齢者向けの「防犯・見守りデバイス」、観光地や都心部で増えている「自転車シェアサービス」などでご利用いただいています。

以下では、法人モバイルの具体的なユースケースを三つ紹介します。

ユースケース① SIMライフサイクル管理

まず、音楽・動画配信に代表される「サブスクリプションサービス」事業者を悩ませていた“あの問題”を解決した、IIJの「サブスク新常識」をご紹介します。

「サブスク」というバズワードを近年、目にする機会が増えており、多くの事業者がマネタイズを模索し、新たな挑戦を行なっています。例えば、Adobe社が従来のパッケージソフトの販売からSaaSへの転換を発表したのが2013年でした。それを機に映画・ドラマ・音楽といったデジタルコンテンツから、ロボット掃除機や自動車といった実物が存在するモノへサブスクの対象が広がっていきました。

その一方で、モノを作るメーカによるサブスクは「消費者の利用開始」と「一定量の製造在庫確保」というバランスがむずかしい問題に直面していました。そこでIIJは、この「モノのサブスク問題」に切り込みました。

デバイス組み込み型のSIMは、ユーザの手元に届いたらすぐ利用できるよう「開通=課金開始」状態となっています。IIJは、この開通タイミングをお客さまが指定できるよう「SIMライフサイクル管理」機能を実用化しました。これはフルMVNOのIIJならではの技術により、さまざまなトリガーでの回線開通、課金開始タイミングの制御を可能にし、従来ならユーザの手元に届く前から発生していた通信費用を削減することができます。

そして今年4月から、初のサブスクリプションサービスであるクラウド型入退室管理サービス「SPLATS」を展開している「株式会社熊平製作所」で、生産計画、在庫・販売予測がむずかしいなかでも事業を推進させる“切り札”として、このライフサイクル管理機能を備えたSIMをご活用いただいています。

同機能により、在庫中は課金されず、出荷のタイミングで開通および課金が始まり、開通後も管理画面から簡単に中断・再開が設定できるため、開通前や通信中断時の費用を削減できています。

SPLATSパスコントローラーに内蔵されたIIJモバイルタイプIの通信ユニットが、解錠時の各種データを直接クラウドに連携させる。
WEB上の専用管理サイト「SPLATSメンバーサイト」からは、利用者の登録、ログの参照、入退室の履歴の閲覧、各種設定、遠隔解錠操作などを行なうことも可能。
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ユースケース② コロナ禍における体験価値の向上

新型コロナウイルスの感染拡大から一年以上が経ち、人々の生活や消費動向が大きく変わりました。毎日、会社近くでランチを楽しみ、コーヒーを一杯買って自席に戻る……といった“かつての習慣”は失われました。今年4月の国内消費は二年前の同時期に比べて、マイナス8.4パーセントにまで落ち込み、旅行や外食などサービス消費に費やす金額も大幅に減っています。

「ネスレ日本株式会社」は、職場でも本格的なコーヒーが手軽に楽しめる「ネスカフェアンバサダー」というサービスを展開しています。これは、代表者が“アンバサダー”としてコーヒー代金を回収するシステムですが、コロナ禍以前から「代金を集めるのに手間がかかる」、「硬貨が手元になく精算が不便」といった声が寄せられていました。そこで同社では、会社や店舗でも「人との接触を極力減らす」ことが望まれる現状を鑑みて、キャッシュレス決済機能を搭載したレンタル専用コーヒーマシンの提供を開始しました。そして、この新型コーヒーマシンに「機能性・コスト・耐久性」に優れたIIJのSIMが採用されています。

このサービスの実施に向けては、タブレットとSIMカードの整合性や、交通系ICカードに利用されているFeliCa決済センターとの厳しい通信条件をクリアーする必要がありましたが、多くのIoTビジネス開発に携わってきたIIJのノウハウをもとに、ネスレ日本およびコーヒーマシンの製造元とも連携することで、お客さまの体験価値(CX)向上に寄与するクオリティを実現しています。

IIJモバイルタイプIを利用することでコストを抑え、接続先を限定し、セキュリティを担保した。
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ユースケース③ IoT社会における身近なモバイル通信

SIMは、スマートフォンやモバイルWi-Fiルータ、ノートPCで利用されており、移動中や外出先などでインターネット接続するうえで必須のアイテムになっています。SIMのIoT化は、ゆっくりと、しかし確実に進んでおり、多種多様な現場で活用されています。

皆さんもスマートフォンの機種変更などでSIMカードを抜き差ししたことがあると思いますが、最近では、極端な高温環境での使用や、衝撃・振動に対する耐久性を高めてほしいといった新たなニーズも生まれています。

「株式会社スマートドライブ」は、ドライバーの安全と車両管理を効率化するサポートデバイスとしてGPSを搭載し、LTE通信が可能な「SmartDriveFleet ドライブレコーダー」を展開しています。

ドライブレコーダーは車のフロントガラスに取り付けるため、真夏の炎天下では車内温度が50~60度にまで達することもあるうえに、走行中は振動の影響も受けます。そのドライブレコーダーにはプラスチック製のSIMカードが搭載されており、スロット構造を強化すれば振動耐久性は上げられるものの、熱によるダメージや接触箇所の不具合といったリスクを完全に排除することは困難です。

こうした高度な要件に対しては、IIJが提供している、基板に直付けできるチップ型SIMが有効であり、同社のドライブレコーダーにも採用されています。

IIJのチップ型SIMは、トラブルフリーな安全性が多くのお客さまから評価され、契約数を伸ばしています。

LTE通信型ドライブレコーダー「SmartDrive Fleetドライブレコーダー」にIIJモバイルタイプIのチップ型SIMが採用されている。
垂直方向240度の超広角カメラにより、高い位置や近い位置にある信号、社内のドライバーなどの様子も1 台で記録でき、
保存した録画データはクラウド上にリアルタイムにアップロードされる。
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