――入れ替えるPCの台数や準備期間はどのようなものでしたか?
若林:
PCはブリヂストングループのPC-LCMを使って利用していましたが、約450台を入れ替えて、年末までに全PC利用者が使えるようにする必要があったので、配布やユーザへの説明などを考えると11月までには納品が終わらないといけない。しかしPC-LCMの検討が本格化したのは6月頃で、残された時間は数カ月しかありませんでした。
――導入するPCのキッティング方法については検討されましたか?
若林:
これまでプロスパイラマニュファクチャリングでは、マスターイメージのもととなるPCを用意し、DVDなどでクローンを作成してクローニングするマスタークローン方式を採用していましたが、今回はプロスパイラの意向もあり、Microsoftのデバイス自動設定ツール「Windows Autopilot」を採用することになりました。デバイス情報とユーザのプロファイル情報をクラウドに登録しておき、ユーザが新しいPCをネットワークに接続するだけで必要な設定やアプリケーションがインストールされる仕組みです。
困ったのが、工場など現場で使うアプリケーションのなかにはAutopilotに対応していないものが少なくないことです。Autopilotを実施しつつ、対応できない部分は個別にインストールや設定作業をしなければなりません。この双方を問題なく実施してもらえるベンダを探す必要がありました。
――(IIJを含む)各ベンダからは、どのような提案がありましたか?
若林:
各社ともにPC自体は11月までに約450台の納品が可能ということでした。ただ、分割配送がむずかしいといったケースや、Autopilotに対応していないアプリケーションの個別インストール作業ができないというベンダ、また、運用保守が別契約になったり、5年一括での支払いを求められたりするケースもありました。
そうしたなか、全ての要件を満たしてくれたのはIIJだけでした。Autopilotに対応していないアプリケーションの個別インストール作業も事前キッティングという形で対応してくれる柔軟性は、選定の決め手として大きなものでした。加えてAutopilotはネットワーク経由のキッティング方式のため、ネットワークが輻輳することもあるのですが、輻輳を回避するためのキャッシュサーバ(MCC〈Microsoft Connected Cache〉サーバ)構築の提案もありました。また、分割配送の要望にも応えてくれ、運用保守についてもワンストップで引き受けてくれました。450台、半年、複数拠点、Autopilot+個別キッティングという困難な要件をクリアできる事業者はIIJのみだったのです。正式な発注は8月になってからと、ギリギリのタイミングでした。