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IIJ.news Vol.183 August 2024
IIJ Europe Limited
原田 恵明
筆者は2024年4月からロンドン駐在となりました。まだこちらに来て日は浅いですが、今回はロンドンの物価事情について紹介したいと思います。
現在、世界的に物価が上がっており、イギリスもその影響を受けています。日本の物価は、変動はあるものの、比較的安定していますが、イギリスでは毎年、物価が上昇するのが当たり前のようです。
上のグラフはイギリス政府が発表しているインフレ上昇率ですが、2021年あたりから急激に上昇し始め、ピーク時には約11%の上昇率を記録しました。
24年4月は2.3%と鈍化していますが、10%超の上昇からさらに2.3%上がっているということなので、物価上昇は止まっていない状況です。
インフレの要因としては、ブレグジットをはじめ、COVID-19、ウクライナ情勢などが考えられます。ちなみに、イギリスでは7月4日に総選挙がひかえており、現与党の保守党に替わって、14年ぶりに労働党が政権の座につく見通しが強くなっています(本稿執筆時点)。ここには、昨今のインフレに対する国民の思いも影響しているのかもしれません。
筆者の物価感覚では、円安の影響もあり、だいたい日本の2、3倍くらいでしょうか。人件費も高騰しているので、特にレストランなどサービス業は高い印象です。一方、スーパーで意外と安いのが、牛、豚、鶏、牛乳などの畜産物です。イギリスでは畜産業が盛んなことが関係していますが、面白いことに、大きな塊で買えば安いのですが、スライスされたり小分けにされればされるほど、どんどん割高になります。手間がかかるぶん、人件費がかさむのでしょうか、お国柄を感じました。
最近、日本に一時帰国した同僚が「日本はモノが安く、支払いも全てポンドですませた」と、まるで外国人旅行客のようなことを言っていました。イギリスのように急激に物価が上がるのも困りものですが、日本もこのままではモノが安い国として、さまざまなモノが外国に買われてしまうんじゃないかと心配になってしまいます。
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