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車いすフェンシング笹島貴明の“Allez(アレ)”! 車いすフェンシングは貴族のスポーツ?

IIJ.news Vol.186 February 2025

執筆者プロフィール

IIJ 広報部

笹島 貴明

2013年にIIJに入社したのち、スノーボード中の事故で車椅子の生活に。広報部としての業務をしながら、趣味で始めた車いすフェンシングで日本代表となり、現在は競技活動を中心に広報部で働いています。

巷では「貴族のスポーツ」と呼ばれることもあるフェンシングですが、競技者も少ないので、なかなかイメージがつきにくいかと思います。筆者もしばしば剣や競技用車椅子の値段を聞かれますが、結論から言うと、このスポーツの用具は高いです!

まず剣がそこそこ高価です。他の用具も含め、フェンシングの公式大会では、FIE(国際フェンシング連盟)の認証を受けた剣しか使用できません。練習用の剣は比較的安価なものもありますが(それでも5000円くらいです)、大会で使える認証済みの剣は2万円くらいします。しかもこの剣は毎日のように練習していると折れてしまう消耗品で(練習頻度・種目・選手のスタイルにもよりますが)、筆者の場合、年間5、6本は折れるため、その都度、購入しています。剣の素材はマルチエージング鋼という特殊な合金で、鋼を主体にニッケルやモリブデンなどの高価な金属が含まれていて、基本的に海外からの輸入品であるうえに、昨今の物価高の影響をかなり受けているのも、剣が高価な要因になっています。その他の用具、金属製のメタルジャケットも劣化するので頻繁に買い替える必要があり、剣と審判機をつなぐワイヤーはしばしば断線します。

立位でやるフェンシングならこれで全てですが、車いすフェンシングにはさらにオーダーメイドの競技用車椅子が必要です。選手個々の体格や障害レベル、さらには戦術が異なるため、改造を加えなければなりません。物理的接触は少ないので、大きな破損は他のパラスポーツに比べて少ないものの、1台50万円くらいで「本物の自動車?」と思うくらいの値段がします。現在、筆者は競技費用を会社に負担してもらっていますが、競技を開始した当初は自己負担だったのでかなり大変でした(涙)。

お金の話になり、興味を持ってくださる方の意欲を削いでしまったかもしれませんが、最初はクラブなどから貸してもらったり、他の選手のいらなくなった用具を譲ってもらうこともできるので、趣味レベルであれば、ほどほどの費用で始められます。ぜひチャレンジしてみてください!

車いすフェンシング用の車椅子。
最大の特徴は剣を持たないほうにだけ
バーがついている点。形状も人それぞれ。


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