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IIJ.news Vol.187 April 2025
WEBサイトを訪れるたびに、出続けるクッキー(Cookie)バナー。その結果、「とりあえず同意」や「同意疲れ」が増えています。「IIJ.news 2月号」では、邪魔なバナーを出さない新しいプライバシーツール「STRIGHT(ストライト)」の概要を紹介しましたが、今回はその続編として、機能面に特化してSTRIGHTの特長を解説します。
IIJ ビジネスリスクコンサルティング本部 ビジネスリスクコンサルティング部長
中西 康介
STRIGHTは、邪魔なバナーを表示しない新しいプライバシーツールです。
日本では、サイト訪問時にクッキーなどの行動データ取得に関する同意取得義務があるサイトはごく一部に限られており、ほとんどのサイトではクッキーバナーを表示する必要はありません。しかし、プライバシーへの配慮は不可欠であり、STRIGHTでは、いわゆる「同意疲れ」の軽減も考慮し、サイトを開いても大きなクッキーバナーを表示せず、フッターやハンバーガーメニューに「プライバシー設定」という文言を設置することで対応します。
また、プライバシー保護に配慮している姿勢をより示したいお客さまは、今まで通りバナーを出したりホバーボタンを設置したりすることも可能です。(図1)
フッターに配置したプライバシー設定リンクやホバーボタンをクリックすることで詳細説明がポップアップし、プライバシー設定の確認と、嫌なら拒否を選択できます。これにより、UI(User Interface)/UX(User eXperience)を損なわずにクッキーなどの取得による情報提供と本人関与機会、つまり嫌なら拒否できる機能を提供します。
バナーを出さないため、サイト訪問者のストレスを減らすのはもちろん、ブランドサイトなどでもデザインや離脱率に影響することなく、必要なデジタルマーケティングのデータを取得できます。さらに、クッキーなどのデータを取得してほしくないサイト訪問者にも説明責任を果たしながら本人関与機会も提供し、プライバシー保護重視の姿勢を示すことができます。
STRIGHTは、日本だけにとどまらず、グローバルに対応しており、国内外の法規制や今後の法改正・新法にも素早く適応することが可能です。また、クッキーやLocal Storageなど個別のトラッキングテクノロジーに依らず外部へのデータ送信の検知もでき、これから来る本格的なクッキーレス時代にも対応します。
他のサービスも充実しており、オーダーからデリバリ、課金、サポートまで完全自動化を実現しています。また必要に応じて、弁護士とITセキュリティ専門家を擁するIIJチームのサポートも受けることができ、安心して利用いただけます。
つまり、サイト訪問者目線でも、事業者(製品・ブランドサイト担当)目線でも、法務目線でも、“3方よし”のプライバシーツールとなっています。
図1 サイト導入イメージ
一般的なクッキーバナーは図2(上)にあるように、サイト訪問時に表示される第1層バナーで概要を確認し、クッキーの利用を許可または拒否する選択を行ないます。そして、図2(下)に示されている第2層バナーの詳細設定バナーで、目的ごとに許可・拒否を設定できます。これらのバナーは各国の法域によって表示内容やオプトイン・オプトアウトの実装方法が異なるため、一般的には訪問者のグローバルIPアドレスをもとにアクセス元の国を判定し、その国の法律に適したバナーを自動で表示する仕組みが採用されています。
図2 クッキーバナーの構成
第1層で詳細説明がないのに同意を求めることに意味はあるのでしょうか? 例えば、Safariでは24時間でクッキーが削除されます。すると、昨日同意したのに、今日訪れたらまたバナーが出てきてしまうということが起こります。毎日訪れるサイトであれば、とても煩わしく感じます。
また、不適切なバナー実装もあります。右図のようなバナーを見たことはないでしょうか?
①の例は、同意が強調されていて同意へ誘導されているようなデザイン。②③は、ユーザに拒否権はありません。とても不愉快な気持ちを与える実装例で、欧州ではこのような表現は規制されており制裁対象となりますが、日本国内においてはこのような実装が多く見られます。
これらの要因が重なり、消費者の「同意疲れ」を引き起こし、同意が形骸化してしまう問題が生じています。これが「ダークパターン」*1を助長する一因になっているとも言われています。
ダークパターンの横行によりサイトへの信頼が低下している現在、消費者の信頼獲得が重要なテーマとなっています。サイトの行動プロファイリングに係わるデータ取得に関して透明性のある情報開示と、いつでも処理を停止できる機能の提供は信頼獲得に必須です。現状、見せかけだけのバナーを表示し、ブラウザの設定でクッキーの削除案内をしている不親切なサイトが多く、ITリテラシーのある人でないと操作はむずかしい状況があります。
消費者庁の「消費者法制度のパラダイムシフト」*2では、認知機能の脆弱性が懸念される消費者、例えば、高齢者や子どもにも配慮した法制度の検討が進んでいます。つまり、誰にでもわかりやすく情報提供するとともに、クッキーバナーツールなどで簡単にクッキー取得を止めることができる機能提供が求められています。
これまでは、サイトを開くと最初に目立つようにクッキーバナーが表示されていました。STRIGHTでは、サイト訪問時にポップアップを出さずに、クッキーなどを用いた行動データ処理に対する同意管理機能を提供できるため、ブランドサイトのデザインを損なうことなく、「ブランド力の最大化」と「プライバシー保護」の両立を実現できます。
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